テレワークグッズ・ミニレビュー【特別編】

マイホームの裏庭で事件発生!! TP-Linkの屋外対応&360°首振りセキュリティカメラで犯人特定&撃退までの顛末

犯人はタヌキか? ハクビシンか? アライグマか? あるいは嫌がらせか???

犯人は誰か? セキュリティカメラで犯行の瞬間を激撮した!!

 筆者が住んでいるのは神奈川県藤沢市。駅からは少し離れた、大きいマンションもないが、林や田んぼもない、戸建てや小さいアパートが集まった住宅街だ。

 隣近所は古くからの住民が多く、町内会などもあって、良好なご近所づきあいができている、と思っている。

 しかし9月のある日、事件が起きた。本稿ではその事件の犯人捜しの模様をお伝えしたいのだが、その前に1つご注意を。本稿ではその事件の特性上、しばしば不快に感じられる表現が出てくる。特に 食事中の人は食べ終えてから読むことをお勧めしたい

家の裏手で行われていた衝撃の犯行

 ということでその 事件 について話を進めよう。

 思い返せば、事件の発覚する数日前から、仕事部屋でなにか悪臭を感じることがあった。不思議には思っていたのだが、その週末、ふと家の裏手(仕事部屋のすぐ外)を見てみると、そこには動物の排泄物の山ができていた。

  「なんじゃこりゃあぁぁ!!」

 にわかには信じがたい光景だったが、2つ3つではなく、集めてきたものをドサッとやったかのような山ができていたのである。

 ふと思った。 「誰かに嫌がらせをされたのか?」

 ご近所との関係は良好だと思っているのは筆者だけで、実はなにか恨みを買っていたんじゃなかろうか……などと悪い想像が脳裏に浮かぶ。

 だが、すぐにスマホで調べてみると、タヌキやハクビシンが同じ場所にする習性があるらしい。しかし、神奈川県の中でも海側で、近くに山も畑もないようなこの地域でタヌキなんて見たことがない。となるとやっぱり嫌がらせなのか(汗)。

 そのままにもしておけないのでできるだけ片付ける。1度限りのことで、次はないことを祈りつつ。

 だが数日後に再び家の裏を見に行くと、そこにはまた……。前回よりは少なめだったがそれでも山と呼ぶには十分な量。

 この頻度でやられちゃたまらん。これはもう 犯人捜し をするしかない。

 そこでTP-Linkに屋外で使えるセキュリティカメラをお借りして、犯人捜しをすることにした。

ソーラーパネルで電源いらず、パン・チルトで全方位撮れるスグレモノ

 今回借りたのはTP-Linkの 「Tapo C660 KIT」 だ。

 Tapo C660 KITはソーラーパネルとセットになった屋外設置も可能なセキュリティカメラ。電源はソーラーパネルと内蔵バッテリー、映像の伝送や操作はWi-Fiでできるので、 屋内からの配線は一切不要 で設置ができる。もちろん防水性能もバッチリで雨が降っても大丈夫だ。実売価格は2万2800円。

TP-Linkの「Tapo C660 KIT」

 ソーラーパネルタイプのセキュリティカメラは最近増えてきているが、この製品の最大の特徴は、カメラ部が パン・チルトに対応 していること。一般的な固定式のカメラだと、広い範囲を写すには、遠くから撮影するか、複数台のカメラを使う必要があるが、Tapo C660 KITなら1台で360°の撮影ができる。

 しかもスマートAI検知によって、人物、ペット、クルマなどを認識でき、 自動で追尾して撮影 することもできるという。ペットを認識するなら犯人が動物だった場合もしっかりと証拠を押さえてくれそうだ。

 センサーは4K 800万画素で18倍までデジタルズームも可能。また、F1.6という大口径レンズとスポットライト、スターライトセンサーによって、 夜間のカラー撮影もできる とのことで、犯人が夜中にやってきてもしっかり撮影できるはずだ。さらに内蔵のLEDやスピーカーで警告をすることもできるという。調べれば調べるほど実に頼もしい。

