特集

仮想通貨の大本命「リップル」とは?

Rippleが実現する“価値のインターネット”

仮想通貨元年といわれた昨年、大きな話題を呼んだリップル初の入門書『仮想通貨リップルの衝撃 Rippleが実現する“価値のインターネット”』(四條寿彦著・GiantGox監修/天夢人刊・山と溪谷社発売)の一部内容を再構成してお届けします。

現在流通している仮想通貨たち(1章より)

 現在、どのような仮想通貨が存在するのか、ここではその一部を紹介しましょう(表)。おなじみのビットコイン。こちらはブロックチェーン技術と分散型台帳技術を採用した世界で初めての仮想通貨です。ビットコインに次ぐ時価総額を誇っているイーサリアムは契約情報をブロックチェーン上に保持するプラットフォームを提供しています。

 イーサリアムに似た性質を持っているのがリスク(Lisk)という通貨。イーサリアムは独自言語で開発する必要があるのに対し、リスクは一般的なエンジニアが開発できるジャバスクリプト(JavaScript)という言語で開発が可能です。NEMはマルチシグ、ネームスペース、モザイク、投票、アポスティーユ、デリゲードハーベスティングなどなどさまざまな機能を持っていて、仮想通貨の可能性と公平性をさらに追究した通貨と言えるでしょう。

 ジーキャッシュ(Z-CASH)は匿名通貨と呼ばれていて、誰が誰に送金したか第三者から見えないようになっています。これには第三者に明かされなくても、送金トランザクションの正当性を証明できる「ゼロ知識証明」という技術が使われています。オンラインでの賭け市場向けに開発されたオーガー(Augur)は、胴元の透明性が確保されていて、安全な市場提供を可能にしています。保険などにも向いているようです。

 そして仮想通貨の大本命と言われているリップル(単位はXRP)は、送金に特化した仮想通貨です。保持者や開発者が使える目立った機能は他の通貨に比べたら少ないものの、表のように送金の速さと安さはすべての通貨の中でダントツです。もちろん安全性もしっかり確保されています。この通貨こそ世界のあり方を変えてしまうポテンシャルを秘めている通貨だと思っています。それだけに世界の銀行や大手企業とリップルが提携しつつあるのです。

銀行が採用した仮想通貨技術(4章より)

 国際送金の問題だけでなく、銀行の業務に取って変わるさまざまなサービスが登場してきたことにより、銀行は窮地に立たされています。銀行も新しいサービスを提供し、既存サービスの強化を図っていますが、急激な環境の変化に対応しきれていない印象です。運営体制が国と直結し、さまざまな制約があるために、しっかりしたガバナンスがないものは受け入れることができないからです。

 こうした制約があるにも関わらず、数ある仮想通貨技術の中で、リップルは銀行に採用されました。最大の理由はガバナンスの面で、ハードな銀行の期待に応えられたからです。銀行や規制当局の意見に真摯に対応して、問題を一つひとつクリアしていったのです。それができたのは、金融機関ではない第三者企業が単独で開発を進めていたという理由もあると考えられます。それだからこそ大手企業にも注目されているのです。

リップルと関係している企業たち(6章より)

 あらゆるソリューションを提供して、どんどんと提携先を増やしてきたリップル。そのリップルの提携先にはどういった企業や銀行があるのでしょうか。その顔ぶれを見ると、リップルによって拓かれる未来が予見できるかのようです。表の国内外の提携銀行の一覧をご覧ください。日本ではSBIリップルアジア主導でつくられた内外為替一元化コンソーシアムに60以上の金融機関が参加しています。水面下ではもっと多くの金融機関で動きが出ています。一般企業でもグーグルやアメリカン・エクスプレスなどが提携や融資を行っています。

上がり続けるリップルの認知度(6章より)

 リップルの認知度は緩やかに上昇を続けていたものの、2017年12月に爆発的に伸びました。各社のデータで確認してみましょう。まず、グーグルトレンド(Google Trends)のグラフです。信じられないほど検索回数が上がっています。2017年5月に高騰した時もトレンドは上昇していたのですが、12月に比べると100分の1以下です。このグーグルトレンドと価格変動は常に比例するように動いています。

