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住民税が高い自治体/安い自治体はどこ? 地域差はいくら?【2026年版 最新ランキング】

全47都道府県+4市を比較。さらに水道料金の差も調べてみた

最終更新 2026年7月15日 14:30
初出日時 2022年8月19日 06:55

 勘違いしている人がいる住民税の地域差。正しい情報を伝えるため2022年から掲載している住民税ランキングの記事。今年も徹底的に調べて正確な情報をお届けしたい。今回は水道料金の自治体による差も調べてみた。

 住民税は住む自治体によって差がある。ただし、差があると言っても多くの自治体でわずかな差しかなく、引っ越してメリットがあるほどの差ではない。ところが都市伝説的に「トヨタがある豊田市は住民税が安い」「自分の住む〇〇市は住民税が高い(らしい)」などと思っている人は少なくない。若い人は住民税の話をすることはまれなので、40代、50代、60代……と年輩の人ほど(飲んだ席で知人から聞いて?)住民税の都市伝説を信じている人が多い。今回も住む自治体によって住民税がどれくらい高いのか、安いのかを20枚ほどの画像と表を使用して「2026年版 最新ランキング」としてお知らせしよう。

 加えて今年は、自治体により何倍も差がある水道料金を調べてみた。ご自身の住む自治体の水道料金は高いのか、安いのか、参考にしていただきたい。

住民税が高い/安いランキング1位の自治体は?「課税所得200万円の人」で比べてみた

 住民税の課税所得(課税標準額)が200万円の人の年間の住民税額をランキングで見てみよう。47都道府県に、住民税の高い「兵庫県豊岡市」「神奈川県横浜市」「兵庫県神戸市」、住民税の安い「愛知県名古屋市」を加えた51自治体を住民税が高い順に並べてみた。4市以外は都道府県内の自治体の住民税は同じとなっている。

課税所得(課税標準額)200万円の人の年間の住民税額を高い順に並べた自治体のランキング

※事例の課税所得200万円というのは、サラリーマン独身(扶養家族なし)、生命保険未加入で社会保険(厚生年金+健康保険+雇用保険)を65万円とすると、年収は440万円ほどとなる。なお、表の住民税額には国税の森林環境税は含まれているが、家族構成(人的控除)で決まる調整控除(-2500円~)はどこに住んでも一律なので含まれていない。

 住民税高いランキング1位は兵庫県豊岡市、2位は横浜市、3位タイは宮城県と神戸市、以下、5位タイは岩手県、岐阜県など6県が並んでいる。

 表の「差額」は、住民税を増税していない(=標準課税の)東京都(を含む41位タイの10都道県)を基準とした場合の差を表している。東京都に比べ兵庫県豊岡市は2800円、横浜市は1700円、宮城県と神戸市は1200円高い。サラリーマンの住民税は12分割して毎月天引きされるので、宮城県や神戸市に住むと東京都より住民税が月額100円高くなる。

 一方、住民税が安いのは名古屋市。令和5年(2023年)まで減税を行っていた大阪府田尻町が標準課税に移行したため、住民税の減税を行っている自治体は名古屋市だけとなった。

住民税の計算方法――「都道府県民税」「市町村民税」と「均等割」「所得割」の内訳

 住民税の計算方法を簡単に確認しておこう。

 住民税は「都道府県民税」と「市町村民税」を合算したものが納税額となる。例えば、東京都国立市は都民税と市民税、宮城県仙台市は県民税と市民税となる。東京23区は特別区という扱いなので、市町村民税ではなく特別区民税となる。この記事では「市町村民税と特別区民税」と表記すると長くなるので、市町村民税の表記に特別区民税も含まれると思っていただきたい。代表的な表記は県民税と市民税としたい。

 さらに都道府県民税と市町村民税はそれぞれ「均等割」と「所得割」に分けられる。均等割は所得の額に関わらず、同じ自治体に住む納税者であれば、所得が100万円の人も1000万円の人も「県民税1000円、市民税3000円」など同額を納税する。所得割は課税所得(課税標準)に10%(一部自治体を除く)の税率を掛けたもので、所得が多い人ほど納税額も多くなる。

