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スマホを長時間使う子供ほど、なぜか学力テストの結果が悪かったとの報告書

文部科学省、全国の小6・中3全員調査

 文部科学省は25日、国内の小学校6年生および中学校3年生の全児童・生徒を対象とした「全国学力・学習状況調査」の2014年度の結果を公表した。学力テストと同時に実施したアンケート調査の結果から、学習習慣・生活習慣やメディア接触状況と学力との相関関係を指摘している。例えば、朝食を毎日食べる児童・生徒ほど学力テストの平均正答率が高い、あるいは携帯電話・スマートフォンの利用時間が短い児童・生徒ほど学力テストの平均正答率が高い傾向が見られるといったものだ。

 今年4月22日、全国の公立・国立・私立小学校など2万352校の6年生109万3806人、同じく中学校など1万173校の3年生106万10人に実施した悉皆調査の報告書がこのたび公表された。学力テストは国語、算数・数学の2教科実施。あわせて、児童・生徒への質問票による調査で携帯電話・スマートフォンの使用時間などを聞いている。

 これによると、平日に携帯電話やスマートフォンで通話・メール・インターネット(ゲームは除く)を1日1時間以上している児童・生徒の割合は、小学校で15.1%、中学校で47.6%%だった。なお、携帯電話・スマートフォンを持っていないとした児童・生徒の割合は、小学校で46.0%、中学校で23.1%。

 学力テストの結果との関係を見ると、例えば中学校の「国語A」では、利用時間が30分未満だとした生徒の平均正答率が82.0%だったのに対し、4時間以上だった生徒では73.5%だった。他の科目や小学校の各科目でも、利用時間が短いほど平均正答率が上がる(利用時間が長いほど平均正答率が下がる)という傾向がきれいに出ている。テレビゲーム(ゲーム機、携帯電話、スマートフォンなどを含む)の利用時間についても同様の傾向が出ているという。

平日1日あたりの携帯電話・スマートフォンの使用時間(ゲームを除く)と学力テストの平均正答率との関係(国立教育政策研究所「平成26年度全国学力・学習状況調査の結果について(概要)」より)

 携帯電話・スマートフォンの利用時間に関する調査は、昨年度までは悉皆調査ではなく、一部の児童・生徒に限定して実施し、いくつかの科目で同様の傾向が出ていたという。これに対して今年度は、同調査で初めて携帯電話・スマートフォンの利用時間に関する調査も全児童・生徒に実施した。

 報告書によれば、これらを含め、以下のような学習習慣・生活習慣のある児童・生徒ほど、平均正答率が高い傾向が見られたとしている。

国語、算数・数学に対する関心・意欲・態度が高い

家庭学習・読書

・学校の授業時間以外での学習時間が長い
・自分で計画立てて勉強をする
・学校の宿題、授業の予習・復習をする
・読書が好き、読書時間が長い、学校や地域の図書館に行く頻度が多い

学校生活

・学級みんなで協力して何かをやり遂げ、うれしかったことがある
・先生は、自分のよいところを認めてくれていると思う

基本的生活習慣

・朝食を毎日食べる
・毎日、同じぐらいの時刻に寝る

メディアとの関係

・携帯電話やスマートフォンで通話・メール・インターネットをする時間が短い
・テレビゲームをしている時間が短い

家庭でのコミュニケーション等

・家の人と学校での出来事について話をする
・家の人は、授業参観や運動会などの学校行事に来る

社会に対する興味・関心

・地域や社会で起こっている問題や出来事に関心がある
・地域や社会をよくするために何をすべきか考えることがある
・新聞を読んでいる
・テレビのニュース番組やインターネットのニュースを見る

自尊意識・規範意識

・ものごとを最後までやり遂げて、うれしかったことがある
・学校のきまり・規則を守っている
・人の気持ちが分かる人間になりたいと思う

 なお、報告書にも明記されているが、こうした傾向はあくまでも「相関関係」を示したものであり、必ずしも「因果関係」を示したものではないことに留意する必要がある。例えば、「学校の宿題、授業の予習・復習をする」児童・生徒がその結果、学力テストの正答率が高くなると考えるのが自然だが、この調査だけからはこうした因果関係までは判断できない。逆に、正答率が高い児童・生徒が学校の宿題や授業の予習・復習をよく行っているということかもしれない。

 同様にこの調査結果だけでは、携帯・スマートフォンを長時間使っているために(勉強の時間が減り)、学力テストの結果が悪くなったのだとは言い切れない。例えば、SNSで四六時中コミュニケーションを強いられるような状況であれば勉強しても集中できず、生活のリズムも狂って成績が落ちるといったことはありえるが、学力テストの正答率が高い児童・生徒は何か別の要因によって携帯・スマートフォンの使用時間が短くなっている可能性もある。

 ちなみに、前述のように「新聞を読んでいる」「テレビのニュース番組やインターネットのニュースを見る」児童・生徒ほど平均正答率が高い傾向が見られることが指摘されているが、今回の調査では、小学校・中学校ともに新聞を読んでいる児童・生徒の割合が減少していることが分かった。また、中学校ではテレビのニュース番組やインターネットのニュースを見る生徒の割合も減少していることが明らかになっている。

(永沢 茂)