NTT西・イオン・シャープ、NFC搭載のAndroidタブレットを使った家庭向けサービス

~ネットスーパーや家庭向けコミュニケーション、電子書籍販売など


左から、シャープ株式会社 常務執行役員 ビジネスソリューション事業統括 兼 ドキュメントソリューション事業本部長の中山藤一氏、NTT西日本 取締役 小林充佳氏、イオン株式会社執行役ITグループ責任者 縣 厚伸(あがた あつのぶ)氏、株式会社ハーストリィプラス 代表取締役 佐藤 緑氏

 イオン株式会社、西日本電信電話株式会社グループ(以下NTT西)、シャープ株式会社の3社は、ネットスーパー機能を搭載した主婦層向けのAndroidタブレットを利用した「A touch Ru*Run(エー タッチ ル*ルン、以下Ru*Run)」サービスを3月12日より提供すると発表した。2013年度にタブレット端末台数で30万台の展開を目指す。

 専用のタブレット端末は、家庭用としては国内ではじめてNFC(非接触カードリーダー)を搭載したAndroidタブレットとなる。7インチの「RW-N107」が3万9800円、10.2インチの「RW-N110」が4万9800円。タブレット端末の利用には、NTT西が提供する「くらしフルサービス(月額315円/年額3465円)」の申し込みが前提となる。

 NTT西、イオン、シャープの3社は、2011年2月15日に協業開始を発表。主婦層向けのマーケティング事業を手掛ける株式会社ハーストーリィプラスの協力を得てサービスの検討を進め、2011年8~10月には広島県内の主婦30名(平均年齢39歳)を対象として、端末およびサービスのトライアルモニターを実施。モニターの意見をフィードバックした上で、今回のサービスイン発表となった。

 サービスは、イオンの「イオンネットスーパー」と電子マネー決済、NTT西の提供する「くらしフルサービス」、シャープの電子コンテンツサービス「GALAPAGOS STORE」の3つを柱とする。Android OSはバージョン2.3を搭載。Android OSやアプリも利用できる。

 端末は関東・広島エリアのイオンリテール株式会社が運営するイオン店舗よりタブレット端末の提供を開始し、順次全国展開を図る。

 ユーザーインターフェイスとしては、イオンネットスーパー、くらしフルサービス、GALAPAGOS STOREがそれぞれメニュー画面を持ち、Android OSのメニュー画面を加えて4つのメニューをホームボタンで切り替えて利用する形になる。

 


NFC搭載端末でWAON決済も可能に。将来的にはアプリ単独の提供も

 イオンは、「イオンネットスーパー」の展開や、最寄りのイオン実店舗のチラシ配信、イベント情報などを提供。また、今回の専用タブレット端末はNFCを搭載しており、FeliCaに対応した非接触ICカードによる決済や決済履歴の参照などが可能で、2012年度上期よりイオンの電子マネー「WAON」での決済にも対応する予定だ。

 イオンでは、買い物の時間がない主婦など、買い物に不自由のある層にネットスーパーを提案していくほか、イオングループの総合金融事業やサービス事業、専門店事業などのコンテンツも展開する考えだ。

 イオン株式会社執行役ITグループ責任者 縣 厚伸(あがた あつのぶ)氏は、「ご家庭の中にあるイオンのコンシェルジェのような位置づけで、イオンの窓口としてお客さまの生活の利便性向上につながるサービスを提供したい」と述べた。

 縣氏は今後の方針として、「まずは3社のサービスに注力し、サービスを固めたいと考えている。将来的には、ネットスーパーのアプリ単体での提供は視野に入れている」とコメント。時期は未定だが、ネットスーパーは専用端末のみにこだわるわけではなく、アプリ単体での提供も前向きに考えていることを示した。

 また、主婦向けとしては端末の価格が高いのではという質問に、「端末購入したユーザーには、ネットスーパーで使えるポイントを5000~1万ポイント付与するなどのキャンペーンを検討中」だとして、ポイント付与によるキャッシュバックなどを行う考えを示した。また、毎月購入金額に応じてポイントを付与したり、2年間継続利用した場合にポイントを付与するなども検討しているという。

イオングループ成長戦略:4つのメガトレンド業態別売上げで、1兆円から6兆円に成長するまでの期間比較リアル店舗からデジタルワールドへ。ネットスーパーは、まずイオンの既存顧客がターゲット
専用端末の販売は、家庭の居間に、イオンのコンシェルジェのいる受付カウンターを設けるという考え方Androidオリジナルアプリでは、PCより使いやすい操作性にこだわった。将来的にはアプリ単体を提供する考えも季節に合わせたグラフィックの変化、天気やお買い得情報などで継続的なリピートを狙う


