監視カメラの今

飲食店の金銭トラブルを回避! Synology NVR1218と監視カメラで高機能なシステムを安価に構築

Surveillance Stationで複数映像をリアルタイム監視、客入りに応じた人員配置も可能に

筆者の家族が経営している店。東京都新宿区にある「紀の善」という甘味店だ

 店舗を運営していると、トラブルに遭遇する場面が少なからずある。そして、そういったトラブルを防いだり、その原因を探るために活躍するのが監視カメラだ。

 ただ、監視カメラのシステムを導入するには、かなりのコストが掛かる。安価なウェブカメラをPCと組み合わせることで、比較的安価に監視カメラシステムを構築可能だが、信頼性を考慮すると、やはり専用システムの方が安心できる。

Synology「Network Video Recorder NVR1218」

 とはいえ、業務用監視カメラシステムはかなりの高コストで、個人営業の小規模店舗などでは、なかなか導入に踏み切れないのも事実だ。

 しかし近年では、NASを使うことで、個人営業の店舗でも導入可能なほど、本格的な監視カメラシステムが安価になってきた。そこで今回は、SynologyのNASを使った監視カメラシステムを実際に導入した顛末について紹介しよう。

導入目的は防犯と事務所からの店内の把握

店内の様子。1階には客席と、入口付近にレジ、お土産用のショーケースなどがある

 筆者の家族は、東京で飲食店を経営している。店舗のある建物は、事務所と自宅も兼ねており、1階と2階を店舗、3階を事務所兼家族の自宅として利用している。ただ、店舗には監視カメラを設置しておらず、以前より懸案となっていた。

 家族が経営している店舗に監視カメラを導入しようと思った理由はいくつかある。まずひとつは防犯対策だ。

こちらは2階。テーブル席と座敷席がある

 店舗は飲食店ということもあって、万引きなどは起こらないものの、釣り銭をめぐるトラブルは時折発生しているようだ。こうしたトラブルは、”言った、言わない”と同じように、後からでは確認が難しい。あわせて、純粋な間違いもあるが、中には詐欺のような事例もあり、判断が難しい場合もある。しかし、レジ付近に監視カメラが取り付けられていれば、支払い時の金銭の受け渡しを簡単に事後確認できるようになるのはもちろん、そういったトラブルを未然に防げる可能性も高くなる。

 そして、もうひとつの理由が店内の様子を離れた場所から確認できるというものだ。先ほども紹介したように、店舗は1階と2階、3階が事務所兼自宅となっているが、3階の事務所からは店舗の様子が直接見えない。店舗を経営しているとは言っても、家族は常時フロアに出ているわけではなく、臨機応変に店舗に入るようにしている。そのため、事務所から店舗の様子が手に取るように分かれば、急に忙しくなった場合にもスムーズに対応できるようになるわけだ。実は、こちらの方が監視カメラを設置する大きな理由となっている。

高価な専用システム、不安定なPCベースのシステム、そこでNASを使った監視カメラを知る

 というわけで、2017年半ば頃から、本格的に監視カメラの導入を検討し始めた。

 その過程でまず最初に調べてみたのが、業務用の監視カメラシステムだ。すると、アナログ方式のものと、ネットワーク接続のカメラを利用するデジタル方式のものが存在することが分かった。ただ、さすがにこれからアナログ方式のシステムを導入するのはあり得ないということで、選択肢から外した。

 対するデジタル方式のシステムは、カメラこそ比較的汎用性が高く、多くの場合「ONVIF(Open Network Video Interface Forum)」というネットワークカメラの共通規格に準拠するものであれば、広く利用可能だと分かったが、肝心の録画システムが非常に高価で、それだけで数十万円近いコストが掛かってしまう。また、カメラの台数に応じたライセンス料も必要となる。試算してみたところ、100万円単位のコストが掛かる可能性があることが分かり、断念せざるを得なかった。