住民税は所得割+均等割。市民税、県民税の所得割(税率)と市民税、県民税の均等割(○○円)の4つのパラメータで住民税の差が決まる

 所得割の基準となる課税所得は個人の収入と控除額(扶養家族、生命保険など)によるので、ご自身の課税所得は住民税の通知書などで確認していただきたい。

住民税の通知書の例(自治体により異なる)。この例では、課税標準・総所得③の206万5000円が課税所得の額

※住民税について詳しく知りたい人、ご自身の住民税を計算してみたい人は、こちらの記事を参照していただきたい。

住民税はどうやって決まる?
計算方法と決定通知書の見方を詳しく解説
【2026年(令和8年)版】

 自治体のウェブサイトに掲載されている住民税の内訳をいくつか確認してみた。東京都国立市は市民税均等割が3000円、都民税均等割が1000円、所得割の税率は市民税6%、都民税4%で合計10%となっている。宮城県仙台市は市民税均等割が3000円、県民税均等割が2200円(+1200円)、所得割の税率は政令指定都市なので市民税8%、県民税2%で合計10%となっている。「トヨタがあるから住民税が安い」と言われる愛知県豊田市は市民税均等割が3000円、県民税均等割が1500円で標準課税の自治体より500円高い。

東京都国立市は市民税均等割が3000円、都民税均等割が1000円、所得割の税率は市民税6%、都民税4%で合計10%
宮城県仙台市は市民税均等割3000円と所得割の税率の合計10%は同じだが、県民税均等割が2200円で、1200円高い
都市伝説を信じている人には申し訳ないが、豊田市の市民税は3000円で他の自治体と同じ、トヨタがあっても安くはない。県民税は「あいち森と緑づくり税 500円」が上乗せされ1500円。東京都など標準課税の自治体より住民税が高い

住民税の差=ほとんどが都道府県の「均等割」の差

 住民税の自治体ごとの差は、ほとんどが各都道府県の均等割の差によるものだ。

 均等割は、都道府県民税の額が1000円になっている10都道県は増税がなく、残りの37府県は府県独自の増税が行われている。このような自治体独自の増税を「超過課税」と呼ぶ。市区町村で均等割の増税を行っているのは横浜市(横浜みどり税 900円)、神戸市(認知症対策 神戸モデル 400円)の2つの市だけだ。均等割の減税を行っているのは名古屋市のみ。200円の減税で市民税が2800円となっている。

 超過課税を行っている37府県の増税額は、宮城県の1200円(みやぎ環境税)が最高額。大阪府の300円(大阪府森林環境税)が最少額。愛知、鳥取、広島、福岡などの500円が20県と半数以上を占めている。

 鳥取県は令和6年から全国で始まった住民税に森林環境税(国税)を上乗せして徴収することに考慮して、令和5年から税額500円はそのまま、県独自で同じ名称の「森林環境税」を新たな「豊かな森づくり協働税」に名称変更した。真面目に取り組んでいる感があり好ましい。同様に国の森林環境税と同じ名称の超過課税を行っている自治体のうち、大阪府と福岡県は令和7年から「大阪府森林環境税」「福岡県森林環境税」と名称変更を行っている。令和8年に名称変更したのは宮崎県。国税と同じ「森林環境税」を「宮崎県水と緑の森林づくり税」と名称変更、税額は500円で変更はない。