ソーラーパネルをカメラと一緒に固定する場合の形。本体には10000mAhのバッテリーを搭載
日当りの悪い場所であれば、カメラとソーラーパネルを別の場所につけることもできる
ソーラーパネルを離れた場所につける場合のために5mの延長ケーブルが付属
カメラは4K 800万画素でF1.6の大口径レンズ、デジタル18倍ズームに対応。LEDライトは撮影の明りと警報としても使える
電動で首を左右に振れるほか、レンズ部分が上下にも動いてあらゆる方向を撮影できる
レンズ部の下側にあるカバー
ここを開けるとmicroSDカードが挿せる。最大512GBに対応

9月13日、カメラを設置。日当たりは1日数時間だけど大丈夫……なハズだ

 その設置方法だが、壁面や軒下にネジ留めするか、パイプなどにバンドでくくりつける形になる。ただ、今回は犯人特定、撃退までの期間限定なので、木材(2×4材)に固定して、それを雨樋のステーに共締めするという方法で対応した。市販のバンドなどを使って雨樋自体にくくりつけることもできそうではあったが、場合によってはカメラ位置を変えることも考えてこのようにした。

ベースは壁付けと天井(軒下)取付けに対応。ただしネジ留めが必要
よく見ると少し丸くへこんでいてパイプなどにバンドで固定することもできるようだ

 事件現場は家の北西なので、あまり日当たりの良い場所ではないが、それでもこの季節だと1日3~4時間は日が当たる。説明によれば、カメラを1日稼働させるのには、 1日45分直射日光に当てられればOK とのことなので、ソーラーパネルも同じ場所に設置した。ただし、5mの延長ケーブルが同梱されているので、場合によってはソーラーパネルだけもっと日当たりのよい場所に設置することも可能だ。

家の北西の角だが1日数時間は日が当たる。1日45分直射日光に当たればいいというので大丈夫なハズ

 操作はスマホアプリ「Tapo」から行うが、Amazon AlexaやGoogleアシスタントと連携させることもできる。筆者はAlexaを使っているので連携させてみたが、Echo Showに「アレクサ、セキュリティカメラの映像を映して」と言うと、Echo Showでセキュリティカメラの映像を見ることもできる。

 また、映像は本体内のmicroSDに記録できるが、サブスクリプションサービスの「Tapo Care」を契約すると、映像はクラウド上に30日間保存できる。万が一microSDカードや、カメラそのものが盗難されても、クラウド上の映像が確認できるので安心だ。

 最初の1カ月は無料で利用できるので、今回はmicroSDも使いつつ、Tapo Careも使って試してみた。犯人が動物であれば問題無いが、もし人だった場合、証拠隠滅のためにカメラを壊して持って行かれるような可能性もゼロではないが、そんなときもクラウドに録画できていれば犯人を特定できるだろう。

設定などはスマホの「Tapo」アプリで行う。TP-Link製品を使っている人ならすでにTP-Link IDも持っているだろう
デバイスを追加で屋外用カメラから「Tapo C660」を選ぶ。あとはアプリの指示に従えば登録できるはずだ
30日間無料で使えるクラウドストレージサービス。勝手に延長されるようなことはないので試してみるとよいだろう
クラウドを使わなくてもローカルのmicroSDカードに録画できる

 設置ができたら、スマホアプリでパンやチルトの操作をして、デフォルトの撮影アングルを決める。犯行現場の直近に固定したので、真下がどこまで映せるか心配だったが、チルトで下限まで下げれば、ほぼ真下まで撮影可能で、死角に人が隠れるようなことはできないレベルであった。

 続いて設定の「検知」で「起動感度」を最大の10に、「自動追尾」は人物とペットを対象に、車両は対象から外した。まぁ道路に面していないのでクルマが通ることはないのだが。

