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「75万円の特別控除」を最大限に受けるには? 22年ぶりの青色申告制度の大変革と注意点、freeeが解説
2026年4月14日 06:10
青色申告制度の22年ぶりになるという大変革が行われ、最大特典である「75万円の特別控除」をフルに享受するためにはデジタル化が必須となる。フリー株式会社(freee)が4月8日、「令和8年度(2026年度)税制改正大綱」に関するメディア向け勉強会を開催し、改正による変更点を解説するとともに、紙での申告のままでは控除額が大幅に引き下げられることなどを説明。青色申告のデジタル化を最大限に活かすアプリケーションをfreeeで提供する方針であることも紹介された。
紙のままでは、特別控除が55万円→10万円に激減のパターンも
今回の税制改正によって、2027年から個人事業主が受ける青色申告の4大特典は以下の通りとなる。
- 青色申告特別控除(基準を満たすシステム利用で最大75万円に)=所得(利益)から最大75万円を差し引けるため、その分にかかる税金がゼロに。
- 青色事業専従者給与(家族への給料を経費化)=生計を共にする家族に支払う給料を、妥当な範囲内であれば全額経費化。
- 純損失の繰越しと繰戻し(赤字の活用)=事業で赤字が出た場合、その赤字を捨てずに有効活用。
- 少額減価償却資産の特例(40万円未満資産の一括経費化)=1個40万円未満のものなら、年間合計300万円までその年の経費に算入可能。
1.と4.が改正による変更点となっており、青色申告特別控除の額が従来の最大65万円から最大75万円に拡大。少額減価償却資産の特例も、従来の1個30万円未満から同40万円未満に拡大する。
1.の75万円に拡大する特別控除を受けるためには、デジタル化が必須。「正規の簿記」とともに、「e-Taxによる電子申告」はもちろんのこと、「データ連携方法として、デジタルシームレスへの対応」または「帳簿保存方法として、優良な電子帳簿への対応」が必要となる。正規の簿記と電子申告だけでは、従来と同額の65万円にとどまる。
一方、正規の簿記で記帳していたとしても、紙による申告をした場合、控除額は10万円に激減する(従来は55万円)。同じく正規の簿記で記帳していて、優良な電子帳簿で保存していたとしても、申告を紙で行った場合にも控除額が10万円に激減する(従来は65万円)。これを機に、電子申告へ移行することが推奨された税制改正と言えるだろう。
「e-Taxが普及し、日々の記帳についてもデジタル化することによって、個人事業主の記帳水準の向上、つまり適正にソフトウェアを使い、複式簿記でしっかり事業のトラッキングができる状態の実現してほしいということではないか。
前段として、私たちが提供するようなクラウド会計ソフトが一般化している。日本商工会議所に安価な会計ソフトと言っていただいているが、個人事業主であれば月額1000円から使えるプランもある。そういうソフトを使って簡単に複式簿記が付けられるようになっている環境の変化が、税制改正大綱の中でも指摘されている。」(freee金融渉外部長/プロダクトマネージャー/スモールビジネス総合研究所所長、慶應義塾大学特別招聘講師の小泉美果氏)。
特別控除+10万円のためには「優良な電子帳簿」か「デジタルシームレス」
では、控除額+10万円を獲得できる「優良な電子帳簿」と「デジタルシームレス」なデータ連携とは、何を指すのだろうか?
