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IPv4 over IPv6でのポート数制限を解消、「BIGLOBE IPv6サービス(IPIP)」提供開始~マンションISP事業者向け

「国内標準プロビジョニング方式」対応でルーター設定作業の簡略化も実現

「国内標準プロビジョニング方式」に対応した機器の構成例(アライドテレシスのプレスリリースより)。同方式に対応したアライドテレシス製ルーターを集合住宅のMDF室に設置し、建物内の回線を経由して各世帯にインターネット接続サービスを提供する

 ビッグローブ株式会社(BIGLOBE)は1月17日、「BIGLOBE IPv6サービス(IPIP)」を提供開始した。集合住宅のインターネット環境を整備する事業者(マンションISP事業者)向けに高速IPv6接続サービスを提供するもので、新たに「IPv6マイグレーション技術の国内標準プロビジョニング方式」に対応したのが特徴。あわせて同日、アライドテレシス株式会社、日本電気株式会社(NEC)、古河電気工業株式会社が同方式への対応を表明し、対応ルーターの販売を開始した。

 また、「BIGLOBE IPv6サービス(IPIP)」ではポート数の制限が解消され、大規模同時接続を実現したいマンションなどのニーズにも対応するとしている。

「国内標準プロビジョニング方式」により、煩雑な設定が不要に

 アライドテレシスによると、IPv4 over IPv6接続サービスでは、IPv4通信を利用する際にIPv6網を介するためのトンネル設定が必要になるが、利用しているISPやルーターによって設定方式が異なるために運用が煩雑になりがちだという。

 そこで、IPv6普及・高度化推進協議会が2020年に策定したのが「IPv6マイグレーション技術の国内標準プロビジョニング方式」だ。トンネル設定に必要な情報をIPv6網上の「プロビジョニングサーバー」に格納し、そのサーバーとルーターがあらかじめ決められた手順で情報を交換することで、使用するトンネリング方式を意識することなく、IPv4 over IPv6接続サービスを利用できるとしている。

 BIGLOBEでは、同方式への対応により、ISPとルーター製造会社それぞれに発生していた独自の設計作業や、集合住宅居住者のルーター設定作業などを簡略化できると説明。ルーター製造会社にとっては、異なるISPや通信方式など複数の環境で利用できるように開発・設定を行うための時間・コストを削減でき、新規参入やバリエーションが増えるというメリットも期待できる。

アライドテレシスの国内標準プロビジョニング対応製品
NECの国内標準プロビジョニング対応製品
古河電工の国内標準プロビジョニング対応製品

 国内標準プロビジョニングに対応した製品は、今回対応を表明した3社のほか、株式会社バッファローやヤマハ株式会社などでも対応を検討するという。

IPv4アドレスを1回線で占有、ポート数制限なしで最大6万5536ポートまで利用可能

 また、「BIGLOBE IPv6サービス(IPIP)」では、1つのIPv4アドレスを1回線(1つの集合住宅)占有で割り当てるため、ポート数の制限がなくなり、最大6万5536ポートまで利用できるのも特徴だ。

 BIGLOBEでこれまで提供してきたMAP-E方式の「IPv6オプション」では、IPv4アドレスを複数回線で共用しており、使用可能なポート数が最大240ポートまでと制限がある。1台の端末で複数のサービスやアプリを同時に使うと複数ポートを消費するため、集合住宅のようにユーザーが多い場合はポート数が足りなくなる可能性があったという。

 「BIGLOBE IPv6サービス(IPIP)」の提供対象となる事業者としては、マンションのデベロッパー、管理会社、オーナーが挙げられる。これらの事業者が集合住宅内のインターネット接続環境を整備し、入居者はこれら事業者と契約するかたちとなる。