 そして「検知ゾーン」でフェンスの内側を指定する。こうすることで、お隣さんが歩いていても検知しないはず。とはいえお隣さんも家の前に突然カメラがあると驚くと思ったので、事前に状況は説明しておいた。

 「検知タイプ」は動体検知、人物検知、ペット検知をオンに。これでフェンスの内側に人や動物が入ってくれば検知して、自動追尾して撮影してくれるはずだ。

検知の設定画面。犯人が人の可能性もあるので、まずは動体、人物、ペットの検知をオンにした
検知エリアを設定できるので、フェンスの内側に設定。これで隣人が歩いても大丈夫

 あと、「クリップの設定」も調整した。これはバッテリーの持ちにかかわってくる部分だが、今回は家の裏側でいつもは人や動物が通るような場所ではないので、クリップの長さ(検知して撮影をした場合の1クリップの長さ制限)を最長の120秒にし、レコードバッファ(検知が終えてから撮影終了までの時間)はデフォルトの6秒、また再トリガー時間(検知が継続した場合に再度撮影を開始するまでの待ち時間)を0秒とした。

 これで犯人がどこから来てどこに逃げていくのか、撮り逃がすことはないはずだ。

 ただし、第一段階としては、犯人特定が目標なので、「アラート」はオフにしておいた。検知エリアを指定しているとはいえ、お隣さんに反応して警報を鳴らしてしまってもよくない。さて、これでまずは証拠映像を押さえたい。

検知したときにどれぐらい録画するかの設定
曜日や時間で録画するスケジュールを設定できる。日中は録画しない設定にした

9月14日、カメラ設置後の最初の夜、自動追尾で犯人の姿を捉えた!!

 その日は犯人が来るんじゃないかと3時ぐらいまで起きていたが反応なく、諦めて寝床に入る。

 が、翌朝起きると、iPhoneに通知が出ていた。なにかが検知され録画された知らせだ。筆者が寝てしばらくして、3時46分にやってきたようだ。

 はたして犯人は写っているのだろうか?

 通知をタップして映像を確認すると、カメラがパンしているのだろう、ぐるりと映像が動いたと思うと、止まった画角のド真ん中には小動物が……。

 だがしかし……、これは……、 タヌキ…… なのか???

動画から切出した画像。タヌキ? にしては顔が細長いようにも見える。上から見ていることとカラーじゃないことで確信が持てない

 とりあえず人ではないのは確か、だが、タヌキってもっとずんぐりむっくりしている印象だが、やけに細くてイタチのようにも見える。それともこれがハクビシンなのか?

 なにはともあれその映像を見ていただければと思うが、撮れていた映像がモノクロで、しかもほぼ真上から撮っているのでよく分からないのだ。

 なお、本稿で掲載している動画はいずれもTapo C660 KITで撮影したもので、4Kでアップしてある。また、大きな音が入っているものもあるので、標準でミュートにしてある。音が聞きたい人はミュートを解除してほしい。

9月14日3時46分、敷地の角付近にて事を行う様子がバッチリ録画できた。ただ、赤外線映像のためなんの動物か確信が持てない。また、どこから来てどこに去って行ったのかも撮れていなかった

 おかしい、このカメラは夜中でも カラーで撮れるハズ だが。

 それと検知して撮影が始まるまでにタイムラグがあるようで、録画が始まったときにはすでに コト を始めていた。そのためこの動物がどこから侵入してきたのかが分からない。また、なぜか去るところも途中で切れてしまっていた。

 このカメラの場合、デフォルトの設定では、センサーが反応したときだけ録画する設定。そのため撮影が始まるまでにタイムラグがあって、最初にどこからやって来たのかが撮れないのだ。

