【業界動向】
出会い系サイトの明確な定義を求める
JAIPAとマイクロソフト、ヤフーが 出会い系サイト規制法案で
警察庁に意見書提出
■URL
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社団法人インターネットプロバイダー協会(以下JAIPA)とマイクロソフト株式会社、ヤフー株式会社は、2月27日に警察庁生活安全局少年課に対して、「いわゆる『出会い系サイト』に対する規制について」と題した意見書を提出した。
現在開催されている第156回国会で提出が予定されている法律案の1つに、「インターネット異性紹介による児童の犯罪被害の防止に関する法律案(仮称)」がある。いわゆる「出会い系サイト規制法案」のことで、2月初旬に同庁少年課少年有害環境対策研究会がまとめた最終報告書「『出会い系サイト』に係る児童の犯罪被害防止に向けた対策についての提言」をもとに、警察庁が法律案をまとめ、今国会内での閣議決定されることを目標としている。
しかし、中間報告までは携帯電話を対象とした規制が、最終報告書ではPCも規制対象に加わっていたこと、また“異性交際を希望する者に関する情報を公衆が閲覧できる状態にし、かつ異性交際を希望する者に対して他の希望者が連絡を取れるようにする”という出会い系サイトの定義が、出会い系サイト以外のサイトも含んでしまう可能性があることから、インターネット事業者などでこれを危惧する声があがっている。また最終報告書の発表後に、パブリックコメントの募集を行なわずに法律案の提出に向かっている状況もあり、こうした状況を受けて、JAIPAとマイクロソフト、ヤフーの3者が、共同で警察庁に意見書提出を行なった形だ。
意見書では、出会い系サイトに起因する犯罪の防止対策は必要だと認めた上で、対象となる出会い系サイトの明確な定義を求めている。インターネットには多種多様のサービスがあるため、最終報告書の出会い系サイトの定義では、従来のコミュニティ系サービスが広く含まれる可能性があり、これまで問題なく多数から利用されていたサイトにまで規制が及ぶ恐れがあると指摘。問題とされるサイトはもちろん、インターネット上で提供されているさまざまなサービスを含めて調査した上で、どうすれば問題となるサイトを定義できるかを検討すべきとしている。またこの検討のために、インターネット関連事業者から広く意見を聴取することも求めている。
JAIPAの境輝正専務理事は、「最終報告からの意見募集がないまま早く法案を決定しようという動きがあったため、業界全体のコンセンサスを取る時間がなく、ひとまず緊急での意見書を提出したもの。最終報告書の定義ではインターネットのコミュニティサービスのほとんどが含まれる可能性があるため、まずこれを明確にしてほしい。またPCの規制についても、現状ほとんどの出会い系サイトに起因した犯罪が携帯電話を利用したものであること、またPCでは多くのコミュニティサービスが問題なく運営されている現状から、本当に対象にするべきかという疑問もある。さらに、事業者からの報告義務や規定に反した場合の罰則については、通信の秘密保持の問題やプロバイダ責任制限法に関わってくるが、こうした問題との関連性も曖昧なので、これも検討の必要があるのではないか」と述べた。
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(2003/2/28)
[Reported by aoki-m@impress.co.jp]
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