手持ちの古いPCにUSB接続のウェブカメラを組み合わせたところ、安定性に欠け、実運用はなかなか厳しいそうな印象だった

 次に、PCを利用したシステムを検討してみた。現在使っていない手持ちの古いPCを活用し、USB接続のウェブカメラやネットワークカメラを使ってシステムを構築すれば、かなり安価に実現できそうだ。しかし、テストとして筆者の自宅で運用してみたところ、フリーソフトでは機能が弱い場合が多い上、エラーで止まってしまう場面が頻繁に見られるなど安定性に欠け、実運用はなかなか厳しいという印象だった。

 カメラメーカーが用意している専用ソフトを利用すれば、業務用システム同等の高機能が実現できるものの、ソフトの価格は数十万円で、さらに、こちらも別途カメラのライセンス料が必要となるなど、結局かなりのコストが掛かってしまう。

 そんなときにふと耳に入ってきたのが、NASを活用した監視カメラシステムの存在だ。実際に調べてみると、数万円で販売されている低価格NASでも、かなり本格的な監視カメラソリューションを利用できる製品が存在しており、これを利用すれば、かなり安価に監視カメラシステムを構築できそうだと分かったのだ。そこで、NASの利用を本線として製品選択を開始した。

カメラ4台のライセンス標準付属が決め手! Synology「NVR1218」

 監視カメラソリューションを備えたNASを提供しているメーカーは数社あるが、最終的に選んだのはSynologyの製品だ。その理由はいくつかある。

 Synologyは、家庭用からSOHO、ビジネス向けまで、幅広いNAS製品を展開しているが、いずれも高性能かつ高機能で定評がある。また、パッケージアプリの追加で自由に機能を強化できる点も大きな特徴で、PC上級者を中心に利用者が多い。

 そして、そのアプリとして「Surveillance Station」という監視カメラ監視システムが用意されている。しかも、アプリの利用だけなら基本的に無料で、カメラ台数に応じたライセンス料を負担するだけで利用できる。しかも、カメラライセンスは1台当たり年額8000円前後と比較的安価だ。つまり、SynologyのNASを用意し、Surveillance Stationを利用すれば、かなり安価に監視カメラシステムを構築できることになる。

SynologyのNASで利用できる、本格的な監視カメラシステム「Surveillance Station」

 Surveillance Stationの機能も申し分ない。録画機能では常時録画やスケジュール録画はもちろん、動体検知をトリガーにした録画などにも対応。再生機能は、カメラごとの個別再生はもちろん、管理しているカメラすべてを、時間軸を合わせて同時に再生する機能も用意。動体検知やカメラの接続異常などが発生した場合に、指定したアドレスにメールを送信する機能も備わっている。インターネットを介したリモートアクセスにより、ライブビューや録画データ再生も行える。しかも、PCクライアントまたはデスクトップアプリと、Android用のアプリが用意され、スマートフォンからも簡単にリモートアクセスし、映像を確認できる。ここまでできるなら、本格的な監視カメラシステムとほぼ同等の感覚で利用できると言える。

 対応するネットワークカメラも、110のブランド、6000以上の製品を網羅。ONVIFもサポートしているため、カメラの選択肢も非常に豊富だ。

対応カメラは、110のブランド、6,000以上の製品を網羅。ソニーやパナソニックをはじめ、世界中のメーカーの製品が利用可能だ

 そして、Surveillance Stationの利用に特化した「Network Video Recorder NVR1218」(以下、NVR1218)の存在も、選択に至る大きな理由のひとつとなった。

 Surveillance Stationのアプリ自体は、SynologyのNASで広く利用できる。そして、NASに付属するカメラのライセンスは、価格やシリーズを問わず2台分までとなっているのに対し、NVR1218には、標準で4台のカメラライセンスが付属している。今回、店舗に設置するカメラの台数は4台を想定していたので、その点でも都合がいい。もちろん、それ以上にカメラ台数が増えるとしても、カメラライセンスを追加すれば最大12台まで対応できるので安心だ。しかも、NVR1218の実売価格はHDDレスで3万5000円前後と安価な点も、大いに魅力的に映った。