 そこでメーカー担当者にメールを送り、夜もカラーで撮る方法と、少しでも反応を早くする方法を問い合わせてみた。だがしかし、運の悪いことにこの週末はちょうど3連休。メールの返事が来る前にも、連日のようにヤツらがやってきては犯行におよぶ。もうこの辺で片付ける気が失せてきた。

9月15日20時40分、この日は前回の犯行現場から1mほど離れた、カメラの真下付近にて犯行が行われている。今回もどこから来たのかは撮れなかったが、犯行後、向って左手、門の方に去って行く様子までしっかり自動追尾できている
9月16日1時43分、すでに犯行を終えた後のようだ。しかし前回の犯行からたった5時間、すごい頻度だと思っていたが、次の映像でその原因が判明する
9月16日22時26分、なんと! 2匹いる!!! 犯行の頻度がやけに多いのと、犯行現場が2箇所に分れているのが謎だったが、個体ごとに犯行スポットをキープしているのかもしれない

9月17日、暗い夜でもカラーで撮る方法と、検知を早めるためのテクニック

 連休が明けてメーカー担当者から問い合せていた件の返事が来た。

 まずカラーにならない件については、Tapoアプリからカメラを選んで、設定(右上の歯車のマーク)の中にある「動画&表示」を選ぶと、「ナイトモードの設定」というのがあって、デフォルトの「赤外線モード」から 「フルカラーモード」 に変更すればよいとのこと。これで検知時にはLEDライトが点灯し、夜間でもフルカラーで撮影できるようになる。

 また、センサーの反応速度を上げる方法として、 「24時間キャプチャ」 をオンにするといいとのこと。これは数秒(1~60秒)間隔で撮影をし続けるモードで、この場合、前の画像との差分で違いを検知するため、より速く検知、録画が開始できるようになるとのこと。

 もちろん、その分バッテリーの減りも早くなるし、メモリーカードの容量もより消費するようにはなる。ただし、24時間と言いつつ、スケジュール設定もできるので、この動物がやってきそうな夜の間だけ24時間キャプチャにする、ということができる。

 バッテリーがどれぐらい減るのか、メモリをどれぐらい使うのかはやってみないと分からないので、まずは17時から朝7時までを5秒間隔で撮影するように設定してみた。

 結論から言うと、これぐらいであればバッテリーの減りはまったく問題なかったし、容量についても、1カ月で10GBほどと、今どきのmicroSDカードの容量であれば、数カ月とか1年とか余裕で持つレベルだった。

Tapoアプリからカメラを選び、右上の歯車アイコンで設定画面が開く。ここから「24時間キャプチャ」の設定と、「動作&表示」を選んでナイトモードの設定ができる
「動作&表示」の設定画面から「ナイトモードの設定」を選ぶ
標準だと赤外線モードになっているので、フルカラーモードを選択すれば、夜間でもカラーで撮れるようになる
こちらは24時間キャプチャの設定画面
キャプチャの間隔を設定できる。とりあえず5秒にした
キャプチャを行う時間も設定できる。日没が早くなってきたので、17時~翌朝7時までに設定した

9月19日、ナイトモードで夜でもカラーで激写!! 犯人が判明する

 17日に夜でもカラーで撮れる設定をしたものの、なぜかヤツらが来なくなった。これまではいつ来ているのかまったく分らなかったが、カメラで連日のように姿を見るようになると、たった2日来ないだけでもやきもきしてくる。

 まだかまだかと待つこと19日の夜、ついに犯人がやってきた。今度は敷地に入り込んでくるところからバッチリ撮影できていた。

 犯人は隣の家からフェンスの下をくぐってやってきた。分かりにくいので説明すると、カメラの映像の左上が隣の家、右上が裏の家で、画面左下に我家の駐輪場があって、その先が門になる。

 そしてカラーで見るに、 犯人はタヌキで間違いなさそう だ。ハクビシンであれば顔の中央に白い線があるはずだし、身軽なのでフェンスなんて飛越えてくるはず。タヌキに似たアライグマの可能性もあるが、アライグマは尻尾がシマシマなのが特徴。カラーのキレイな映像で見てもそれはないので、タヌキで間違いなさそうだ。

