カカオトーク、年内にヤフー連携策発表で「LINE」追撃へ


 株式会社カカオジャパンは16日、スマートフォン向け無料通話・チャットアプリ「KAKAO TALK(カカオトーク)」において、最大5人まで同時通話できるグループ通話機能を追加した。スマートフォン向けメッセンジャーアプリでは「世界初の機能」という。年内には事業を共同展開するYahoo! JAPANとの連携サービスを発表し、同分野で先行する「LINE」を追撃する構えだ。

 グループ通話機能では、通話しながら絵文字やスタンプを送るグループチャットが利用できる。2種類のキャラクターの声を選べる無料の「ボイスチェンジャー機能」を使った通話も楽しめる。招待を受けたグループ通話では途中退室したり、再び参加することが可能だ。カカオジャパンでは、国内外に離れて暮らす家族や友人との会話や、通話をつなぎっぱなしにしながら友達と宿題を同時進行するといった利用シーンが考えられるとしている。

グループ通話機能のイメージグループ通話中にチャットもできるスタンプのダウンロードページ

国内ユーザーはLINEの10分の1、巻き返し策は?

カカオジャパン経営企画担当の太田真氏

 カカオトークは2010年3月にスタートした韓国発のスマートフォン向けアプリ。一部有料を含む「動くスタンプ」やボイスチェンジャーなど、競合アプリにはない独自機能も提供している。現在は日本を含む216の国・地域に展開し、全世界のユーザー数は約6600万人、日本のユーザー数は約330万人。10月19日には、ヤフー株式会社がカカオジャパンへの資本参加を発表し、親会社の韓国KAKAOと共同でサービス開発を進めている。

 スマホ向けメッセンジャーは、LINEをはじめ、株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)が10月23日に「comm(コム)」を開始するなど、競争が激化。カカオトークは2011年7月の日本法人設立に伴い、LINEよりも早い段階で日本語サービスを本格展開したが、国内ユーザーはLINEの約3400万人に対して10分の1と大きく水を開けられている。

 こうした状況についてカカオジャパン経営企画担当の太田真氏は、コミュニケーション機能の強化で巻き返しを図ると語る。「その一環として今回、無料通話のニーズが高い日本に向けて、“日本発”でグループ通話機能をリリースする。今後は、ヤフーとのサービス連携も競合との差別化ポイントになる」。

 カカオジャパンには、ヤフーの小南晃雅氏が取締役として、同じくCMO(チーフモバイルオフィサー)の村上臣氏が非常勤取締役として参加。ヤフーからの出向社員を含めると、日本法人のスタッフは提携前の約20人から現在は50人近くに増えた。ヤフーとの具体的な取り組みは検討中というが、「年内には何らかの動きを伝えられる」(太田氏)。今後は国内ユーザー数を1000万人以上に伸ばし、ゲームの課金や広告で収益化を図るという。


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(増田 覚)

2012/11/15 15:00