まず、優良な電子帳簿だが、これは、取引の訂正・削除をした事実を確認可能であることと、複雑な検索(日付・取引先・金額等)が可能であること――という要件を満たす会計ソフトが前提になるという。
訂正・削除履歴の確保とは、「記録事項の訂正・削除を行った場合の事実内容を確認できること」と「通常の業務処理期間を経過したあとに行った入力の履歴を確認できること」を指している。複雑な検索とは、検索機能として、1)取引年月日、取引金額、取引先により検索ができること、2)日付または金額の範囲指定により検索できること、3)2つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること――を持っていることとなる。
「要は、帳簿付け、売り上げが立ちましたと仕訳を切ったとき、その売り上げ仕訳履歴などがあとから検証できる、記録されているものを指す。デジタルの強みが検索と履歴となるので、優良電子帳簿に対応したソフトを使い、帳簿付けを行っていくと、特典が受けられることになる。対応した会計ソフトを使い、あとは事務処理規定の用意、事前に優良帳簿で記帳することを税務署に届け出することなどにより、75万円の特典を受けることができる。」(小泉氏)
freeeでは、「『freee会計』の全プランが優良電子帳簿に対応済み」とアピールしている。
もう1つのデジタルシームレスとは、少なくとも「他システムから取引データを電子のまま連携」「取引の訂正や削除した事実を確認可能」という要件を満たしたシステムが前提になるという。
デジタルシームレス制度の代表的なものとして、「デジタルインボイス(Peppol)」や「銀行API連携を用いた入出金明細の自動取得」がある。
「デジタルシームレスは、新しい概念として税制上にできたもの。要は、銀行の入出金明細のデータをそのまま会計ソフトに連携し、訂正・削除ができないかたちのものを会計ソフトに取り込んでいく。銀行APIのほかにもう1つ、Peppolという規格を利用する方法もあるが、取引先に依頼し、請求書等のやり取りをPeppolに則った形式に統一してもらうことが必要になる。
スモールビジネスを行っている事業者にとっては、取引先に『Peppolに則った請求書などの受発注をお願いします』と申し出ることは、なかなか難しいのではないか。一方、銀行APIは、freeeをはじめ、いろいろな会計ソフトが連携を実現できている。しかも、取引先に依頼するといった必要がなく、自社の内部処理だけで進められるものでもあり、スモールビジネスにとっては使いやすいと思われる。」(小泉氏)。
なお、銀行APIを利用する際の注意点として、「銀行の入出金明細をfreee会計に連携するだけではなく、訂正・削除履歴が残る、入出金明細を編集できないようにするといった要件も、デジタルシームレスにはかかってくる。この点を注意点として挙げておきたい」(小泉氏)と強調した。
あと8カ月のうちにデジタル化の準備を
タイムスケジュールとしては、2026年の年末までにデジタル化の準備を進め、法令が施行される2027年の年初からは優良な電子帳簿かデジタルシームレスに対応したシステムを利用した記帳を開始できるよう準備を進めることになる。
「2026年は残り8カ月ある。この間に、複式簿記ができるソフトを導入し、税務署への届け出を行い、2027年1月1日からデジタルシームレスで銀行API連携を行い、履歴が残る仕訳で帳簿付けを行っていくと、2028年の2月~3月の確定申告のときに最大限の75万円の控除が受けられることになっていく。」(小泉氏)
freee製品における優良な電子帳簿とデジタルシームレスへの具体的な対応については、同社の内門佑介氏(会計申告グループ 会計プロダクト戦略部 部長)が紹介した。
「優良な電子帳簿に対しては、freee会計全プラン対応済みとなっている。作成をした、削除をした、更新したといった操作を行った際のログが全て確認できるようになっている。
デジタルシームレスについても、freee会計自体も銀行API対応し、全国の銀行とAPI接続を行っている。入出金明細の自動取得をすることが可能になっている。具体的には、日付、適用内容、そして金額を取得し、仕訳自動化にも対応したシステムになっている。」
最後に、freeeの方針として「法律の改正、アップデートは毎年実施されているが、そこに迅速に対応していることを改めてお伝えしたい。直近で言えば、働き方改革関連法、電子帳簿保存法、インボイス制度、フリーランス法など、また、会計にとどまらない領域の法改正も行われている。freee自身も、会計にとどまらず、人事、労務、販売、申告など、広いバックオフィスの領域をカバーしている。そして、だからこそできるソリューションもあると考えている。事業者の方が、(法改正等は)あまり気にせず、普段の業務をやっていると自然と対応できていたというようなシステムを構築するべく、これからも頑張っていきたいと考えている」と内門氏は締めくくった。








