ニュース
故人のスマホロック解除に76%が成功、生前の情報共有が鍵に~GOODREI調査
2025年4月22日 16:30
株式会社GOODREIは4月16日、デジタル遺産相続におけるトラブルの実態を把握するため、遺族による故人のスマートフォンロック解除に関する調査結果を公開した。
近年、パスワード等が不明なため、故人のデジタル遺産(写真、連絡先など)が遺族に引き継がれず、アクセスできないケースが増加している。こうした状況を背景に、本調査は2025年3月に、故人のスマートフォンのロック解除を試みた遺族381人を対象に行われた。
年々増加する「故人のスマホロック解除」
過去5年以内に親族を亡くした方を対象に、ロック解除を試みた年をたずねたところ、2021年以降から解除を試みる遺族が増加傾向にあることが判明した。2025年は3月の調査時点での回答数となるが、年間換算すると2024年を大幅に上回る可能性があるとGOODREIでは分析。故人のスマートフォンの所有率の増加や、データの重要性が増していることが理由として考えられるという。
スマホロック解除を言い出すのは「親族」が最多
故人のスマホロック解除を誰が最初に提案したかをたずねたところ、「親族」(故人の配偶者・子供・親を除く)が30%、「故人の配偶者」と「故人の子供」が17%、「弁護士・税理士・司法書士」が8%、「知人」と「故人の親」が7%、「覚えていない・その他」が15%という結果となった。
ロック解除を試みた理由として最も多かったのは「連絡先を確認したかった」が22%で、続いて「データ・写真を取り出したかった」が21%、「LINE などのメッセージ確認」が17%という結果だった。このことから、遺族が故人との繋がりや大切な思い出を求めていること、また、葬儀の連絡や様々な手続きに必要な情報を探していることがうかがえるとしている。
一方で、「サブスク解約」「認証コード受取」「金融資産の取り出し」などの経済的・実務的な理由も一定数存在した。スマートフォンでの金融資産管理が今後さらに一般化すれば、ニーズは上昇していくとGOODREIでは予測している。
11%のスマホはロックがかかっていなかった
スマートフォンのロック方法では「パスワード」が36%と最多で、続いて「PIN」が22%。その次は「ロックはかかっていなかった」で11%となった。
スマホロック解除の成功率は「予想以上」の76%!
遺族が故人のスマートフォンのロック解除を試みた結果では、「解除に成功した」が76%、「解除に失敗した」24%。GOODREIは「予想以上に高い成功率と言えます」とコメントしている。
調査結果を受け、弁護士の坪内清久氏もコメントを寄せており、76%という高いロック解除の成功率には、パスワードの設定が甘いスマートフォンが多かったのではないかと推測している。
遺族が用いた手法別の成功率では、「故人が普段使っていたパスワード、ロック解除方法を試す」が 76%、「故人の生年月日などからパスワードを推測する」が 54%。故人との関係性が深い家族だからこそ知り得た情報や推測によって解除できたケースが多いという。
なお、故人の顔や指紋、写真を使った認証に関しては、GOODREIが専門的見地から「現在のスマートフォンは高度な生体認証を採用しており、写真や死後の指紋による認証は極めて困難で、顔認証も生体検知機能により成功しない場合が多いと考えられます」とコメントしている。
遺族からの声「ロック解除方法は知りたい」
ロック解除に苦労した経験を持つ遺族に「故人が亡くなる前にしておいてほしかったこと」を質問をしたところ、「スマートフォンのロック解除方法を教えておいてほしかった」が最多となった。1ポイントの僅差で「金融資産の種類、金額、取り出し方を教えてほしかった」「断捨離しておいてほしかった」が続いた。
調査結果から、故人のスマートフォンロック解除は遺族にとって重要であり、76%の成功率は生前の情報共有が大きく影響することが判明した。解除できない場合は、思い出や経済的不利益のリスクにつながる可能性があるとしている。この現状を踏まえ、GOODREIは事前の話し合いが遺族の負担を減らすとして、「デジタル終活」を推奨している。