自治体名均等割所得割備考
都道府県市町村都道府県市町村合計都道府県市町村超過課税などの詳細
北海道1000円3000円4000円4.0%6.0%
青森県1000円3000円4000円4.0%6.0%
岩手県 2000円3000円 5000円4.0%6.0%いわての森林づくり県民税 1000円
宮城県 2200円3000円 5200円4.0%6.0%みやぎ環境税 1200円
秋田県 1800円3000円 4800円4.0%6.0%秋田県水と緑の森づくり税 800円
山形県 2000円3000円 5000円4.0%6.0%やまがた緑環境税 1000円
福島県 2000円3000円 5000円4.0%6.0%森林環境税 1000円
茨城県 2000円3000円 5000円4.0%6.0%森林湖沼環境税 1000円
栃木県 1700円3000円 4700円4.0%6.0%とちぎの元気な森づくり県民税 700円
群馬県 1700円3000円 4700円4.0%6.0%ぐんま緑の県民税 700円
埼玉県1000円3000円4000円4.0%6.0%
千葉県1000円3000円4000円4.0%6.0%
東京都1000円3000円4000円4.0%6.0%
神奈川県 1300円3000円 4300円 4.025%6.0%水源環境保全税 300円、 県民税率 +0.025%
神奈川県横浜市 1300円 3900円 5200円 2.025%8.0% 横浜みどり税 900円
新潟県1000円3000円4000円4.0%6.0%
富山県 1500円3000円 4500円4.0%6.0%水と緑の森づくり税 500円
石川県 1500円3000円 4500円4.0%6.0%いしかわ森林環境税 500円
福井県1000円3000円4000円4.0%6.0%
山梨県 1500円3000円 4500円4.0%6.0%森林環境税 500円
長野県 1500円3000円 4500円4.0%6.0%長野県森林づくり県民税 500円
岐阜県 2000円3000円 5000円4.0%6.0%清流の国ぎふ森林・環境税 1000円
静岡県 1400円3000円 4400円4.0%6.0%森林(もり)づくり県民税 400円
愛知県 1500円3000円 4500円4.0%6.0%あいち森と緑づくり税 500円
愛知県名古屋市 1500円 2800円 4300円2.0% 7.7% 市民税均等割 -200円、市民税率 -0.3%
三重県 2000円3000円 5000円4.0%6.0%みえ森と緑の県民税 1000円
滋賀県 1800円3000円 4800円4.0%6.0%琵琶湖森林づくり県民税 800円
京都府 1600円3000円 4600円4.0%6.0%豊かな森を育てる府民税 600円
大阪府 1300円3000円 4300円4.0%6.0% 大阪府森林環境税 300円 ※名称変更
兵庫県 1800円3000円 4800円4.0%6.0%県民緑税 800円
兵庫県神戸市 1800円 3400円 5200円2.0%8.0% 認知症対策 神戸モデル 400円
兵庫県豊岡市 1800円3000円 4800円4.0% 6.1% 市民税 +0.1%
奈良県 1500円3000円 4500円4.0%6.0%森林環境税 500円
和歌山県 1500円3000円 4500円4.0%6.0%紀の国森づくり税 500円
鳥取県 1500円3000円 4500円4.0%6.0% 豊かな森づくり協働税 500円 ※名称変更
島根県 1500円3000円 4500円4.0%6.0%水と緑の森づくり税 500円
岡山県 1500円3000円 4500円4.0%6.0%おかやま森づくり県民税 500円
広島県 1500円3000円 4500円4.0%6.0%ひろしまの森づくり県民税 500円
山口県 1500円3000円 4500円4.0%6.0%やまぐち森林づくり県民税 500円
徳島県1000円3000円4000円4.0%6.0%
香川県1000円3000円4000円4.0%6.0%
愛媛県 1700円3000円 4700円4.0%6.0%森林環境税 700円
高知県 1500円3000円 4500円4.0%6.0%森林環境税 500円
福岡県 1500円3000円 4500円4.0%6.0% 福岡県森林環境税 500円 ※名称変更
佐賀県 1500円3000円 4500円4.0%6.0%森林環境税 500円
長崎県 1500円3000円 4500円4.0%6.0%ながさき森林環境税 500円
熊本県 1500円3000円 4500円4.0%6.0%水とみどりの森づくり税 500円
大分県 1500円3000円 4500円4.0%6.0%大分県森林環境税 500円
宮崎県 1500円3000円 4500円4.0%6.0% 宮崎県水と緑の森林づくり税 500円 ※名称変更
鹿児島県 1500円3000円 4500円4.0%6.0%みんなの森づくり県民税 500円
沖縄県1000円3000円4000円4.0%6.0%
※赤文字は増税、青文字は減税、東京都などプラスマイナスのない標準課税は黒文字とした。