光回線の活用を~NTT西

 NTT西は、同社の「家まるごとデジタル化(家デジ)構想」の一環として、すでに光回線を導入した1700万世帯に広くなった帯域の活用を提案するとともに、家庭内でのWi-Fi活用を促進したい考えだ。

 NTT西日本 取締役 小林充佳氏は、「東日本大震災をきっかけに、家族の絆が見直される中で、家庭の中心となる主婦が使いやすい端末とサービス、また家族間のコミュニケーションを促進するようなサービスをと考えた」と「A touch Ru*Run」の狙いを説明。

 NTT西の提供する「くらしフルサービス」では、子どもが帰宅したことを携帯電話で外出先でも確認できる親子間のコミュニケーションツールや、メモリーカードを挿し込むと家族の思い出を簡単に管理できるアルバムサービス、生活シーンから選べるレシピ、家族みんなで共有できるシールスケジューラーなど、家族のコミュニケーションを活性化させるツールを提供する。

 また、これまでのパソコンやタブレット端末では、使い始めにつまづいて、「わかりにくい、難しい」という印象を持ってしまうユーザーが多かったと思われることから、サポートを充実。専用のサポートツールをインストールして出荷。オペレーターが顧客の承諾を得た上で、顧客のタブレット端末の画面を遠隔で共有・操作しする機能を持たせた。

3社の位置づけ「A touch ru*run」事業概要一部機能やアプリケーションの提供企業
NTT西日本の成長戦略「家デジ」のコンセプト基本サービスとなる「くらしフルサービス」の特長


GALAPAGOS STOREでは女性向けコンテンツを強化

 シャープは、7インチの「RW-N107」と10.1インチの「RW-N110」の専用タブレット端末2機種を開発。これまで国内のコンシューマ向け市場ではなかったNFCを搭載することで、FeliCaやWAONなどの電子マネー決済に対応可能な端末となっている。

 7インチのRW-N107は、ROM 8GB、RAM 512MBを搭載。ディスプレイは7型ワイドTFT液晶(1024×768ドット)。NFCは、ISO 14443 Type AとFeliCaに対応する。連続動画再生時間は約8時間。サイズは約130×194×11.5mm(縦×横×厚)、重量約395g。

 10.1インチのRW-N110は、ROM 8GB、RAM 1GBを搭載。ディスプレイは10.1型ワイドTFT液晶(1280×800ドット)。NFCは、ISO 14443 Type AとFeliCaに対応するほか、Type Bにも対応予定。連続動画再生時間は約9時間。サイズは約180×260×9.9mm(縦×横×厚)、重量約640g。

 その他2機種の共通仕様は、CPUにはTI OMAP 4430(1GHz)を採用、OSはAndroid 2.3を搭載する。タッチパネルは静電容量方式。接続端子はMicro USB、Micro HDMI、Micro SDメモリーカードスロット、イヤホンマイク端子。通信機能は、IEEE 802.11a/b/g/nの無線LAN、Bluetooth(V2.1+EDR)に対応。1.5W×2のステレオスピーカーを内蔵する。内蔵カメラは前面200万画素、背面300万画素。背面のカメラはオートフォーカス機能を備える。充電時間は最大5時間。

 また、シャープは電子コンテンツストアサービス「GALAPAGOS STORE」を提供。シャープ株式会社 常務執行役員 ビジネスソリューション事業統括 兼 ドキュメントソリューション事業本部長の中山藤一氏は、「NFC搭載は、タブレット端末では国内初。電子決済、ポイントの確認、ログインなどで便利にお使いいただけると思っている」とコメント。ショッピングや、あるいはSUICAなどの利用履歴確認や残高照会にも使える非接触ICカードリーダーライター機能をアピールした。

 また、GALAPAGOS STOREについては「2010年暮れからスタートしたが、現在5万4000くらいのタイトルを揃えており、国内の電子書籍ストアでは最も多い部類に入るだろう。GALAPAGOS STOREの特長としては雑誌や新聞を多く取り揃えている点が上げられるが、今回は女性がターゲットということで、女性向けコンテンツの充実に力を入れている」とした。

シャープのスマートデバイス展開NFC標準搭載のほか、11a/b/g/nに対応した無線LAN機能、大容量バッテリーなど基本的な性能にこだわったというくらしフルサービス、イオンネットスーパー、GALAPAGOS STORE、Androidホームと、ホームボタンを押すたびにメニュー画面が切り替わる
NFC搭載で、年内にはWAONカード決済に対応する見込みGALAPAGOS STOREは新聞・雑誌コンテンツなどの定期購読機能が特長主婦層がメインターゲットということで、女性向けコンテンツを拡充



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(工藤 ひろえ)

2012/2/22 20:33