 そして映像には音もしっかり入っている。途中でガチャっという音がするのだが、これはわが家の門が開いた音。ちょうど義父が帰ってきたのだ。タヌキもその音に気がつくと、出すものを出してすぐに裏の家の方に逃げていった。フェンスの下のすき間をくぐって慌てて逃げていく姿は少しかわいくもある。

 義父に確認したが、タヌキがいたことにはまったく気がついていなかった。筆者もそうだが、人が気がついていないだけで、実はけっこうそばに野生動物は住んでいるのかもしれない。

9月19日19時17分、すでに日は落ちているが、カラーでしっかりと撮れている。これはタヌキで間違いないだろう。門の開く音がすると、裏の家のほうに逃げていった。ハクビシンならフェンスなど飛越えるらしいので、タヌキで間違いないだろう
夜間でもカラーでキレイに撮れている。これはタヌキで間違いなさそうだ

 翌朝にもタヌキはやってきた。裏手の家からフェンスをくぐってやってくると、門の方に消えていく。そして40分後、今度は門のほうから入ってきて、わが家でコトを済ますと、裏の家の敷地に去って行った。

 これまでの映像からして、裏手の家の敷地から来て、わが家の門の方を通ってどこかに行く、というのが行動パターンのようだ。

9月20日5時19分、裏の家の敷地からよじ登ってくると、画面左手の門の方に去って行く
4K映像からフルHDサイズで切り出した画像。明け方に裏手の家の敷地からよじ登ってきた。この明るさだとタヌキだとはっきり分かる
こちらは戻ってきた時の映像から切り出したもの。フェンスの下をくぐって裏手の家の敷地に戻ってく様子がしっかりと確認できた

 カメラの映像でも分かるとおり、裏手の家は草木が生茂っている状態で、野生動物が隠れるには格好の場所だ。住処があるのか、餌場としているのかは不明だが、いずれにしてもわが家は通り道、兼、犯行スポットにされているようだ。

 しかし犯人がタヌキだと困ったこともある。というのも藤沢市では、ハクビシンやアライグマ、台湾リスなどは害獣という扱いで、捕獲器を貸してもらうことができるのだが、タヌキは在来種なので、その対象にはならないのだ。

 そこで次の策として、アラートを試してみることにする。調べた情報によると、タヌキはかなり臆病で、 大きな音を出すと気絶してしまう こともあるのだという。であれば警報を鳴らせば、気絶しないまでも驚いて近づかなくなるかもしれない。

9月21日、臆病と言われるタヌキ、アラート機能の光と音で撃退か……

 まずはご近所さんに状況を説明し、夜中に警報が鳴るかもしれないことを説明しておく。なにしろ映像でタヌキがいることも、それが筆者宅だけでなくこのあたりを悠々と出歩いていることも映像で分かるので、理解を得るのも話が早い。

 すでに犯人がタヌキであることは分かっているので、検知するのは「ペット」のみに設定。また、警報を鳴らすのは夕方から朝までにすることで、日中お隣さんが庭に出たときに反応しないようにしておく。音量などはデフォルトに。目の前で鳴ると結構うるさいが、家の中だとTVなどを見ていれば気がつかないぐらいの音量で、これぐらいなら近所迷惑にもならないだろう、という音量だ。

カメラのアラートを設定した。アラームはデフォルトからサイレンを選んだが、カスタムで自分の声などを録音することもできる。ただし音声ファイルなどを登録することはできなかった。動物が嫌う高周波などが登録できればよかったのだが

 ただ、最初に検知・発報したのは、よりによって家族で出かけているタイミングだった。隣家のおばちゃん、驚いていないだろうか。

 運転中のスマホに通知が出たので、目的地に着いたところでスマホから映像をチェックする。タヌキは臆病とのことなので、もしかしたら気絶していたり、そうでなくても逃げ出していることだろう、と思ったら、 ぜんぜんだった

