ヤフー、選挙中のネット利用解禁を求めて署名活動を開始
ヤフーの署名サイト「来年も、今年と同じ選挙でいいですか?」 |
ヤフーは28日、選挙期間中のインターネット利用の解禁を求めるため、賛同署名を求めるページを開設した。Yahoo! JAPANのトップページからもリンクされており、集めた署名は次期通常国会をめどに議員や関係省庁に渡す予定。
現在、日本の公職選挙法では、候補者は選挙期間中には法律で定められた文書図画以外は頒布できないとされているため、Webやメールを用いた選挙活動を行うことができない。また、候補者は選挙区内の人への挨拶状も自筆以外は出してはならないとされているため、選挙後に当選御礼などをWebに掲載したところ、違反だと指摘されるケースも数多いという。
ヤフーの別所直哉氏 |
ヤフーのCCO(Chief Compliance Officer)兼法務本部長の別所直哉氏は、米国や英国などでは選挙運動のネット利用にはほとんど規制はなく、日本と同様に選挙運動の手法に規制を設けているフランスや韓国でもネット利用は制約付きながら認めており、全面禁止となっているのは日本だけだと説明。選挙は、表現の自由や知る権利が最大限尊重される必要がある場面であり、選挙に関する情報をインターネットを通じて手に入れることができるよう、賛同の署名を集めて要望していくことにしたという。
また、候補者だけでなく一般ユーザーも、支持する候補者の応援メッセージをブログやSNSに書き込むことや、候補者の活動を動画で紹介することなども、選挙期間中は違反にあたり、実際に個人のブログでそうした活動を行っていたユーザーに対して、警察から注意があったという事例を紹介。こうした制約が、ユーザー間での議論の妨げにもなっているとした。
別所氏は、過去に自民党の勉強会などに呼ばれてこの問題について説明した際には、特に誹謗中傷の問題を危惧する議員がいたが、問題となる投稿を削除するための仕組みが整備されるなど、その頃とはだいぶ状況が変わっていると説明。署名活動を通じて、次期通常国会での検討を求めていくとした。
現状では、ヤフーも公職選挙法に基づく対応を行っており、前回の衆院選では「Yahoo!みんなの政治」への投稿を一時停止したり、公職選挙法違反となるような掲示板の書き込みのチェックなどを対策として実施したという。選挙期間中のネット利用が解禁になった場合に、どのようなサービスを提供していきたいかという質問については、「具体的なサービスやビジネスへの影響は、この件については全く考えていない。インターネットという有用な表現手段を適切に使える環境を作っていくことが、インターネットでビジネスをしている企業の社会的な責任の一つだと考えている」と説明。現在、他のネット企業にも呼びかけており、今後は賛同する会社と連携してこの問題に取り組んでいきたいとした。
公職選挙法の「文書図画」禁止の条文 | 公職選挙法の「挨拶状」禁止の条文 |
現状、選挙期間中の情報発信にネットは利用できない | 「挨拶文」をWebに掲載して指摘を受けた事例 |
ユーザー側も選挙期間中は公職選挙法に制限される | 諸外国では選挙期間中もネット利用は認められている |
関連情報
(三柳 英樹)
2009/10/28 14:12
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