 次に、47都道府県に市民税の均等割が標準課税でない横浜市(市民税 +900円、県民税 +300円)、神戸市(市民税 +400円、県民税 +800円)、名古屋市(市民税 -200円、県民税 +500円)を加えた50自治体を、均等割の高い順に分類してみた。

 最高額の宮城県で年額1200円となるが、月額にして100円はそれほど大きな額ではない。近隣の岩手・山形・福島に引っ越しても年に200円の減税、青森・新潟なら年に1200円の減税となるが、そもそも各自治体の超過課税は数年後に増税・減税されるかもしれないので住民税を理由に引っ越す意味はない。

  • 均等割増税額 1200円
    宮城県、(横浜市:300円+900円)、(神戸市:800円+400円)
  • 均等割増税額 1000円
    岩手県、山形県、福島県、茨城県、岐阜県、三重県
  • 均等割増税額 800円
    秋田県、滋賀県、兵庫県
  • 均等割増税額 700円
    栃木県、群馬県、愛媛県
  • 均等割増税額 600円
    京都府
  • 均等割増税額 500円
    富山県、石川県、山梨県、長野県、愛知県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
  • 均等割増税額 400円
    静岡県
  • 均等割増税額 300円
    大阪府、(名古屋市:-200円+500円)
  • 均等割増税額 0円
    北海道、青森県、埼玉県、千葉県、東京都、新潟県、福井県、徳島県、香川県、沖縄県

住民税(所得割)の税率を上げている自治体は神奈川県と兵庫県豊岡市の2つ

 均等割を増税している府県は37と半数を超えているが、住民税の所得割の税率を上げている(増税)のは神奈川県(+0.025%)と兵庫県豊岡市(+0.1%)の2つの自治体だけだ。都道府県民税、市町村民税の合計税率は通常10%だが、神奈川県民は10.025%、豊岡市民は10.1%となる。例えば課税所得(課税標準額)が100万円、200万円、400万円のそれぞれの所得割部分の増税額は、神奈川県民は250円、500円、1000円、豊岡市民は1000円、2000円、4000円と所得額に応じて増えていく。

夕張市の税率は?

 「住民税が高い市町村は?」と聞くと、AIによっては夕張市が表示される。かつて全国一住民税が高いと言われたのは2006年に財政破綻した北海道夕張市だった。市民税の均等割が+500円、所得割は+0.5%と兵庫県豊岡市の+0.1%を大幅に上回る税率だ。財政再生計画の見直しにより2017年に均等割の+500円を廃止、6.5%だった所得割の税率を6%(道民税と合わせて10%)に戻している(東京都と同じ)。これは当時、全国最年少で夕張市長となった鈴木直道氏(現:北海道知事)の手腕によるものと思われる。

AIによっては夕張市が住民税の高い自治体と表示される

住民税が安い自治体は名古屋市のみ

 次は住民税の安い自治体。令和5年まで住民税の最も安い自治体だった大阪府田尻町の町民税が標準課税に移行したため、住民税が安い自治体は名古屋市のみとなった。

 名古屋市の均等割は市民税が-200円だが、愛知県の県民税が+500円なので東京都より300円増税となる。所得割の税率は名古屋市が-0.3%で7.7%。県民税の税率が2%なので計9.7%となる。名古屋市の課税所得(課税標準額)が100万円、200万円、400万円の所得割部分の納税額は、-3000円、-6000円、-1万2000円と所得額に応じて減税される。この減税額はそこそこ魅力的だと感じられる。

 河村たかし市長時代にスタートした名古屋市の市民税の減税。市民税6%、県民税4%のときに市民税の6%の税率を5%(=0.3%)減税し5.7%となった。政令指定都市の税率が市民税8%、県民税2%に移行し、現在の税率は市民税7.7%(=-0.3%)、県民税2%となった。河村たかし氏が2024年に衆議院議員となり、空席となった名古屋市長に当選したのは河村たかし氏が推薦した広沢一郎氏。広沢一郎氏の選挙公約の1つが「市民税減税5%→10%」。実現すれば現在7.7%の税率が7.4%となるがまだ実現していない。ちなみに河村たかし市長から継承した政策の1つは、2830万円の市長報酬を800万円に減額する条例案で、市議会で可決・成立している。

