Googleが衆院選サイト、ユーザーの質問に候補者がYouTubeで回答


未来のためのQ&A

 グーグルは13日、選挙関連情報を提供するプロジェクト「Google 未来を選ぼう2009」を開始した。同プロジェクトでは、同日から開始する「未来のためのQ&A」と、衆院選の公示日以降に開設する「未来を選ぼう 衆院選2009」といった2つのサイトを用意する。

 「未来のためのQ&A」では、ユーザーから立候補予定者や政党、政治団体への質問を受け付ける。利用するにはGoogleアカウント(無料)が必要。景気、教育、環境など12のトピックで質問を投稿できるほか、質問への投票も可能だ。なお、1つの質問に対する投票回数は、1アカウントにつき1回まで。同サイトは、質問まとめサービス「Google モデレーター」を使用する。

 各トピックの中から得票数の最も多い質問を1つ(合計12件)選び、さらにその中から得票数上位5件を衆院選の立候補予定者に質問する。回答は、衆院議員選挙に立候補する資格を有する人や、政党、政治団体が動画共有サイト「YouTube」で行う。回答者は自ら動画を作成し、自分のYouTubeアカウントで動画をアップロード。公開用URLを「未来のためのQ&A」サイトにある回答者エントリーページで登録する。

 回答動画は、エントリーした回答者の立候補を確認した上で、「Google 未来を選ぼう2009」サイト上に掲載するほか、YouTubeにある政党公式動画のまとめページ「日本の政党」にも掲載する。なお、立候補の確認は、日本インターネット新聞社が運営する選挙サイト「ザ・選挙~全国政治家データベース」の協力で行う。「ザ・選挙」からは、立候補者の基本データ(氏名、生年月日、選挙区など)も提供される。

 衆院選の公示日以降は、選挙情報サイト「未来を選ぼう 衆院選2009」を公開する。選挙区ごとの立候補者情報や、選挙関連の情報を掲載。内容の詳細は現在作成中だが、Googleの検索エンジンを利用し、インターネット上にある当該立候補者の情報をまとめて閲覧できるようになるという。

 立候補予定者への質問受け付けは、「未来のためのQ&A」で13日から開始しているが、受け付け期間や、その後のスケジュールは衆院解散・総選挙の日程が確定した段階で明らかにする。

政治のネット活用、米国と日本では彼我の差

グーグルの辻野晃一郎代表取締役社長

 グーグルが13日に開催した記者会見において、同社の辻野晃一郎代表取締役社長は、「米国の大統領選挙では、Googleのサービスをはじめ、インターネットが活用された。日本でもインターネットをもっと有効に活用することで、政治の発展にもつながる。それに関して、Googleが役に立てる余地がまだあると考えた」とコメントした。

 今回のプロジェクトについては、「選挙の際、立候補者の客観的な情報を簡単に得られない現状がある。Googleのサービスを利用することで、立候補者の情報を得て、深く理解した上で、さらには立候補者と有権者の対話も実現できると考えた」と説明。なお、プロジェクトの開始に合わせて「Google モデレーター」の日本語版を公開した。

 辻野社長は、「政治のインターネット活用において、米国と日本では彼我の差を感じる。公職選挙法の縛りもあり、日本は遅れている。公示後でも、インターネットをアクティブに利用できるようになれば、ネットメディアも有効に活用されるのではないか」と語った。今回のプロジェクトに参加する立候補者の想定人数は、「未知数だが、できるだけ多くの立候補者に利用してもらいたい」とした。

Google 未来を選ぼう2009の概要未来のためのQ&Aの仕組み

複数アカウントなどでの不正投票には人的に対処

 シニアマーケティングマネージャーの馬場康次氏は、プロジェクトの詳細を説明した。公職選挙法に則り、質問の締め切り、立候補者への質問の呼びかけ、および回答動画の掲載は選挙の公示日までに行う。

 「Google モデレーター」は、Web上で質問を募り、ユーザー投票で有益な質問をピックアップしやすくするサービス。元々はGoogleが社内向けに開発したものだ。一般公開後は、オバマ米大統領がタウンホールミーティングに活用した。なお、グーグルが選挙で公式に「Google モデレーター」を使用するのは今回が初めてになるという。

 「Google モデレーター」を利用した「未来のためのQ&A」では、ログインした状態で質問のトピックをクリックすると、投稿された質問をランダムで表示。その質問が良い質問だと思うかを「はい」「いいえ」で投票する。投票すると次の質問が表示される流れ。トピックページでは、得票数の多い順で、質問を一覧表示する。不適切な質問を報告することも可能だ。

 質問や投票を1アカウント1回に限定することで、重複投票による得票数の操作を防ぐ。複数アカウント(あるいは複数人)が同じ質問に投票する、または不適切報告をするといった行為をシステム的に防止する機能はないが、「規約に反する利用や、明らかに不自然な投票などがあれば、運営側で対処する。また、利用者が増えることで、自然な形で票が集まるようになる」とした。

 回答動画は、「衆院議員選挙に立候補する資格を有する人や、政党、政治団体」が投稿することになるが、実際に立候補するか否かに関わらず、YouTubeへの投稿・公開、および回答者エントリーは可能だ。回答動画を複数投稿・エントリーした場合は、最後にエントリーした1本を掲載対象にする。「Google 未来を選ぼう2009」や「日本の政党」に掲載されなかった回答動画は、YouTubeで視聴できる。

未来のためのQ&Aの質問トピック質問投稿画面

質問への投票プロジェクトに賛同した著名人が立候補者に質問する動画を公開

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(野津 誠)

2009/7/13 18:49