 確かに音も鳴ってLEDも点滅して警告しているのが映像から分かるが、タヌキにはあまり聞こえていないのだろうか? のんきにクモを捕らえようとしているし、逃げる様子がない。あたりを気にしてはいるものの、いままで以上に長く居座っている。

 とはいえやはり落ち着かない様子ではあって、とりあえずこのときは犯行にはおよばず立ち去ってくれた。

 ただ、その後も何度も訪れて、どうやらカメラが鳴っていることは理解したものの、音と光だけで特に 危険はないと思っている様子 。家にいるときに警報が鳴ったときは、すぐに駆けつけることを繰り返したのだが、こちらの顔を確認してから逃げるような状況で、だいぶ人慣れしているのかもしれない。

9月21日18時47分、映像では音を小さめにしているがアラーム音が鳴り響いている。しかしタヌキは気にはしているもののすぐに逃げる様子はない。どうやらタヌキというのは、一目散に逃げるというより、状況を確認してから逃げる性格のようだ

9月24日、行動パターンは分かった!! なので物理的に防御する

 こうなるともう物理的になにか対策をするしかない。

 幸いこれまで多くの映像が撮れたことで、タヌキが裏手の家から行き来していることは明白。フェンスを越えるようなことはできないようで、いつもフェンスの下を潜っている。ならばそのすき間をふさげば、タヌキによる実害を止められるかもしれない。

 ということでAmazonで良さそうなネットを買ってフェンス下をふさぐ。別のところから入ってこられる可能性も考えて、およそ半周をぐるりとふさいだ。

Amazonでメッシュフェンスを購入。プラスチック製なのでハサミで切って使える
フェンス下の幅に切ってタイラップで固定。ただ、強く押せばめくれてしまうので、タイルを置いて対策

 同時に、カメラの位置を変更した。

 というのも、もしも裏手の家からタヌキがやってきて、なにかしらの方法でフェンスを越えてくるようであれば、その様子が撮れるかも、と思って、裏手の家との境界が見やすい位置にカメラを移動させたわけだ。

 そして待つこと数日。これまでであれば2日に1回は警報が鳴っていたのが、まったく鳴らなくなった。おそらく裏手の家から入ろうとして断念しているのだと思うが、裏手の家側は草木が茂っているので、タヌキが顔を出したぐらいだとカメラも反応しないのだと思う。

 翌週末9月27日、ちょうど外出しているところでセンサー検知の知らせがスマホに届く。ネットのすき間でも通ったのかと思ったが、映像を確認すると門のほうからやってきたようだ。フェンスの下を通って裏手の家に行こうとしているようだが、しばらくうろうろしていたものの、最後は断念してUターンしていった。

 これを最後に、タヌキが来ることはなくなり、実害はなくなった。これまで片付けても片付けても切りが無かったが、ついにその問題も解決だ! 本当に良かった。

9月27日20時36分、門(カメラの位置を変えたので画面右手)からやってきたタヌキ。裏手の家(画面左手)に行こうとフェンス沿いを行ったり来たりしているが、奥までネットでふさいであるので、断念して引返していった

問題は解決! だが来訪者はタヌキだけではなかった!!