 東海地方では、愛知県知多郡武豊町で2025年に町民税の5%減税を公約に鳥羽悠史町長が初当選した。武豊町は地方交付税の不交付団体で、JERA武豊火力発電所など大規模な事業所もある裕福な自治体なので、全国2例目の減税が期待されたが、まだ実現していない。

 ちなみに、筆者は自宅マンションが名古屋市内にあり、住民票も名古屋市。市民税の減税は名古屋市民として歓迎している。ただし、地元民としての土地勘・肌感では、近隣の豊田市、日進市、大府市、東海市、長久手市などから名古屋市内に引っ越せば税金は安くなるが、住居費(アパート、分譲住宅、駐車場など)の増加は減税分を上回る可能性が高く、気にするほどの差はないと思う。価値観は人それぞれだと思うが、住民税を抜きにしても、名古屋市は都会過ぎず、田舎過ぎず、トータルバランスで住みやすいと筆者は思っている。

課税所得ごとに「住民税が高い自治体」をランキング神奈川県民は高所得者ほど順位が上昇!?

 均等割の増税は所得金額の影響を受けないが、所得割の税率による増税は高額所得者ほど増税額が大きくなる。そこで、51自治体(47都道府県+4市)における課税所得100万円、200万円、400万円の場合の住民税を算出してみた。

 差額の欄は、東京都を含む増税・減税のない10都道県を基準(0円)としている。所得割の税率(10%)に差がないほとんどの自治体は課税所得が100万円、200万円、400万円と増えても東京都との差額はずっと一定だ。例えば宮城県は課税所得が100万円でも200万円でも400万円でも差額は1200円。大阪府はずっと300円だ。

 所得割の税率が10%より高い神奈川県、兵庫県豊岡市、10%より低い名古屋市の3自治体は課税所得が増えると差額が大きくなっていく。

51自治体の住民税の差額の一覧(課税所得100万円、200万円、400万円の場合)

 では、課税所得ごとに、住民税が高い順に自治体を並べたランキングを見ていこう。

 最初の課税所得100万円のランキングは、1位が兵庫県豊岡市、2位が神奈川県横浜市、3位タイで宮城県と兵庫県神戸市と続く。豊岡市は年間10万6800円で、これは東京都(41位タイ)の10万5000円よりも1800円高い。横浜市は1450円高い10万6450円、宮城県と兵庫県神戸市は1200円高い10万6200円。

 次に課税所得200万円の場合のランキング。こちらも1位が豊岡市(20万7800円)、2位が横浜市(20万6700円)、3位タイで宮城県と神戸市(20万6200円)という順位は変わらない。東京都(20万5000円)との差額は、それぞれ+2800円、+1700円、+1200円。注目されるのは、県民税の所得割の税率が増税されている横浜市を除く神奈川県(20万5500円)のランキングが、課税所得100万円のときの18位タイから11位タイに上昇している点だ。

 最後は課税所得400万円の場合のランキング。1位の豊岡市(40万9800円)、2位の横浜市(40万7200円)は不動のワンツーだが、神奈川県(40万6300円)が3位に上昇した。東京都(40万5000円)との差額はそれぞれ+4800円、+2200円、+1300円。

 神奈川県民は18位→11位→3位と上昇、どこまで順位が上がるのか心配されたかもしれない。2位の横浜市民と3位の横浜市以外の神奈川県民の差は、横浜市が増税している「横浜みどり税 900円」によるもので、この差は所得が増えてもずっと900円のまま。2位横浜市、3位神奈川県の順位は課税所得がさらに増えても逆転することはない。