 またアレクサ(Axela)という、ウェブサイトのトラフィック参照サービスを確認すると、リップルの公式ページへのページのアクセスも非常に伸びており、2017年1月の段階では約6万位程だったグローバルランキングが4000位以上に上がっています。もちろん、この本の「はじめに」で紹介したGiantGoxさんのサイトであるリップル総合まとめのページも、2017年1月は1万4000PVほどだったものが12月には28万PVという閲覧数をたたき出しています。

グーグルトレンド
アレクサ

 また、2017年の初め頃にXRPの取り扱いがある仮想通貨取引所は、世界でわずか6カ所だったのですが、12月には50を超える取引所がXRPの取り扱いを始めています。これほどまでに注目を集めているリップルですが、個人的にはまだ価格にその注目度が反映されきっていないように感じます。グーグルトレンドが跳ね上がっても、少し時間が経ってから反映されることがたびたびありました。これからも認知度が高まるたびに、少し遅れて価格が上がると思っています。もしかすると、実需の面で突然上がることがあるかもしれません。どこまで価格が上がるのか、どこまでリップルが広がるのか、とても楽しみです。

マイクロペイメントという“革命”(7章より)

 マイクロペイメントとは少額送金のことです。これが今まで不可能だったということは、あまり気づかれていません。リップルが価値移動の摩擦を限りなく少なくすることで、少額送金を可能にしました。原理的にはわずか1円でも送ることができるのです。

 このメイクロペイメントが可能になると、例えば有料ブログとして登録しなくても、読みたい記事だけ少額で購読できます。有料チャンネル登録などをしなくても、投稿した動画を1再生3円などで提供できます。電子書籍もページ単位の販売が可能になるのです。

 今、予想されているのは、API(Application Programming Interface)の利用にも課金することもできるというものです。APIとは、第三者のサーバーで管理されているデータを自動で呼び出す機能のことで、仮想通貨のブログなどでチャートを表示しているあの機能は、APIというものを利用して取引所のサーバーからデータを随時取り寄せています。そのAPIの情報取り寄せ(APIコールという)のたびに、数円程度課金することもできるようになってきます。今まで無料で使えていたものが有料になるじゃないか、と思われる方もいらっしゃると思います。そうではなく、無料では割に合わずに作られなかった新しいAPIサービスが生まれる可能性が広がっていくと筆者は考えています。

大きな意義がある“価値のインターネット”(7章より)

 リップルが何年も前から掲げている目標があります。それはIoV(Internet of Value)です。“価値のインターネット”という意味ですが、リップルのビジョンは価値が情報のように瞬時に交換できる世界を作り出すことです。“価値のインターネット”の世界では、これまで何十年も人々が文字や画像やビデオをオンラインで自由に共有できたように、外国為替のような価値の取引を瞬時に行うことができます。それは単にお金だけではありません。“価値のインターネット”は、誰かにとって何かしらの価値のあるどんな資産の取引も包括するのです。例えば、株、投票、マイレージ、証券、知財、音楽、科学的な発明、などさまざまです。

 即時送金が可能になることで、今までのシステムでは考えられなかった新しいサービスなどがどんどん生まれることでしょう。必要な時に必要なだけ、サービスや物を買うことができるような時代が訪れます。今まで価値になり得なかったものが価値を生み、経済を回していく世界です。本当に価値のあるものが正当に評価され、その評価に見合ったお金を受け取るという、今まで無視されていた権利を取り戻すことができるのです。“価値のインターネット”とは、そういった大きな意義のある概念だと考えています。

書誌情報

タイトル:仮想通貨リップルの衝撃 Rippleが実現する“価値のインターネット”
著者:四條寿彦
監修:GiantGox
定価:815円(税別)
発行日:2018年3月17日
ISBN:9784635820417
ページ数:144ページ
サイズ:四六判
発行:株式会社天夢人
発売:株式会社山と溪谷社