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【行政】

秋田県矢島町、住民向けに「Bフレッツ」を半額で
総務省のモデル事業で町内に光アクセス網

■URL
http://www.town.yashima.akita.jp/broadband/broadband01.htm
http://www.ttb.go.jp/hodo/h1410-12/1001b4201.html

 秋田県矢島町は、町内に光ファイバーアクセス網を整備する事業を開始する。2003年3月末にも、最大100Mbpsのインターネット接続サービスをBフレッツの半額程度の月額料金で利用できるようにする計画だ。総務省が今年度創設した「地域情報交流基盤整備モデル事業」による補助金の交付を受けて行なわれる。

 同モデル事業は、「民間事業者による加入者系光ファイバ網の整備が見込めない条件不利地域での地方公共団体による加入者系光ファイバ網の整備を支援し、地理的情報格差の是正を図ろうとするもの」(総務省)。矢島町は現在、ADSLなどのブロードバンドサービスが提供されておらず、定額制の「フレッツ・ISDN」でさえも今秋以降のサービスインを待たねばならない状況にある。以前より光ファイバーの整備を考えていた矢島町では、国のモデル事業により光ファイバーによるアクセス網の整備に取り組むことにした。事業費3億5,635万円のうち、1億1,878万3,000円が国からの補助金として交付される。


 矢島町で提供される「YBネット」は、設備やサービスの中身は「Bフレッツ」のベーシックタイプと同等のものだ。町が代表となってNTT東日本と契約し、住民向けに独自の料金体系で提供するかたちとなる。現時点で示されている案では、初期費用が一般のBフレッツよりも約6,000円安い2万2,100円、月額料金が約半額となる5,350円。ISP料金を含めても、月額7,350円に抑えられる計算だ。

 また、月額料金は加入者数により変動する方式となっており、この5,350円という額は260世帯の加入があった場合のものである。町が4月に実施したアンケートで、光ファイバー網を利用したいとした世帯が264世帯(20.23%)あったことをベースに算出した。これに企業の加入も加味した288世帯を、今回のモデル事業によるサービス提供世帯数として予定している。その場合、月額料金は4,850円に引き下げられる計算だ。

 ここまで来れば、月額料金も「フレッツ・ADSL」とそれほど変わらない。逆に、より高速な光ファイバーが手に入るということで、これまで割高な通話料を払ってISDNでダイヤルアップ接続するしかなかったユーザーにとっては願ってもないサービスだ。矢島町企画商工観光課企画情報係よると、申し込みもすでに約100件あるという。


 今回のモデル事業により、都市部などよりも進んだ、高速な環境が矢島町に構築されるのは事実だろう。しかし、これでブロードバンドサービスの地域格差が解消されるわけではない点は留意しておかなければならない。

 光ファイバーということで、初期費用は依然として2万円以上必要だ。他の自治体ではこの費用を肩代わりする制度を実施しているところもあるが、モデル事業はあくまでもファイバー網の整備というインフラ面に止まる。サービスについては、月額料金も含めて受益者負担が方針だ。ヘビーユーザーや企業でもなければ、気軽に加入するにはまだまだハードルは高い。

 一方、月額料金だけでなく、初期費用も値下げが進んだことで一気にハードルが低くなったのがADSLである。一部を除けば、現時点ではこちらを選択するユーザーが多数ではないだろうか。将来を見据えて一足飛びに最速のネットワークを整備したからといって、ADSLへのニーズを光ファイバーで吸収できるわけではないのだ。

 そもそも今回のモデル事業は、2005年までの目標を示した「e-Japan戦略」の流れをくんで総務省によって創設されたものである。「地理的情報格差の是正」へ向けた取り組みだというが、どうやら、現時点における地域格差をこれで解消してしまうということではないらしい。

 なお、矢島町のある秋田県では今年度から、「過疎地域等、採算性等の問題から民間通信事業者の高速通信網整備が進まない地域」(秋田県)について、ADSL事業者の進出に補助金を出す制度を推進している。県内16町村が対象地域に指定され、矢島町もその一つだった。しかし今年度の公募では、この制度に応じて同町でADSLサービスを開始しようという通信事業者は現われなかった。

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(2002/10/3)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]

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