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NTTデータとライオン、暗黙知化している熟練者のノウハウを生成AIを活用して形式知化する取り組み開始

 ライオン株式会社と株式会社NTTデータは、ライオンの粉末洗剤の生産において、国内の熟練技術者の間で「暗黙知の了解」となっている技術や知識、ノウハウを、生成AIを活用することでドキュメントとして「形式知」化する取り組みを開始した。

 少子高齢化や労働力減少などの影響により、熟練技術者の技術継承や、人材確保が困難になりつつある課題を解決する仕組み作りとして取り組むもの。ライオンでの、衣料用粉末洗剤の製造プロセス開発において、文章化されていない知識を抽出し、「勘所集」として文書化し、生成AIを活用した検索サービス「知識伝承AIシステム」に勘所集を取り込むことで、製造プロセス開発を行うメンバーが、熟練者の技術や知識、ノウハウを容易に検索、活用できるようにする。

 衣料用洗剤はアジアでの需要が顕著であり、製造プロセスの開発において熟練者の暗黙知が必要とされていることから、選定されたという。

 ライオンでは、これまでも、形式知化された情報を共有する技術を開発したり、熟練者の暗黙知を継承するためにOJTやマニュアル、手順書などを利用したりしてきたが、衣料用粉末洗剤の製造プロセスを開発する際にあたっては、ノウハウや暗黙知を学ぶのに時間がかかるという課題があった。

 両社は共同で取り組みを開始し、インタビューやワークショップから情報収集を行い、暗黙知化している技術や知識、ノウハウなどを抽出して文書化していく。勘所集となる文書作成の効率化を図るため、NTTデータの知見を生かして生成AIの適用を検討するとしている。

 今後、NTTデータでは、ライオンとの連携を拡大・強化していき、よりセキュアで専門的な内容を取り込める生成AI、特にNTT版大規模言語モデル「tsuzumi」の活用も検討するとしている。