 以上が犯人特定&撃退までの顛末なワケだが、実はTapo C660 KITが捉えた映像はこれだけでは終わらなかった。ここからはその後日談をお伝えしよう。

 もしかしたらタヌキが戻ってくるかもしれないと、念のためカメラを動かし続けていたのだが、1週間以上反応無し。いよいよ大丈夫かと思っていた矢先、10月7日の朝にスマホに通知が来ていた。夜中になにかが訪れたらしい。

 どこかのネットが破られたか? と思ってカメラの映像をチェックすると、なにやら小動物が写っている。

 またタヌキか? と思って映像を拡大してみると……。

10月7日3時33分、深夜遅くに何者かがやってきた……

  「ネコでした。」

 タヌキ事件のころからネコを見ることはなかったのだが、タヌキの排泄物には縄張りの意味もあるそうで、それがなくなったことで、ネコがくるようになったのかもしれない。まぁ別に実害はないし問題ない。

 さらにその5日後、朝起きるとスマホに通知が。昨晩なにかが来たらしい。

 また猫か? それとも今度こそタヌキか? と思って映像を確認すると、なんとワイヤーでできたフェンスの上を歩いて行く動物が。いくら猫でもこんな細いフェンスの上は歩けなさそうだが……。ただ、カメラが反応するのが遅かったようで、記録された映像では通り過ぎて行く尻尾だけが見えている状態。顔が見えないのでなんの動物か判断できない。

 ただし、そうした場合は24時間キャプチャの画像をチェックすることで、検知する以前の様子を見ることができる。24時間キャプチャは5秒に1回(設定による)静止画を撮影しているものなので、検知して録画をはじめる前の状況を垣間見ることができるわけだ。

 下の動画は筆者が元データを編集したものだが、スマホアプリでも同じように、24時間キャプチャの部分と、検知して録画された映像を連続して見ることができる。

 というわけでアプリで確認すると、24時間キャプチャにしっかりと顔が写っていて、その顔には白い線が。

10月12日1時47分、フェンスの上を器用に歩く動物が。24時間キャプチャのおかげで直前の状況も確認できる。これを見ると1mぐらいを一気にジャンプしてフェンスに飛び乗ったあと、フェンスの上をスルスル移動しているのが分かる
10月12日1時47分、フェンスの上を器用に歩く動物が一瞬カメラを見たところ。鼻筋に白い1本の線があるこの顔は……

  「ハクビシンでした。」

 なんと、ハクビシンまで居るとは驚きだ! しかもハクビシンはフェンスぐらい越えると聞いていたので、ネコぐらいの動きを想像していたが、まさかあの細いフェンスの上を歩くとは!

 しかしフェンス対策をして一安心とアラートをオフにしておいたのだが、タヌキ以外がいろいろ来るので再びアラートをオンにした。

 それから1週間後、妻も娘も寝た後に一人でTVを見ていると、外から警報音が聞こえてきた。タヌキか、ハクビシンか? どちらにしても少しでも怖がらせて近寄らなくさせておきたいところなので、即座に家を飛び出して現場に駆けつける。

 が、すでに警報は止まっていて、動物もなにもいない。逃げ足の速さからしてネコかハクビシンだろうか。

 などと思いつつ、スマホも家の中なので部屋に戻る。そして映像をチェックしようとしたところで再び警報音が! 逃げ去ったかと思ったが、どうやらまだ敷地内にいるらしい。おそらくフェンスが越えられないのだろう。ということはタヌキだろうか?

 再びカメラの下へ急ぐがまた発見できず。

 そこでカメラの映像を確認してみると、写っていたのはネコでもハクビシンでもなく……。

 これは? タヌキ……なのか?

10月19日21時35分、警報が鳴り響く。タヌキ? いやいやよく見るとシマシマの尻尾、コレは!!
ラスカル~っっ。めっちゃカメラ目線、見た目はかわいいけど害獣なので餌付けなどをしてはいけない。でもフェンスをよじ登る姿がまたかわいい

  「アライグマでした。」

 まさかアライグマまで出るとは!!

 映像を見ると反対側に逃げていった様子。そこで移動可能な木製フェンスで通路をふさいだ上で家の反対側から回ってみる。ライトで照らしながら進むとまた警報音が。急いで現場に向かうがやはり発見できず。そこで再び逆回りしてみるが発見できず、今度は警報も鳴らない。どこかに隠れたのか?

