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くずし字を解読できるAI-OCRアプリ「古文書カメラ」、凸版印刷が提供開始

 凸版印刷株式会社は、古文書などのくずし字を撮影し、解読できるAI-OCRアプリ「古文書カメラ」のiOS版の配信を開始した。App Storeから無料でインストールできる。Android版は2023年秋に配信の予定。

 2022年に開発が発表され、アプリの配信が予告されていたもの。同社は法人向けの古文書解読支援システム「ふみのはゼミ」などを提供していたが、「手元の古文書を手軽に読みたい」といった一般向けサービスの要望が多かったことから、本アプリを開発。発表後には実証実験を行い、UIの改善やAI-OCRの精度向上などの改良を施したという。

 くずし字には、手書きのもの(書簡や証文、日記などの古文書)と木版印刷物(版本や錦絵など)があり、それぞれに文字の形や使われている字種が異なる。本アプリでは、手書きと木版のそれぞれに対応した、AIにより崩し字を解読する2種類のAI-OCRエンジン2種類を搭載しており、解読率90%をうたう。

くずし字の例

 AI-OCRによる解読機能は1日あたり10回まで利用可能となっており、2023年夏にアップデートを実施し、App内課金により回数制限を解除する機能を提供予定。つなげて書かれた文字の区切りの判別も含め、AIが自動で崩し字を解読する「フルオートモード」と、1文字ごとにユーザーが範囲を指定し、AIが解読を行って提示した候補から文字を選択していく「範囲指定モード」の、2つの解読モードが利用できる。

2つの解読モード

 解読したデータは、ユーザーが修正することでAIの精度向上に役立てられる。また、画像またはテキストとしてデータを保存できる。

実証実験の様子。左から京都市歴史資料館、公益財団法人三井文庫、和洋女子大学と、各組織の協力を得て実施