本体の見た目は2ベイのNASそのもので、非常にコンパクトだ
USBポートやLANポート、増設ユニット接続用のeSATAポートなどのほかに、映像出力用のHDMI端子を用意

 ちなみに、NVR1218の仕様はHDDレスで販売される一般的なNAS製品と大きく変わらない。
 HDDベイは2ベイ仕様となっており、見た目は一般的なNASとほぼ同じ。サイズも2ベイのNASと同等で、設置場所を取らない。拡張ユニットを利用すれば、最大7台までHDDを拡張でき、容量も最大70TBまで対応している。さらに、HDMI出力端子を備え、ディスプレイやキーボード、マウスを接続することで単体運用も可能となっているため、PCがなくても操作が可能だ。

本体内部に3.5インチHDDを2台装着できる。RAID 0/1構成も可能
ディスプレイやキーボード、マウスを接続すれば、PCを用意することなく単体で運用できる

 CPUは1GHzのデュアルコアで、メモリも1GBと少なく、そのほかの高性能なNASと比べるとスペック面は非力だ。それでも、Surveillance Stationに特化した仕様で、Synologyの一般的なNAS製品に比べて機能が大幅に制限されていることと、ネットワークカメラからの映像を記録したり、記録した映像を再生することが基本的な使い方となるため、このスペックでも影響が少ないと考えられる。

 このように、コスト、仕様ともに非常に満足できるNVR1218を利用して、監視カメラシステムを構築することにしたのだ。

まずはカメラ2台の構成で運用を開始

 NVR1218の導入を決めたので、次は搭載するHDDや利用するネットワークカメラの選定だ。

 まずはカメラから。カメラの設置台数は、最終的には4台を想定しているが、うち2台は設置が難しい屋外などでの運用を想定していることもあって、まずはテストも兼ねつつ、簡単に設置ができる店舗内の1階と2階に1台ずつの計2台から運用をスタートすることにした。

 カメラに求める機能としては、なるべく広い範囲を一度に撮影でき、客から見て圧迫感などを感じることのないコンパクトなもの、ということで製品をリサーチ。そして選択したのが、ソニーのネットワークカメラ「SNC-CX600」と「SNC-CX600W」だ。カメラ部分の仕様は同じだが、SNC-CX600がPoE対応の有線LAN接続、SNC-CX600Wが無線LAN接続に対応したモデルとなる。

選択したネットワークカメラの1つ、ソニーの「SNC-CX600」。PoE対応の有線LAN接続型のネットワークカメラだ
もう1つがこちらの「SNC-CX600W」。カメラの仕様はSNC-CX600と同じだが、こちらは無線LAN接続に対応している

 これらの製品を選択した最も大きな理由は、画角120度の広角レンズを搭載しているという点だ。店舗の形状は間口がそれほど広くなく、奥に長いのだが、画角が120度あれば、入口付近に設置すれば店内の奥まで、ほぼ全域を撮影できる。2階も同様で、当初の予定通り2台で店内をほぼフルカバーできるのは大きい。

SNC-CX600およびSNC-CX600Wは、画角120度の広角レンズを備えるカメラを搭載しており、このように1台で店内のほぼ全域をカバーできる

 サイズも61×41×95mm(幅×奥行×高さ)と非常にコンパクトで、見た目も監視カメラっぽさがないため、威圧感がなく目立ちにくい。防犯という意味ではある程度目立つことも必要だとは思うが、店内の雰囲気を壊さないという点で、このコンパクトさは有利と考えた。

 このほか、最低被写体照度が0.5ルクスからと暗所での撮影に強い点や、人感センサーと白色LEDを備えており、深夜の時間帯にも申し分なく対応できる点も魅力に感じた。

 撮影解像度はHD(720p)となっており、映像コーデックはH.264をサポート。フルHD(1080p)対応ではないが、HDなら設置場所から近いレジで扱う現金の種類をしっかり判別できるため、必要十分と判断した。

