お金の基本

第5回:公的医療保険

国民全員が加入する「健康保険」は職業や年齢によって3種類に分かれる

税金や社会保険の仕組みを理解すると、なぜ毎月のお給料から引かれているのか、将来の資金計画をどう立てていけばよいのか、といったさまざまな事柄がクリアに――。

この記事は、書籍『マンガと図解でよくわかる お金の基本 高校生から理解できる資産形成&金融知識』(酒井 富士子 著/株式会社インプレス 発行)より、内容の一部を抜粋・再構成してお届けするものです。

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  2. 「所得税」と「住民税」の仕組みを確認しよう(別記事)
  3. 所得税は収入ではなく所得をもとに計算する(別記事)
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  5. 「健康保険」は職業や年齢によって3種類に分かれる(この記事)

健康保険は大きく分けて3種類

 「健康保険」は医療機関で受診した際に、窓口で医療費の3割(原則)を支払い、残りを国が負担する制度です。会社員か自営業者かといった、就労形態などにより加入する保険の種類は異なりますが、日本ではすべての国民が公的医療保険に加入する「国民皆保険制度」が採られています。加入できる制度は職業や年齢などにより、大きく①被用者保険、②国民健康保険、③後期高齢者医療制度の3つに分類されます。

 ①被用者保険は、75歳未満の会社員や公務員と、その扶養家族が加入する保険で、勤務先により加入する組合が異なります。保険料は基本的に会社と従業員とで50%ずつ負担し、毎月給与から天引きされます。

 ②国民健康保険は75歳未満の自営業者、フリーランス、無職の人が加入する保険です。保険料は自治体により異なり、全額自己負担となります。

 就労形態にかかわらず、75歳になるとすべての人がこれまで加入していた保険から、③後期高齢者医療制度に移行します。保険料は自治体により異なり、基本的に年金から徴収されます。

 保険料の医療費の自己負担は、小学生から69歳までの人は原則3割、未就学児と70~74歳までの人は2割、75歳以上の人は1割負担(所得によって2~3割)です。ただし70歳以上の人で現役並みに所得がある人は3割の負担になります。

加入する保険の種類は働き方と年齢により異なり、医療費の自己負担割合は年齢と収入で決まる

 2022年、高等学校の授業で家計管理の一部に「資産形成」の要素が導入されたことで、10代でも金融リテラシーを身につける時代になりました。「貯蓄から投資へ」という時代の流れとともに、学校では教わらなかった世代も家計管理やライフプランを見直し、資産形成のための投資や運用について学び直したい方は多いでしょう。

 本書『マンガと図解でよくわかる お金の基本 高校生から理解できる資産形成&金融知識』は、そのような学校では学べなかった社会人に向けて、高校生から理解できる「お金の基本」をわかりやすく解説した書籍です。高等学校で採用されている教科書や金融庁の金融リテラシーに関する教材を参考に、社会人こそが知っておきたい金融知識を総まとめしました。

 全編をマンガと図解で構成。家計管理、ライフプランニング、経済と金利の仕組み、お金を借りる、貯蓄する、投資で増やす、リスクに備えるといった基本をこの1冊でおさらいできます。

マンガと図解でよくわかる お金の基本 高校生から理解できる資産形成&金融知識
マンガと図解でよくわかる お金の基本 高校生から理解できる資産形成&金融知識

酒井 富士子(さかい ふじこ)

経済ジャーナリスト。金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎代表取締役。日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。著書に『マンガと図解でよくわかる つみたてNISA&iDeCo&ふるさと納税 ゼロからはじめる投資と節税入門』『マンガと図解でよくわかる 老後のお金 本当に必要な金額の答えと今からできる対策』(以上インプレス)、『おひとりさまの終活準備BOOK』(三笠書房)などがある。