ヤフー、「インターネット クリエイティブアワード2009」発表
「Yahoo! JAPAN インターネット クリエイティブアワード2009」受賞者 |
ヤフーは18日、「Yahoo! JAPAN インターネット クリエイティブアワード2009」の贈賞式を都内で開催した。一般の部のグランプリは「Blogopolis」、企業の部のグランプリは「どこでもラスガイ」が受賞した。
「Yahoo! JAPAN インターネット クリエイティブアワード」は、Web上で革新的な制作を行うクリエイターとインターネットの広告活動を顕彰する目的で実施しているもの。今回で4回目を迎える。
今回の応募総数は615作品。この中から、1次審査や最終審査を経て21作品が受賞した。賞は「一般の部」「企業の部」にて「グランプリ」のほか、それぞれの部の「ウェブコンテンツ部門」と「バナー部門」において、「Gold」「Silver」「Bronze」を設定。このほか2009年に新設した特別賞として、「Creative Hack賞」「Sliverlight賞」「デジタルハリウッド賞」の3賞がある。
贈賞式冒頭で、ヤフーの井上雅博代表取締役社長は「年々応募作品の質がクリエイティブになってきている」とコメント。「Webの技術は他のメディアと比べると非常に速く進化する。その技術をどのようにクリエイターが活用するか興味が尽きない」と述べた。
ヤフーの井上雅博代表取締役社長 | 昨年開催された「クリエイティブアワード2008」で一般の部のウェブコンテンツ部門で「Silver」と審査員特別賞を受賞した「はんぶんこ待受」。受賞後の展開が紹介された |
●「一般の部」グランプリは国内のブログを3Dマップで表示する「Blogopolis」
「一般の部」でグランプリを受賞した「Blogopolis」(制作:浜本階生氏)は、主に国内で開設している約23万のブログを3Dマップとして表したもの。それぞれのブログには、閲覧数などに応じた大きさの建物が割り当てられる。Open IDを利用し、ログインすると自分の所有するブログの建物部分をペイントできる。
選評では「23万のブログを可視化するという、根気良く仕事をしないと実を結ばないサービス。これだけのものを個人として作り上げる努力とスキルの高さが評価された」とされた。浜本氏は「面白い物を作りたかった。それが評価されて嬉しい」とコメント。浜本氏にはトロフィーとして「ブラックキューブ」と賞金100万円が授与された。
「一般の部」ウェブコンテンツ部門のGoldでは、「ENDLESS NIGHTMARE」(制作:山本文氏・森本友理氏)が受賞。Flashを利用したコンテンツで、「夜に見る夢の世界をWebサービスで表現した」という。
「一般の部」バナー部門ではテーマごとに作品を募集。ヤフーが設定したテーマ「LIFE ENGINE」では、Yahoo! JAPANのロゴが犬のように動く「Yahoo! DOG」(制作:ADBRAIN interactive division)がGoldを受賞。社団法人公共広告機構が設定したテーマ「公共広告」では、球体に描いた落書きを消していく様子を描いた「描いたあとは」(制作:大村昇平氏)がGoldを受賞した。
「Blogopolis」デモ画面 | 「Blogopolis」を制作した浜本階生氏 | 「一般の部」ウェブコンテンツ部門受賞者 |
●「企業の部」グランプリはPS3ゲームのプロモーション「どこでもラストガイ」
「企業の部」グランプリは、「どこでもラストガイ」(クライアント:ソニー・コンピュータエンタテインメント、制作:IMG SRC)が受賞。プレイステーション 3専用タイトル「The Last Guy」のプロモーションとして制作され、専用サイトにユーザーが任意のURLを入力することで、該当URLのサイトを舞台にゲームが体験できる。
選評では「満場一致でこの作品に決定した。思いつきから実行、定着まで、作品が仕上がるまでの流れが完璧に出来ている」とされた。広告代理店となった電通は「1週間で国内外から660万アクセスがあった。Webが世界と繋がっていることを実感した作品」と語った。
「企業の部」ウェブコンテンツ部門のGoldは、ユニクロのパーカーを着た写真をリレー形式で繋げて表示する「TOKYO FASHION MAP」(クライアント:ユニクロ、制作:電通テックなど)が受賞した。
また、「企業の部」バナー部門のGoldは、「ウルトラマン・オフィシャルデータファイル」が受賞(クライアント:デアゴスティーニ・ジャパン、制作:博報堂アイ・スタジオ)。ウルトラマンを題材にオンマウスで必殺技を繰り出すことができる。デアゴスティーニ・ジャパンの担当者は、「男性であれば一度は必ずスペシウム光線のポーズをしたことがある。何度もオンマウスしてもらえたところがよかった」と述べた。
「どこでもラストガイ」デモ画面 | 「ウルトラマン・オフィシャルデータファイル」デモ画面 | 「企業の部」ウェブコンテンツ部門の受賞者 |
●「突出した作品が少ないことが残念。来年に向けてチャレンジを」
全エントリー内でAPIを利用した作品を対象とした「Creative Hack賞」は、「ToriSat~国際宇宙ステーションを見よう!」(制作:ごうだまりぽ氏)が受賞。「ToriSat」は、Google マップでストリートビューを表示させると、人工衛星がアニメーションで表示されるもの。面白法人カヤック代表取締役の柳澤氏は、授賞理由として「個人にもかかわらず人工衛星という大きなテーマを利用した企画を評価した」と話した。
マイクロソフトのプラグイン「Silverlight」を利用した作品を対象とした「Sliverlight賞」には、Web上で本の装丁をデザインできる「logpaper novel editor」(制作:コンテンツワークス株式会社)が選ばれた。
また、一般の部エントリーで25歳以下の作者による作品を対象とした「デジタルハリウッド賞」は、英語の正しい発音を聞けるというアプリケーション「英語発音マップ」(制作:長澤智也氏)が受賞。授賞理由として「あったらいいけれど作るのは大変という、挑戦をしり込みするタイプのアプリ。プログラミング能力とアイデアを総合して決定した」ことが挙げられた。
「インターネット クリエイティブアワード2009」贈賞式の終わりは、GT INC.のクリエイティブディレクターを務める内山光司氏の総評で締めくられた。内山氏は審査員に共通した見解として「2009年は特にスキルやアイデアの平均的な品質が向上した。受賞作品は技術や表現を高いレベルで実現している」とした上で、「1つだけ残念なのは、突出して抜きん出る作品が少ないこと。“一般の部”という誰もが応募できる機会が用意されているので、登竜門として来年に向けてチャレンジして欲しい」と語った。
「ToriSat~国際宇宙ステーションを見よう!」デモ画面 | 「英語発音マップ」デモ画面 | GT INC.クリエイティブディレクターの内山光司氏 |
関連情報
(村田 奏子)
2009/11/18 21:28
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