あの店員と交流できる――飲食店サイト「カンバン娘」がソーシャル化
株式会社カンバン娘は1日、飲食店の看板スタッフを紹介するサイト「カンバン娘」をリニューアルした。看板スタッフとユーザーがコミュニケーションを行えるプラットフォームを導入したのが特徴だ。
カンバン娘のトップ画面(左)とスタッフページのトップ画面 |
カンバン娘は、ユーザーから寄せられた投稿をもとに同社の従業員が飲食店を訪問し、写真とインタビューを通じて看板スタッフを紹介するサイトとして2010年5月にオープン。男性スタッフにスポットを当てた「カンバン男子」も展開しており、これまで都内の店舗を中心に男女合計で約400人の看板スタッフを紹介してきた。
従来は雑誌をモチーフにしたコンテンツとして、看板スタッフの情報を掲載することがメインだった。リニューアル後は、看板スタッフとユーザーの交流、ユーザーが発掘した看板スタッフ情報の共有、看板スタッフへのネットチップのプレゼントなどが行えるようになった。カンバン娘とカンバン男子は別サイトだったが、リニューアルを機に統一した。
利用するにあたっては、店舗や看板スタッフ、ユーザーがそれぞれアカウントを開設する必要がある。Facebook、Twitter、mixiのIDを使ったアカウント開設にも対応する。これにより例えば、看板スタッフが今日のまかないやお店の様子、プライベートなどの近況を投稿できる。一方、ユーザーがコメントを返すことで双方の交流が図れるようになる。
カンバン娘のサービスイメージ |
●“ごひいき”と“おひねり”で看板スタッフを応援
ユーザーがお店やスタッフとコミュニケーションを行うには、サイト上で“ごひいき”ボタンを押す必要がある。ごひいきはTwitterでいうところの“フォロー”と同じ意味。ごひいきになることで、ユーザーの食事の好みやステータスを店舗やスタッフに公開することが可能となり、飲食店で“より深いサービス”が受けられることもあるという。
“おひねり”と呼ばれるネットチップを看板スタッフにプレゼントする機能もある。ユーザー登録時には100ポイントが付与され、1回10ポイントずつプレゼントできる。おひねりポイントは、看板スタッフの発掘投稿を行うことでも取得可能。看板スタッフが得たおひねりは、1ポイント=1円換算でAmazonポイントやクオカードと交換できる。
また、これまでユーザーから看板スタッフの投稿を受け付けていたが、カンバン娘の取材を通さない限り、その情報はサイトに掲載されることはなかった。しかしリニューアル後は、投稿された情報がダイレクトにサイトに反映され、フォローしあっているユーザー同士でその情報を共有できるようになった。
看板スタッフの発掘投稿を行うにはまず、サイト上で該当する飲食店を検索して選んだ上で、看板スタッフのニックネームや雰囲気、応援したいポイントなどをスレッド形式で書き込む。従来は、カンバン娘が取材した都内の飲食店の看板スタッフを中心に紹介していたが、これにより全国の看板スタッフの発掘につながることが期待される。
こうした投稿に対して店舗は、月額1万円を支払うと“ソーシャルCRM”を利用できるようになり、自ら用意したカンバン娘の写真や簡単なプロフィールを掲載したり、サイトを通じてユーザーとのコミュニケーションが行えるようになる。カンバン娘としては“ソーシャルCRM”の販売が主な収益源となる。
ユーザーページのトップ画面(左)と店舗ページのトップ画面 |
●行きつけの店のカンバン娘をグランプリに、“AKB48モデル”で常連作る
カンバン娘代表取締役社長の高崎航氏 |
リニューアルしたカンバン娘は、“ごひいき”や“おひねり”といった独自のソーシャル機能が特徴のひとつだ。かつて外食産業に身を置き、現在も東京・西麻布で飲食店を経営するカンバン娘代表取締役社長の高崎航氏は、「飲食店にとって新規顧客を獲得できるだけでなく、常連さんを作れるのがメリット」と話す。
高崎氏の言葉を端的に表すのが、ユーザーの投票数に応じて「ミス・カンバン娘グランプリ」を決める毎月恒例の企画だ。ユーザーは、行きつけの飲食店のカンバン娘をグランプリにするためにサイト上から応援ボタンを押したり、通常の10倍のポイントが加算される来店時のみに使える応援ボタンを押すために何度も来店する――。
「カンバン娘は、美人が1分ごとに時間を知らせてくれる『美人時計』のようなサービスと思われがちだが、僕らは常連さんに支えられた“AKB48モデル”だと思っている。これまで常連さん同士は飲食店内のローカルコミュニティのみでつながっていたが、リニューアル後はこれがオンライン化することで、さらに看板スタッフを応援しやすくなる。」
なお、カンバン娘は7月28日、NTTインベストメント・パートナーズ株式会社と三菱UFJキャピタル株式会社より資金調達を実施している。今回のソーシャルプラットフォーム化を通じて、今後3年間で“ソーシャルCRM”を5万店舗に導入することを目標に掲げるとともに、海外展開も視野に入れている。
関連情報
(増田 覚)
2011/11/1 13:00
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