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ドローンに搭載した5.7GHz帯無線機で4K映像を5km伝送する実験、東工大ら研究グループが成功
災害現場の状況把握などを目的とした実用化を目指す
2022年5月11日 17:21
東京工業大学は4月28日、総務省委託研究「5.7GHz帯における高効率周波数利用技術の研究開発」のフィールド実験において、高度約100mで飛行するドローンから送出した4Kライブ映像の5km伝送などに成功したと発表した。
この研究は、ドローンを活用した高精細映像のリアルタイム無線伝送およびカメラなどの遠隔制御に関わる無線伝送を、総務省よりドローン用の「無人移動体伝送システム」として制度化された5.7GHz帯の計105MHzという限られた帯域の中で、10台以上同時に安定して行うことを目的としたもの。
災害現場の状況把握や、橋梁などの大規模インフラの点検、イベント会場の警備などでの利用が期待される。東京工業大学工学院 電気電子系の阪口啓教授らの研究グループと、株式会社光電製作所 開発部および、工学院大学 工学部 機械システム工学科の羽田靖史准教授らの研究グループの3機関が共同で、2019年より取り組んでいた。
実験は、福島県南相馬市の「福島ロボットテストフィールド」付近の海岸で、以下の2点を目的として実施された。
- 最大で5km離れた遠方のドローンからの4K映像のリアルタイム伝送
- 最大10台のドローンを、同一エリア内で同時使用
試作無線機を搭載したドローンを制限高度150m未満で飛行させて通信実験を行い、以下の検証などを実施し、目標とする性能を確認したという。
- 5.7GHz帯の「無人移動体伝送システム」で定義された帯域幅10MHzのチャネルを用いた、4K生映像の5km先への伝送
- 同じチャネルを用いて、あるドローンからの映像伝送と異なるドローンへの制御データの同時伝送
- 帯域的に重複が懸念されるWi-Fi機器の検出・干渉回避手段の検証
- 5km先の地上高150mからでも通信品質を確保するアンテナ特性・追尾機構の検証
今後は、機器の安定性やシステムの操作性の向上を図り、ドローンへの搭載を踏まえたサイズや質量、コストの削減を図り、早期実用化を目指すとしている。