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「ふるさと納税しただけ」では節税にならない! 税金を軽減する2つの方法を紹介

ふるさと納税の仕組みと活用法<後編>

▼この記事のポイント

  • 自治体に寄付をしただけでは税金は戻ってこない!
  • 6カ所以上寄付したなら「確定申告」。スマホからも申請でき、より手軽に!
  • 5カ所までの寄付なら確定申告が不要の「ワンストップ特例」
ふるさと納税のあとに確定申告をしなくていい人・確定申告が必要な人の分類と手続きの流れ
確定申告は必要? 不要?(詳細は記事本文を参照)

[目次]

  1. ふるさと納税ってなぜお得なの? まずは仕組みを知ろう!(別記事
  2. 寄付したお金ってどうやって戻る? いつの間にか住民税が軽減される?(別記事
  3. 返礼品はどうやって選ぶ? まずは自分の寄付額の上限を知ろう(別記事
  4. 税金の軽減方法は「確定申告」と「ワンストップ特例」の2種類から選ぶ
  5. 6カ所以上寄付するなら知っておきたい確定申告の方法は?
  6. ワンストップ特例制度の利用条件と注意すべきこと

※この記事は、書籍『マンガと図解でよくわかる つみたてNISA&iDeCo&ふるさと納税 ゼロからはじめる投資と節税入門』(酒井富士子著/株式会社インプレス発行/1430円)より、ふるさと納税に関するパートの一部を抜粋して再構成したものです。

税金の軽減方法は「確定申告」と「ワンストップ特例」の2種類から選ぶ

寄付先の数によって手続き方法が変わる

 ふるさと納税をするだけでは、税金は戻ってきません。税金の控除を受けるには、原則、確定申告をする必要があります。

 自治体へ寄付の申し込みが完了すると、寄付先の自治体から返礼品とは別に、寄付をしたことを証明する「寄付金受領証明書」が郵送で届きます。

 送付時期は自治体により異なりますが、多くの場合申し込み完了日から2カ月程度で送られてきます。複数の自治体にした場合はすべてとっておいて、翌年3月15日までに、住民税の所轄の税務署に確定申告をします。

 具体的な確定申告の方法については、以下で紹介しますが、確定申告の際にはこの寄付金受領証明書と、年末~1月に会社から受け取る源泉徴収票を基に確定申告書を記入して提出します。

 またもう1つの手続き方法として、寄付先が5カ所以内であれば、確定申告をしなくても税金が戻る「ワンストップ特例」という制度を利用できます。この特例の適用を受けるための具体的な手続きと注意点についても以下で紹介します。

【用語解説】源泉徴収票…… その年に会社から支払われた給与、賞与などの合計と、そこから差し引かれた所得税の金額が記載されたもの。勤め先から年末~1月に配布される。

確定申告は必要? 不要?

ふるさと納税のあとに確定申告をしなくていい人・確定申告が必要な人の分類と手続きの流れ

▼ポイント

  • 自治体に寄付をしただけでは税金は戻ってこない!

6カ所以上寄付するなら知っておきたい確定申告の方法は?

事前に必要な書類を用意しておこう!

 会社員でも寄付先が6カ所以上なら、ふるさと納税で税金の控除を受けるには、確定申告が必要です。その際に準備するものは、源泉徴収票、寄付先の自治体から送付された寄付金受領証明書、確定申告書、還付金受け取り用の銀行口座番号、マイナンバーカード(通知カード+本人確認書類)の5つ。

 そのうち特に重要なのが、寄付金受領証明書です。この書類がないと確定申告をしても税負担の軽減を受けられません。自治体から送付されてきたら、紛失しないように大切に保管しておきましょう。

 確定申告書は国税庁のホームページの確定申告特集のページへアクセスし、「確定申告等作成コーナー」を選びます。手順に沿って入力をし、印刷をした申告書を管轄の税務署に直接持っていくか、郵送で提出します。

 また最近では申告方法の簡素化が進み、スマートフォンから電子申告(e-Tax)もできるようになりました。副業や医療費控除の申告もあわせてできます。税務署に行く手間やプリントアウトをすることもなく、時間を気にせずいつでも申告できるので、忙しい人におすすめです。

 確定申告書の提出期限は、原則毎年2月16日から3月15日までの1カ月間です。万が一遅れてしまった場合、または以前にもふるさと納税をして確定申告をしていなかった場合は、5年以内であれば申請することができます。

確定申告の記入方法

確定申告の記入方法の図解

▼ポイント

  • 6カ所以上寄付したなら「確定申告」。スマホからも申請でき、より手軽に!

ワンストップ特例制度の利用条件と注意すべきこと

申請書の提出など、手続きは必要

 寄付先が5カ所以内の会社員の場合、確定申告はせず「ワンストップ特例制度」を利用できます。この制度の利用条件として、ふるさと納税の寄付先が5カ所以内であることが必須条件で、寄付先が6カ所以上だと対象外です。また1つの自治体に複数回寄付をしていても、1カ所とカウントされます。

 そのほか、確定申告をする必要のない給与所得者等が対象、というのも条件になります。ただし、会社員でも住宅ローンを組んだ1年目で住宅ローン控除をしたり、医療費控除をするなどで確定申告をする必要がある人は対象外です。また、そもそも確定申告をすることが前提の自営業者やフリーランスも対象外です。

 手続きについては、確定申告が不要といっても何もしなくてよいというわけではありません。「寄付金税額控除に関わる申告特例申請書」を必ず寄付した自治体に提出する必要があります。申請書は総務省または各自治体のホームページにアップされているので、寄付をする自治体に提出期限までに送付します。また、申告書の提出期限は翌年1月10日までなので、出し忘れのないようにしましょう。申請を忘れた場合は、確定申告をすれば税額控除を受けられます。

 なおワンストップ特例制度を利用した場合、所得税からの還付はなく、全額が住民税からの控除となる点は注意が必要です。

ふるさと納税ワンストップ特例制度の流れ

ふるさと納税のワンストップ特例制度の流れの図解

申告特例申請書の記入例

ふるさと納税の申告特例申請書の記入例

▼ポイント

  • 5カ所までの寄付なら確定申告が不要の「ワンストップ特例」

酒井 富士子(さかい ふじこ)

経済ジャーナリスト、金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。