フレームレートやVBR設定で容量を節約、搭載HDDのブランドと容量を決める

 続いてNVR1218に搭載するHDDだ。SNC-CX600とSNC-CX600Wでは、映像のビットレートは最高8000Kbpsとなっており、カメラ1台につき1日約82.4GBの容量となる。あとはどの程度の期間の映像データを保存するかだが、今回は約1カ月となる30日を基本にすることとした。

 今回の監視カメラの設置目的としては、リアルタイムでの店内監視が中心となるため、基本的には長期の録画データ保存は不要と考えていた。ただ、防犯目的ということを鑑みると、最低でも過去1週間、できれば過去1カ月のデータを参照できると安心できる。仮に警察から監視カメラのデータを参照したいという要請があったとしても、おそらく過去1カ月分のデータがあれば、問題なく対応できるだろうとと考えてのものだ。

 カメラ1台あたりの1日分の録画容量が約82.4GBということで、1カ月分(30日)のデータを保存するとして、容量は約2.5TB。カメラ2台ならその2倍となるので5TBほどとなる。ただ、実際には、VBR設定にすることでビットレートを抑え、さらにフレームレートも30fpsではなく15fpsとして、容量を節約することにした。フレームレートをさらに落とせば容量も節約できるが、あまり落としすぎると動きを確認しにくくなるため、バランスを考えて15fpsを選択した。

 これならカメラ2台でも容量は4TBあれば足りると考え、4TBのHDDを搭載することとした。あわせて、NVR1218には監視カメラのデータのみを保存する計画だったため、冗長性は不要と考え、まずは1台のHDDのみでの運用とした。

 なお、こうした容量の計算は、カメラ台数、保存日数、フレームレート、ビデオ形式、解像度を選択すると、必要となる帯域幅とディスク容量を自動で算出してくれる「NVRセレクタ」がSynologyのウェブサイトに用意されているので、参考にしてほしい。

 HDDの種類については、Western Digitalが販売している監視カメラシステム向けHDD「WD Purple」を選択した。こちらの記事にもあるように、WD Purpleは映像をなるべく断片化させずに保存する特別なファームウェアを搭載しており、監視カメラシステム用としては最適なHDDとなっている。絶対に消えては困るデータを保存するわけではないため、耐久性重視の製品である必要性は低い。価格もNAS向けのHDDなどと比べて特別高価なわけではないため、コスト面でも大きな問題はない。以上のことから、WD Purpleを選択した。

HDDは、監視カメラシステムに特化したファームウェアを搭載するWestern Digitalの「WD Purple」を選択

 というわけで、全ての機材選定が終了。NVR1218、カメラ2台、4TBのWD Purpleで計11万円強。トータルコストでは十分に満足できるものとなった。

初期設定やカメラの登録作業も非常に簡単

 NVR1218の初期設定と、Surveillance Stationでのカメラ登録は、想像していた以上に簡単だった。

 NVR1218の初期設定は、本体内部にHDDを装着し、製品パッケージに付属しているファームウェア導入用のUSBメモリーをNVR1218のUSBポートに接続して起動。すると、ファームウェアのインストールが自動的に開始される。

本体カバーを開けて、用意したHDDを取り付ける
HDDを装着したら、NVR1218に付属のUSBメモリーを装着して起動すると、ファームウェアがインストールされる

 このとき、NVR1218にディスプレイやUSBキーボード、マウスを接続しておけば、別途PCがなくとも設定が可能となるので非常に便利だ。ファームウェアのインストールが完了すると、アカウント登録などを経て、Synology NASでおなじみの設定メニューへとアクセス可能となる。念のため、ファームウェアやSurveillance Stationなどのパッケージアプリのアップデートもこの時点で行っておく。

ディスプレイやマウスを接続すれば、ファームウェアの導入も単体で行える
ファームウェアの導入が終わったら、管理者アカウントの登録などを行うと、設定メニューへとアクセス可能となる
ファームウェアの導入後、ネットワークに接続してファームウェアやアプリケーションのアップデートも行っておく