 横浜市の住民税は高いが、SNSで「横浜は、特定健診は全員無料で非課税 or 均等割のみ or 後期高齢者はがん検診も無料、ごみ袋は自由。」とコメントをいただいた。こうした住民サービスの充実は、住民税の差額よりも価値は高いと思う。

 住民税のランキング、実際の税額の差については以上だ。住民票を置く自治体によって住民税に差はあるが、住民税を理由に住む自治体を選ぶ必要はないだろう。もし周りの年長者が住民税の都市伝説を話し始めたら、やんわりと「月に100円程度の差ですよ」と正しい情報を伝えていただきたい。

住民税の一番高い「兵庫県豊岡市」とは

 住民税の一番高い兵庫県豊岡市。初めて自治体の名を聞いた読者がいるだろう。そこには何があるの? なぜ住民税が高いの? そもそもどこにあるの?……疑問にお答えしよう。

兵庫県豊岡市の位置

 日本一住民税の高い兵庫県豊岡市は、兵庫県の北東の端、北は日本海、東は京都府に面した自治体だ。兵庫県で最も面積が大きな自治体で、日本で最後の野生コウノトリの生息地とのこと。市内にあり、1901年に建設された、近畿地方に現存する最古の芝居小屋「出石永楽館(いずしえいらくかん)」は、映画「国宝」のロケが行われたことで、一躍「国宝ファン」の聖地となった。

 人口7万数千人の市が日本一住民税の高い自治体となった理由は「都市計画税の廃止に伴い、平成21年度から超過課税を適用しています」としたためだ。どういうこと?

 家を購入した人は固定資産税と都市計画税を納めていると思う。このうち都市計画税を廃止し、市民税の所得割の税率を6.0%から6.1%に引き上げている。

 豊岡市の住宅事情は認識していないが、豊岡市の市民で自宅を購入していて、これまで都市計画税を納税していた人はこの部分が減税、市民税所得割が増税され、減税分の金額が上回っていれば得となる。固定資産税・都市計画税は立地に左右される。例えば駅近の物件で不動産価値が高ければ都市計画税の廃止はかなり美味しい。都市計画区域外に住んでいる人や、アパートなどの賃貸物件に住んでいると都市計画税廃止の恩恵はなく増税されるだけだ。大都市圏と比べると地方都市は持ち家の率が高くなるので、この日本一高い住民税という市民税の改正は、住宅事情によっては豊岡市の住民にとってウェルカムかもしれない。

水道料金は自治体により大きな差安い自治体/高い自治体を調べてみた

 この先は雑談レベルの内容なのでお時間のある人はお付き合いいただきたい。住民税そのものは、自治体による差は小さい。一方、水道料金、国民健康保険の自治体ごとの差を耳にすることは多い。今回は水道料金について調べてみた。

 全国に自治体は1700ほどあり、全ての自治体の水道料金を調べることは難しい。今回、筆者が水道料金を調べた自治体の数は47都道府県の県庁所在地を含む約100なので、参考程度に見ていただきたい。

 筆者の自宅マンションがある名古屋市と、2年前までオフィス兼住居のあった川崎市は「2カ月に1回検針・請求」だったので、水道料金は2カ月1回と思っていたが、移住した岐阜県加茂郡白川町は毎月検針・請求で「えっ毎月なの」と思った。全国的には2カ月が主流だが、毎月検針・請求も少なくはない。また、2カ月に1回の検針で、分割して毎月請求の自治体もある。

 2カ月1回の検針にすれば、検針に要する人件費等は半額になるが、市町村民が1回に支払う水道料金は倍になるので、水道料金の高い自治体は毎月請求にすることで、1回の支払額を抑えることができる。

 川崎市、白川町、料金体系の異なる仙台市の水道料金を標準的な口径13mmで比較してみよう。仙台市は「2カ月に1回検針・請求」だが、料金表は1カ月で表示され、計算する際に2倍にする仕組みだ。

