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BCP・DR対策の認識は広まるも、NASのデータを遠隔地バックアップできている中小企業は30%未満~バッファロー調査
2024年3月29日 06:00
株式会社バッファローは3月27日、同社が実施した「中小企業のNASのBCP・DR対策に関する実態調査」の結果を発表した。調査対象のうち、NASのデータを遠隔地(クラウド)バックアップしている企業は27.9%だった。
同調査は、2024年3月1日~4日に、IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー」の企画として、自社にNASを設置しており、複数事業所を持たない中小企業(従業員数10名〜300名未満)の情報システム担当者104人を対象に、インターネット調査で行われた。
約8割が「NASのデータ管理の見直しが必要」と回答
はじめに、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画。災害やシステム障害、テロなどの危機的状況下でも事業を継続できる方策を用意すること)・DR(Disaster Recovery:災害復旧。災害時の復旧手段を用意すること)対策のために、NASのデータ管理の見直しが必要だと思うかとの質問では、29.8%が「非常にそう思う」、48.1%が「ややそう思う」と、あわせて77.9%が、見直しが必要だと回答した。
上記の質問で「非常にそう思う」または「ややそう思う」とした回答者に、その理由をたずねたところ、用意していた選択肢の中では「地震や台風・豪雨など様々な災害発生リスクが増加しているから」が67.9%と最多だった。そのほかは「NASのハードウェア・ソフトウェアが更新されておらず管理体制が古いから」が39.5%、「会社の経営・事業継続に関わる重要なデータをNASで管理しているから」が28.4%と続いた。
また、選択肢以外での自由回答もあわせて求めたところ、「データ量の増加による見直し」や「機器の老朽化による破損のリスクがある」などの回答があった。
遠隔地バックアップができていない理由、最多は「コストが高い」の44%
続く質問では、NASのデータ管理をどのくらいのレベルで実現しているかを、5つのレベルを設定してたずねた。レベルと回答の割合は以下の通りで、レベル4以上の遠隔地(クラウド)へのバックアップを実施している企業は、27.9%だった。
- バックアップしていない(25.9%)
- 同一事業所内の外付けHDDにバックアップしている(25.0%)
- 同一事業所内の別のNASにバックアップしている(21.2%)
- クラウドストレージサービスで遠隔地バックアップしている(22.1%)
- マネージドバックアップサービスによりクラウドに遠隔地バックアップしている(5.8%)
レベル3以下とした回答者に、その理由をたずねたところ、用意していた選択肢の中では「クラウド管理を実施するコストが高いから」が44.0%で最多となった。それ以外では「コア業務が忙しくて、NASのデータ管理の見直しの時間がないから」が22.7%、「クラウドの利用はセキュリティが不安だから」が18.7%となった。
また、自由回答を求めたところでは、「費用対効果が見えない」「顧客データの管理となるので、弊社だけの判断では実現できない」「経営者がバックアップの重要性を理解していない為」といった回答があった。
このほか、BCP・DR対策として、NASのデータのクラウドへの遠隔地バックアップは有効だと思うかをたずねたところ、「非常にそう思う」または「ややそう思う」との回答が77.9%あり、その理由としては、データ保管が1拠点のみの場合、災害発生時にバックアップも損失する可能性があることを挙げた回答が76.5%だった。
複数拠点を持たない中小企業の約8割がNASのデータ管理を見直す必要を感じ、主な理由として災害発生リスクの増加を挙げ、遠隔地バックアップの有効性も理解していながら、コストやコア業務の忙しさを理由に3割以下の企業しか遠隔地バックアップができていない状況が明らかになった。
このような調査結果を踏まえ、バッファローでは中小企業の多くがBCP・DR対策の必要を認識しながらも、思うように対策が進んでおらず、その背景にはコスト面の成約や経営層の理解不足など、さまざまな課題があると指摘。バックアップ体制を構築することの重要性を訴えている。