 続いてカメラの登録だ。Surveillance Stationを起動し、利用するネットワークカメラを登録するが、こちらも非常に簡単。メニューからカメラのメーカーや型番、IPアドレスなどを指定するだけとなっている。用意したカメラは自力で設置を行い、有線LANと無線LANを利用してLANへ接続するとともに、ルーター側でそれぞれのカメラに割り当てるIPアドレスも固定しておいたので、簡単に見つかり登録できた。

こちらがSurveillance Stationのメインメニュー
利用するカメラを登録する
カメラは、あらかじめ店内に設置してネットワークに接続し、ルーターでIPアドレスも固定しておいた
カメラリストから製品を選択し、IPアドレスなどを入力するだけで簡単に接続できる

 カメラの登録に続いて、録画形式やスケジュールを設定する。今回利用するカメラでは、ビデオのコーデックとしてH.264とMotion JPEGをサポートしているが、ここでは容量的に有利となるH.264を選択。オーディオも同様の理由でAACを選択した。解像度は720p(1,280×720ドット)、フレームレートは15fps、ビットレートはVBRとし、画質は「5(最高)」に設定。

ビデオコーデックはH.264、オーディオコーデックはAACを選択
ビデオの解像度は720p(1,280×720ドット)、フレームレートはデータ容量を抑えるために15fpsを選択。ビットレートは可変で、画質は「5(最高)」を指定した

 録画スケジュールは1週間単位で設定可能となっているが、当初より24時間連続録画を計画していたので、すべての曜日・時間帯を連続録画とした。加えて、ファイル保持日数は30日とし、HDDの容量不足または録画データ保持期間を過ぎた場合には、古いものから自動的に削除するよう設定した。ほかにも細かい設定項目はあるが、基本的にはここまでの設定を行えば常時録画が開始される。

24時間常時録画とするために、1週間全ての時間を連続録画に設定
録画ファイルの保持日数は30日を指定し、日数を過ぎたり容量が不足すると古いファイルから削除するように設定

 最後に、リモートアクセス用としてSynologyアカウントの登録とQuickConnentの設定を行った。この機能は、SynologyのNASに標準で用意されているもので、設定しておけばインターネット経由で簡単にリモートアクセスができるようになる。先に紹介しているように、基本的には同じ建物の3階にある自宅兼事務所での確認が基本となるため、リモートアクセスの設定は本来不要ではあるのだが、筆者がこの監視カメラシステムの管理を担当しており、筆者の自宅は店舗とは異なる場所となるため、念のため設定しておくことにしたわけだ。

最後に、リモートアクセス用にSynologyアカウントの登録とQuickConnentの設定を行い、設定は完了

ウェブブラウザーから簡単にライブビューや録画データの再生が可能

 このシステムは、2018年2月中旬頃より運用を開始している。運用開始から1カ月ほど経過しているが、特に目立ったトラブルもなく、非常に安定して運用できている。

 NVR1218は、事務所で使っているPCの横に置き、ディスプレイなどは接続せずに、一般的なNASと同様に運用している。コンパクトなボディで場所を取らない点は、NVR1218にして非常によかったと実感する。

 ライブビューや録画データの確認は、事務作業などに利用しているPCから、ウェブブラウザー経由でNVR1218にアクセスすることで行っている。同一LAN内からのアクセスとなるため、ライブビューがスムーズに表示されるのはもちろん、録画データの再生も気持ちよく行える。

設定を行ったNVR1218は、このように事務所のPCデスク上に設置。コンパクトなので置き場所に困らないのも嬉しい
ウェブブラウザーでライブビュー画像を見ている様子。ウェブブラウザーでレスポンスよく確認できるため便利だ

 録画データは、カメラごとの映像を個別に再生できるだけでなく、2台のカメラの映像を同期させて再生することも可能だ。その場合でも、再生日時の変更に小気味よく追従し、安定して再生できる。このあたりは、かなり扱いやすいと感じる。

