ニュース
無料の「freee請求書」提供開始、インボイス制度で煩雑になる受発注管理を効率化
2022年12月14日 09:55
freee株式会社は12月13日、インボイス制度に対応して受発注を管理し、請求書を作成できるサービス「freee請求書」の提供を開始した。料金は無料。なお、法人で利用する場合は3名まで無料で、4名以上の場合は「freee会計」もしくは「freee販売」の利用が必要となる。
free請求書では、2023年10月開始予定のインボイス制度(適格請求書等保存方式)によって新たに請求書への記載が必要となった項目「税率ごとの消費税額及び適用税率」および「適格請求書発行事業者の登録番号」に対応した請求書を発行できる。
また、作成した請求書は、freee請求書からの取引先へのメール送付や、freee会計・freee販売と取引情報の連携も可能。電子帳簿保存法にも対応している。
インボイスの処理は非常に煩雑、取引先の登録状況確認や請求書フォーマットなど……
同日、記者発表会が開催され、freeeの尾籠威則氏が「freee請求書」を含むfreeeのインボイス対応状況について解説した。
尾籠氏はまず、「適格請求書発行事業者」の登録申請期限である2023年3月31日を、非常に重要な日付だと強調した。
「登録申請を行わないと、インボイスが発行できなくなり、取引先の税の負担が増大する。スモールビジネスにとって取引先との関係は非常に大事だ。」(尾籠氏)
そのために、3つの質問でインボイス対応すべきかどうか分かる「インボイス登録診断ツール」や、5分で登録申請できるという「インボイス登録申請ナビ」、インボイスに対応した請求書作成サービス「カンタン請求書作成サービス」をfreeeでは提供してきたと、尾籠氏は紹介した。
また、自社が登録申請しているだけでなく、取引先も登録申請をしていないと、インボイスを受け取ってもらえないことも尾籠氏は指摘する。
しかし、取引先のインボイス登録状況の確認作業は非常に煩雑で、1件ずつ国税庁のサイトで13桁の番号を入力して確認するか、あるいは全件データをダウンロードして確認する必要があり、骨が折れる。
さらに、請求書フォーマットの確認作業は非常に煩雑となる。請求書がインボイス制度の要件を満たしているかの確認も必要になる。8項目もあるインボイス記載項目が必要で、受け取る側もチェックが必要となる。端数の計算方法も厳格に決められていて、そのチェックも必要になる。
インボイス制度への対応で「最低限行うべき3つのステップ」とは
こうしたことから、最低限行うべき3つのステップとして「自社の登録申請」「取引先の登録状態確認」「自社も取引先も請求書対応」を尾籠氏は挙げた。
まず、「自社の登録申請」は、「freeeインボイス登録申請ナビ」ですでに対応している。残る「取引先の登録状態確認」と「自社も取引先も請求書対応」は、freeeは未対応だった。
そこで新たに提供開始したのが、今回発表された「freee請求書」だ。
取引先の登録状況確認については、freeeで取引先管理を行っていれば、適格請求書発行事業者かどうかを、国税庁のWeb-APIを使って自動判定する機能を、同じく12月13日から提供する。
また、取引先のインボイスの対応状況の確認のために、全取引先にアンケートを送付する機能を持つ。確認結果の対応状況についても一元管理する。
「自社も取引先も請求書対応」については、インボイスだけでなく発注書にも対応し、freee請求書のみで受発注を完結させる。従来の受発注業務では、見積書や発注書、納品書、請求書をそれぞれ作成し、メールや郵送で送っていた。それを、freee請求書ではデジタル化し、freee請求書の中で完結できるという。
この請求管理機能の特徴としては、請求書だけではなく適格返還請求書などにも対応する「インボイスの全フォーマット対応」、取引先ごとにでもカスタマイズできる「充実の高カスタマイズテンプレート」、多重メンテや使い分けの必要がない「freee会計との連携」を尾籠氏は挙げ、さらにデジタルインボイスの標準規格である「Peppol対応予定」を付け加えた。
尾籠氏は、インボイス対応におけるパートナー企業との連携も紹介。また、1人あたりの労働生産性において日本のスモールビジネスは大企業の半分以下であるという数字を紹介し、「ソフトウェア投資がされていないのが一因ではないか」と語った。そして、2024年1月1日からは電子取引データの電子保存義務化も開始することもあり、「業務のデジタル化は急務」と述べた。
こうしたデジタル化をコストをかけずに推進するために、「ユーザー同士の(デジタルの)受発注ネットワークの拡大が不可欠ではないかと考えている」と尾籠氏は語った。
このデジタル化を推進するために、「freeeインボイス登録申請ナビ」と「freee請求書」をあわせて「インボイス無料3ステップ」として推進していくと尾籠氏は説明した。
「freee請求書」でテンプレ作成から見積書の作成・送付、請求書への変換まで可能
記者発表会では、freeeの石川美喜氏が「freee請求書」のデモを行った。
まずは請求書のメールテンプレートと帳票テンプレートの作成。メールテンプレートには「To:」「Cc:」も登録でき、件名や本文を「${帳票名}」などの変数を含めて作成できる。
また、帳票テンプレートでは、レイアウトを選び、社名などの自社情報や、表示項目、社印鑑・ロゴなどを設定する。見積書のほか、適格返還請求書や立替精算書も同様に作成できる。
そして、見積書の項目を入力して、送付するところまでデモがなされた。
次に、この見積書の内容を元に「請求書へ変換」で請求書を作成する機能や、それを送付するほか印刷用にPDFでダウンロードする機能をデモ。さらにその請求書から「会計連携」で「freee会計」に取引登録して、債権一覧を確認したり、請求と入金の消し込み処理を実行するところもデモした。
記者発表会には、freee本社所在地である大崎駅西口商店会のマスコットキャラクターの大崎一番太郎氏&マネージャー犬山氏と、落語家の参遊亭遊助氏が登場。その場でスマートフォンからfreee請求書で請求書を作って送付してみせた。