 川崎市は2カ月の基本料金が16㎥まで税別1060円、16㎥を超え20㎥は1㎥あたり税別95円となっている。白川町は1カ月の量水器(メーター)使用料が税別67円、1カ月の基本料金が10㎥まで税別1619円、10㎥を超えると1㎥あたり税別157円。仙台市は1カ月の基本料金が税込638円、基本料金に一定の水量は含まず、1㎥から10㎥まで1㎥あたり税込88円、11㎥から20まで1㎥あたり税込203.5円。

川崎市の水道料金。2カ月検針、2カ月請求の税別料金
白川町の水道料金。1カ月検針、1カ月請求の税別料金
仙台市の水道料金。1カ月の税込料金が記載されているが、実際は2倍して2カ月検針、2カ月請求

 3つの自治体の水道料金を2カ月換算・税込でグラフにしてみよう。川崎市(ブルー)は水道を使っても使わなくても16㎥までは1166円で一定。16㎥を超えると水道料金が増加する。白川町(オレンジ)は1カ月10㎥まで基本料金内なので、2カ月換算すると20㎥まで1854円×2=3708円で一定。それを超えると水道料金が増加する。仙台市(グレー)は水道を使わなければ2カ月換算で1276円。1㎥から20㎥までは単価は88円、それを超えると単価は203.5円となるため、グラフの角度がグッと急になる。

 筆者の現在の白川町の請求を見ると、1カ月の使用水量は6㎥。移住して1年半、1人暮らしなので基本料金に含まれる10㎥を超えたことがない。川崎市時代も基本料金に含まれる2カ月16㎥を超えた記憶はない。仮に筆者の毎月の使用量がずっと6㎥(2カ月で12㎥)とすると、川崎市なら1166円、仙台市なら2332円、白川町なら3708円で、安い順に1位:川崎市、2位:仙台市、3位:白川町の順となる。大家族で毎月25㎥(2カ月で50㎥)だと、1位:川崎市、2位:白川町、3位:仙台市となる。

 このグラフでは川崎市の水道料金が圧倒的に安いが、仙台市と白川町を比較すると、使用する水道の量によって「水道料金の高い、安い」は変わってくる。独身サラリーマンで昼間は不在、自炊はしない、基本シャワーのみ、ときどき会社帰りにchocoZAPでシャワーを浴びる生活の人なら水道の使用量はかなり少ない、自宅にプールがある人は桁違いに水道の使用量が多いかもしれない。

 ちなみに、平均的な使用量は東京都水道局の調査によると、1カ月あたり1人世帯が8.1㎥、2人世帯が14.9㎥、3人世帯が19.9㎥となっていて、水道料金の比較をするときは20㎥(2カ月換算で40㎥)の金額を使用することが多い。月20㎥で水道料金が安いとされる自治体が、必ずしも1人暮らしでも安いとは限らないので注意しよう。

東京都は23区も多くの市も水道料金は同じ

 東京都水道局の料金ガイドを見ると、武蔵野市、昭島市、羽村市、檜原村は独自の料金システムで、それ以外は東京都水道局が給水を行っていて、23区も国立市も八王子市も奥多摩町も料金は同じとなっている。

 4つの自治体の水道料金を見ると、昭島市はかなり安い。羽村市はやや安く、武蔵野市はほぼ同じ。檜原村は東京都水道局から給水を受けていないが同料金となっている。

 東京都水道局のように複数の自治体が共同で水道を供給しているケースは少なくない。例えば佐賀西部広域水道企業団は佐賀県佐賀市の西側、武雄市、嬉野市、大町町などの複数の自治体に水道を供給している。

 このように複数の自治体に1つの団体が水道を提供しているため、自治体は全国に1700ほどあるが、水道は自治体・団体で1300ほどと言われている。

 逆に1つの自治体で地域ごとに複数の料金体系を持つケースもある。富士河口湖町は地域ごとに5つの料金体系となっている。

 住民税は自治体により差があると言っても、東京都と北海道、青森県、埼玉県、千葉県、新潟県、福井県、徳島県、香川県、沖縄県は都道県内の市町村を含め均等割も所得割の税率も同じなので、1700の自治体を調べることは難しくない。水道の料金はバラバラ、1300の自治体・団体を調べ尽くすハードルはかなり高い。