 また、専用アプリも便利に活用できると感じた。Windows用の専用アプリを利用すれば、ライブビューや録画データの再生に即アクセス可能となるが、ウェブブラウザーでアクセスする場合と同じインターフェイスで、戸惑うことなく利用できる。実際の運用ではウェブブラウザーでのアクセスを基本としているが、専用アプリで運用したいという人でも、これなら安心だ。

録画データの再生メニュー。カメラごとの個別再生だけでなく、複数のカメラの録画データを、同じタイミングで再生させることも可能だ
Windows用の専用アプリでライブビューを表示させている様子。ウェブブラウザーでのアクセスと変わらないUIで、どの方法でも迷わず利用できる

 あわせて、Android用のモバイルアプリ「DS cam」も用意されており、そちらを利用すればスマートフォンを利用して外出先からも簡単にアクセス可能だ。実際には、モバイルでの運用は想定していないため活用してはいないが、試しにスマートフォンで確認してみたところ、確かにモバイルアプリでも問題なくライブビューや録画データの再生が可能だった。そういった用途が不可欠という人にとっては、このモバイルアプリの存在もありがたいだろう。

Android用のモバイルアプリ「DS cam」
外出先からでも、Androidスマートフォンを利用してカメラのライブビューや録画データの再生が可能

 ただ、QuickConnentを利用したリモートアクセス時のレスポンスに関しては、ウェブブラウザーからインターネット経由でNVR1218にアクセスした場合、やや反応が遅いという印象だった。QuickConnentではSynologyの管理サーバー経由でのアクセスとなるため、こうした遅延が起きると考えられる。専用アプリでのアクセスではさらに反応が遅くなり、Android用のモバイルアプリを試しても、反応の遅さは同様だった。

 QuickConnentではなく、直接接続なら反応も改善すると思われるが、今回の環境では、利用しているネットワークやインターネット回線の運用上、直接アクセスは難しいこともあり、この点は仕方がない。リモートアクセスに関しては、筆者が遠隔地からメンテナンスを行う場合ぐらいしか活用しないため、大きな問題とはなっていない。ただ、リモートアクセスが必須となる場合は、直接アクセスを実現するなどの対応が必要だろう。

安価に高性能な監視カメラシステムを構築できて満足

 今回、SynologyのNVR1218を利用して監視カメラシステムを構築してみたが、結果には十分に満足できている。業務用システムと比べても遜色のない機能が利用できる上に、トータルコストも11万円強と、十分安価に抑えられており、非常に満足度が高い。唯一の不満は、先ほども紹介したリモートアクセス時のレスポンスの悪さだが、こちらも実際の運用ではリモートアクセスを利用する機会は少なく、問題となっていない。何より店舗を運営している家族からは、3階の事務所兼自宅からフロアの様子が手に取るように確認できるようになったことで、店舗運営も以前より楽になったと喜ばれている。

 現時点では、まだ運用開始からそれほど時間が経っておらず、試験運用に近い段階ではあるが、もう本格運用に切り替えても大丈夫と言えそうだ。あわせて、当初の予定どおり、追加のカメラも今後順次設置していきたいと考えている。

 このように、今回選択したSynologyのNVR1218は、監視カメラシステムに特化していることもあるが、想像以上に本格的で、業務用としても十分に活用できる。しかも、トータルコストも安価に抑えられるため、コストの問題で監視カメラの導入に二の足を踏んでいる個人事業者でも、十分に導入できるはずだ。

 また、すでにSynology製のNASを利用している人なら、アプリケーションを追加するだけで利用可能になる点も嬉しい。そして、業務用としてだけでなく、家庭の様子を外出先からチェックするといった用途にも柔軟に活用できるだろう。もし、安価に監視カメラシステムを導入したいと思っているなら、SynologyのNAS製品とSurveillance Stationの利用をお勧めしたい。

(協力:Synology)