 そこで映像を確認してみると、アライグマがフェンスをよじ登って逃げていく様子が映っていた。そうか、タヌキと違ってアライグマはフェンスがよじ登れるらしい。

 ただ、アライグマは追いかけ回されて懲りたのかそれ以来現れていない。

 また、前の個体と同じかは不明だが、もう一度だけハクビシンが来たことがあった。アラームに驚いてすぐに逃げていき、それ以降姿を現わしていない。どうやらタヌキ以外にはアラートが有効なようだ。

10月28日19時1分、ふたたびハクビシンがやってきたが、今回はアラームが鳴ったことで慌てて引返していった。しかしこのフェンスの上を歩くとは、ネコよりサルに近いかもしれない
ハクビシン。アラームに驚いて逃げるがフェンスの上を器用に歩いて行く

予想以上に大活躍!! まさかこんなに身近にこんなに多くの野生動物がいるとは!!

 いやはや、これまでセキュリティカメラについてはさほど関心を持っていなかったのだが、今回は本当に大活躍してくれた。

 もはや情報量が多すぎてすっかり忘れかけているが、事件の犯人がタヌキであることも確認できたし、そのタヌキがどこからやってくるのかも分かって、その対策もできた。Tapo C660 KITのパン・チルト機能がめちゃくちゃ役に立ってくれた。

 加えて、実はタヌキ以外にもいろいろな野生動物が近所をうろついていることが分かったわけだが、アラートが鳴ることもあってそれ以上の被害は出ていない。

 ここまでのいろいろな映像を見れば分かってもらえるだろうが、Tapo C660 KITは秀逸だ。

 カメラがグリグリ動いて追尾するのもいいし、夜間でもキレイにカラーで撮れるところもいい、4Kなので拡大して動物の様子もよく分かる。フェンスの上でも悠々と歩けるハクビシンに、タヌキのような見た目だけどフェンスをよじ登れるアライグマなど、その様子をはっきりと見ることができた。

 センサーの誤作動はまったくないとは言えない。カメラのそばにクモが糸を張ったことがあるようで、風が強い日に、その糸に付いた小さいゴミくずが揺れるのに反応することがあった。ただ、Tapo C660 KITは被写体を追尾しようとするので、映像を確認すればなにに反応したのか、原因はすぐに分かる。このときもカメラの前のゴミを取り除くことですぐに対応できた。

 24時間キャプチャを1日14時間使う設定だったが、結局バッテリー残量が気になるようなことは一度もなかった。家の北西に設置してあって、秋になって日の当たる時間が減ったし、天気が悪い日も多かったのだが、それでもバッテリー残量が問題になることはなかった。

 クラウドサービスのTapo Careも使ってはみたが、そんなに大容量ではないmicroSDでも数カ月分が記録できそうなので、無理にサブスクリプションを払い続ける必要はなさそうだ。例えば悪質な犯人がSDカードを持ち出す可能性があるような場合であれば、クラウドに記録する意味が大きいが、そうした差し迫った被害がないのであれば、維持費を掛けなくても十分活用することができる。

 TP-Linkでは他にもセキュリティカメラを多数ラインアップしていて、より低価格で買いやすい製品もある。もちろん撮影する対象が明確で、方向も限定されているのであればそういったモデルで十分だろうが、今回のようにどこから来るか分からない、どの方向にカメラを向けておくべきか分からない、といった状況では、パン・チルト機能のあるTapo C660 KITは、本当に大活躍してくれる。また、少ない台数で広いエリアをカバーしたいような場合にも、パン・チルト機能付きのTapo C660 KITはオススメと言えるだろう。

INTERNET Watch編集部員やライター陣が、実際に使ってオススメできると思ったテレワークグッズをリレー形式で紹介していく「テレワークグッズ・ミニレビュー」。もし今テレワークに困りごとを抱えているなら、解決するグッズが見つかるかも!? バックナンバーもぜひお楽しみください。