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KDDI、山岳、海洋・フジロック会場などへ衛星インターネット「Starlink」を展開

剱岳 真砂沢ロッジに設置されたStarlinkアンテナ

 KDDI株式会社らは7月18日、衛星インターネット「Starlink」を利用した複数の展開を発表した。

 内容は、大きく分けて3種類。1つ目はWi-Fi接続サービスとしての利用で、海上では東海大学の海洋調査研修船「望星丸」に搭載する。山においては、株式会社ワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)と協働で、長野県白馬村で選考して提供していた「山小屋Wi-Fi」を本格展開する。そのほか、「FUJI ROCK FESTIVAL '23」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023」といった音楽フェスの海上でも提供予定だとしている。

 2つ目はau通信網のバックボーンとしての利用で、山間部では富山県剣岳、岩手県早池峰山、富山県薬師岳など、観光地では和歌山県向平キャンプ村、福井県九頭竜湖、和歌山県やどり玉川峡温泉などで提供予定。そのほか、島しょ部での利用としては、静岡県初島ですでに提供中だ。

 3つ目は法人・自治体向けサービス「Starlink Business」の、沖縄県での提供開始だ。地上から離れた場所をエリア化できる「衛星間通信」により、沖縄県を対応エリアとして追加したとしている。

 KDDIは2021年9月にStarlinkと業務提携し、2022年12月よりau通信網のバックホール回線として導入している。山間部や島しょ地域など、光ファイバーを敷設しづらい地域の通信回線として衛星通信を利用したサービスを展開しているほか、災害により光ファイバーが切断された場合の通信回線としても想定され、車載型/可搬型基地局を2023年度内に約200台配備予定としていた。

 望星丸への搭載は、Starlinkの海上利用向けサービスの第1号となる。下り最大220Mbpsの通信が可能で、7月下旬から海上における通信品質の確認や、安全な航海に必要な海洋気象情報のリアルタイムでの取得、陸上との双方向オンライン授業など、さまざまな用途について試験を行うという。

望星丸

 山小屋Wi-Fiは、次の山小屋で8月2日より提供開始の予定(一部山小屋では準備が整い次第提供開始)。今後も順次拡大予定で、日本百名山を中心に全国約100カ所の導入を目指すという。

長野県:白馬村八方池山荘、白馬岳頂上宿舎、天狗山荘、冷泉小屋、塩見小屋、仙丈小屋、北沢峠こもれび山荘、西駒山荘、蓼科山荘
富山県:真砂沢ロッジ、剱澤小屋

 山小屋Wi-Fiの導入により、au PAYなどのキャッシュレス決済やネット予約システムの導入を促進。宿泊予約や問い合わせにかかっていた時間・手間を簡略化するなど、山岳DXを進めていくとしている。

山小屋Wi-Fi設置箇所