違法ダウンロード刑事罰化に反対する4つの理由、MIAUが声明発表
違法にアップロードされた音楽や映像のファイルをダウンロードする行為に刑事罰を科す、いわゆる「違法ダウンロード刑事罰化」を含む法案の修正案が国会に提出されることを受け、一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)が4日、反対声明を発表した。
6月6日に開催される衆議院文部科学委員会では、著作権法改正案が議決される予定。議決に際しては、内閣発議立法(閣法)として提出されている改正案にダウンロード刑事罰化を追加した修正案が自民党・公明党から提出される見込み。
これに対してMIAUは、以下の4つの論点から反対している。
1)摘発されるのは理解していない子どもたちです
2)適法・合法の区別をつけることができません
3)捜査権の乱用を招くおそれがあります
4)慎重な議論が必要です
1)については、権利者が違法ダウンロードの主体とみなしている中高生の約半数が、いまだにダウンロードが違法になったことを知らないことを指摘。このような状態で罰則を付けると、多くの「違法になったとは知らなかった」子どもが摘発の対象になるとしている。
2)については、レコード会社や映像制作会社が合法のダウンロードサイトを区別するために設定した「エルマーク」の周知が十分でないことを指摘。また、国外の事業者が運営するダウンロードサイトでは、合法であってもエルマークを付ける責務はなく、エルマークによる区別が機能しないとしている。
3)については、日本の参加の是非が議論されているTPPにおいて、著作権侵害の処罰を被害者の告訴を必要としない「非親告罪化」が要求項目に上がっていることを指摘。その上で、「違法ダウンロードを行った疑いがある」という理由でコンピューターを押収するなど、著作権法を口実にした別件捜査に利用される余地があると危惧している。
4)については、今回の法改正はもともと、違法ダウンロード刑事罰化の内容を含まない閣法による改正案に、野党が議員立法による修正案として提出すると指摘。本来であれば、文化庁の審議会を通じて有識者や当事者間で議論を行い、パブリックコメントで国民の意見を反映し、正当なプロセスを経て慎重な意志決定を行うべきだとしており、今回の法改正は常道を逸脱していると非難している。
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(増田 覚)
2012/6/5 13:22
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