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利用限度額が最大10億円の「あと払い機能」提供開始、マネーフォワードの事業用プリペイドカードで

クラウド会計データを活用し、最短10分で与信審査が完了

 株式会社マネーフォワードは7月27日、同社が発行する個人事業主・法人向けの事業用プリペイドカード「マネーフォワード ビジネスカード」において、「あと払い機能」の正式提供を開始したと発表した。同カードのウォレット(入金用口座)にチャージすることなく、また、ウォレット残高が不足している場合でも、同カードでの決済が行なえる。利用した額だけ、翌月に銀行口座からまとめて引き落とされる仕組みだ。「マネーフォワード クラウド」シリーズのクラウド会計ソフトなどを利用する事業者の会計データを活用し、独自の与信アルゴリズムにより利用限度額が設定される。最短10分で与信審査が完了し、クレジットカードよりも迅速に導入できる点も特徴だという。

「マネーフォワード ビジネスカード」とは?

 マネーフォワードでは、多様な決済手段によるキャッシュレス化の促進およびバックオフィス業務の効率化を実現するためのキャッシュレスプラットフォーム「マネーフォワード Pay for Business」を展開しており、「マネーフォワード ビジネスカード」はその第1弾サービスとして2021年9月より提供しているもの。事業者が「マネーフォワード ビジネスカード」のウォレットにチャージしている残高の範囲内で、Visa加盟店の店舗やECサイト、各種ネットサービスの支払いに利用できる。

 プリペイド方式の決済サービスのため、クレジットカードのような与信審査は不要でカードを発行可能。創業初期の企業であっても、多額のサーバー料金等をカード決済することができるとしている。具体的には、初期設定では1取引あたり100万円まで、利用事業者による設定変更で500万円まで決済できるが、マネーフォワードの事前審査に基づき登録された特定の加盟店における決済(例えばクラウドサービスの利用料など)では、最大5000万円の高額決済にも利用できる。

 カードは、リアルカード/バーチャルカードを複数枚発行して、カードごとに決済上限額を設定したり、紛失などの際にオンラインで利用停止も行える「カードコントロール機能」を備える。従業員ごとにカードを配布すれば、従業員が立て替え払いをして精算処理するといった手間なく、経費の支払いなどに充てられる。さらに、「マネーフォワード クラウド会計」「マネーフォワード クラウド確定申告」「マネーフォワード クラウド経費」といったクラウド業務ソフトと連携することで、決済データがリアルタイムで反映される。目的別に発行したカード単位での仕訳ルールの適用も行えるため、経費処理や月次決算も効率化できるという。

 このほか、決済金額の1~3%が「マネーフォワードポイント」で還元され、1ポイント=1円分として利用可能。

 なお、初期費用・年会費は無料だが、2年目以降に利用実績がない場合は年会費が発生する。また、リアルカード/バーチャルカードは原則、何枚でも発行可能だが、リアルカードの追加発行には所定の手数料が発生する。

プリペイドなのに「あと払い」可能、クレジットカードと何が違う?

 このような特徴のある「マネーフォワード ビジネスカード」だが、当然ながらプリペイドカード方式のため、決済に利用できる金額は、ウォレットにチャージしてある残高の範囲内となるため、「あらかじめチャージするのが面倒」「チャージしておきたくとも、いくら利用されるのか事前には分からない」といった面もある。今回、正式提供を開始した「あと払い機能」は、日々の経費利用などで残高が変動するウォレットの管理の手間も削減するものだ。

 最大の特徴は、「マネーフォワード クラウド」とのデータ連携機能を備える「マネーフォワード Pay for Business」の強みを生かし、蓄積された会計データなどをもとに与信審査を行ない、「あと払い機能」の利用限度額を算出すること。利用限度額は最大10億円。事業者に設定された利用限度額の範囲内であれば、ウォレットの残高に関わりなく「マネーフォワード ビジネスカード」を決済に利用できる。

 そのため、「あと払い機能」を利用するには、「マネーフォワード クラウド」を導入している事業者であることが前提となる。具体的には「マネーフォワード クラウド会計」「マネーフォワード クラウド会計Plus」「マネーフォワード クラウド確定申告」「マネーフォワード クラウド経費」上の会計データが必要だ。また、事業者の同意に基づき、連携している銀行口座の残高・入出金履歴も参照する。

 「あと払い」によるカード決済ができるという点ではクレジットカードのように利用できるわけだが、マネーフォワードではクレジットカードとの違いについて、まず、与信審査がスピーディーに行えることを挙げる。ウェブから「あと払い機能」の利用申し込みをすることで、最短10分で与信審査が完了。結果がメールで通知されるとともに、口座振替依頼書が郵送される。口座振替依頼書を返送することで「あと払い機能」の利用申し込み手続きが完了する。

 また、ビジネスクレジットカードのように資本金や決算ベースでの審査は不要。例えば、資金調達などによりキャッシュには余裕があるものの、創業初期のベンチャー企業などであるためにビジネスクレジットカードの発行や与信上限が厳しい――といったネックも解消。一般的なビジネスクレジットカードと比較して、高額な与信限度の設定が可能になるとしている。

 「あと払い機能」の利用手続き完了後は、「あと払い機能」による当月の利用金額が翌月20日に口座振替で支払われる。これにより、出金タイミングを遅らせてキャッシュフローを改善できる効果もあるという。

 なお、「あと払い機能」を利用している事業者でも、従来からのプリペイドとの併用も可能。当月末の締日までにウォレットにチャージした場合、翌月20日の口座振替を待たずに、チャージ分が当月の「あと払い機能」利用額の支払いに充当される。また、「あと払い機能」を利用した決済も、支払先や日付、金額などの取引データをリアルタイムに取得し、会計データと連携することが可能だ。

 さらに「マネーフォワード Pay for Business」では今後、「QRコード払い」などの決済手段にも対応していく予定だとしている。