 では、筆者が調べた47都道府県の県庁所在地の水道料金を見てみよう。まず、2カ月換算の「基本料金」「20㎥」「40㎥」の料金を一覧化してみた。パッと見て、基本料金だけ同じ、20㎥だけ同じという自治体はあっても、全て同じ水道料金の自治体はない。それだけ水道の料金体系は複雑ということだ。

宇都宮市松江市は令和8年(2026年)10月から料金を改定するので、10月以降の料金で計算している。また、現在、高知市などいくつかの自治体で水道料金の減免を行っている。2025年の年末に政府の「重点支援地方交付金」で各自治体が「おこめ券」を配る・配らないで話題になった際、多くの自治体が水道料金の減免で市民に還元する選択をしたもの。4カ月くらいの限定施策なので、通常の水道料金で計算している。

 次に、「基本料金」「20㎥」「40㎥」の料金をそれぞれ安い順にソートしてみた。例えば、先ほどグラフ化した仙台市の基本料金は5位、20㎥は36位、40㎥は41位となっている。東京23区は基本料金は25位だが、20㎥は7位タイ、40㎥は5位と使用量の多い人が割安な料金体系だ。

 「基本料金」「20㎥」「40㎥」全てで上位10位以内に入っている自治体は徳島市のみ。逆に38位~47位の下位10位以内全てに入っている自治体は福島市、松江市、長野市となっている。

 全国1300あまりの自治体・団体の水道料金を調査した資料は日本水道協会が平成31年4月に発刊した「水道料金表」がある。同じ日本水道協会の調査「数値で見る水道」によると、上水道の料金改定を行った事業体は平成28年が65、平成29年が74、平成30年が68と、毎年70前後の自治体・団体が水道料金の改定を行っている。平成31年発刊の「水道料金表」から8年、おそらく500自治体・団体がすでに料金改定を行っている可能性があり、最新の水道料金のランキングを知ることは難しそうだ。

 次は、水道料金が安いと言われている自治体から30ほどの自治体をピックアップし、最新の水道料金を調査。その中から筆者が選んだ10自治体の水道料金を算出してみた(全ての自治体を調べていないので、水道料金が安い自治体トップ10とは言えない)。兵庫県赤穂(あこう)市はブッチギリの安さだ。この安い10自治体に共通するのは基本料金と20㎥が同じ金額となっていること。犬山市以外の9自治体で毎月10㎥(2カ月で20㎥)まで基本料金内となっている。小人数の世帯であれば、いくら使っても基本料金内になりそうだ。町村部が多い中、赤穂市はもちろん犬山市と昭島市の安さは魅力的だ。

 最後は、水道料金が高いと言われている自治体から30ほどの自治体をピックアップし、最新の水道料金を調査。その中から筆者が選んだ10自治体の水道料金を算出してみた(全ての自治体を調べていないので、水道料金が高い自治体トップ10とは言えない)。熊本県上天草市以外は北海道・青森県の自治体となっている。水道料金が高くなる要因は、広大なエリア、少ない人口、古い設備、凍結対策、水源からの距離などが影響するため、過疎地・寒冷地は水道料金が高くなる傾向がある。

 水道料金の安い自治体と高い自治体で20㎥の料金は1000円台前半と6000円前後で約6倍。40㎥も2000円台と1万2000円前後で約6倍。大家族で引っ越しする人は水道料金を事前に確認したほうが良さそうだ。

 2022年から毎年お届けしている住民税ランキングの記事は、「○○市は税金が高い」という間違った都市伝説を正すためにスタートした。今年は水道料金について取り上げたが、過去に取り上げた指定ゴミ袋財政力指数など、住民税に差がなくても、異なる側面で自治体ごとに差はあることを理解していただきたい。


※「INTERNET Watch」ではこのほかにも、サラリーマンと個人事業主がぜひ読んでおきたい税金に関する記事を多数掲載しています。関連記事インデックス『サラリーマンと個人事業主の“税金の話”まとめ』よりご参照ください。