最高裁、「ロクラク」訴訟でも審理差し戻し
「複製の主体は利用者」とした二審判決を破棄
日本デジタル家電のサイト |
最高裁判所は20日、日本デジタル家電のHDDレコーダー「ロクラクII」のレンタルサービスに対して、NHKと民放テレビ局9社が放送番組の複製権侵害にあたるとしてサービスの差し止めと損害賠償の支払いなどを求めていた訴訟の上告審判決で、テレビ局側の訴えを認めなかった知財高裁の二審判決を破棄し、審理を知財高裁に差し戻した。
ロクラクIIでは、2台の機器を親機・子機として利用し、インターネット経由で子機から親機に録画を指示し、録画した番組を転送する機能を備える。日本デジタル家電では、親機をレンタル、子機をレンタルまたは販売し、海外の利用者などが日本の放送番組を録画・視聴できるサービスを提供している。
一審の東京地裁は2008年5月、日本デジタル家電は親機の設置場所を提供するなど、複製行為を管理・支配していると認定。日本デジタル家電が複製の主体にあたり、それによる利益も得ているとして、合計733万円の損害賠償を命じた。
これに対して二審の知財高裁は2009年2月、日本デジタル家電の管理・支配する場所に親機が設置されていたとしても、サービス利用者の私的複製を容易にするための環境などを提供しているに過ぎないとして、日本デジタル家電は複製の主体にはあたらないと認定。一審判決の損害賠償命令などを取消した。
最高裁判決では、「複製の主体の判断にあたっては、複製の対象、方法、複製への関与の内容、程度などの諸要素を考慮して、誰が当該著作物の複製をしていると言えるかを判断するのが相当」だとした上で、放送番組の場合にはアンテナで受信した放送を機器に入力しなければサービスとして成立せず、この行為はサービス提供に不可欠な「放送番組の複製の実現における枢要な行為」であり、サービス提供者が複製の主体であると解するのが相当だと指摘。原審判決を破棄し、審理を知財高裁に差し戻した。
最高裁では18日にも、ロケーションフリーを利用したテレビ放送の中継サービス「まねきTV」に対する訴訟で、送信可能化権の侵害にはあたらないとしていた二審判決を破棄し、審理を差し戻す判決を言い渡した。
関連情報
(三柳 英樹)
2011/1/21 15:28
-ページの先頭へ-