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P2Pトラフィックをキャッシュする「PeerCache」を欧州ISP3社が採用■URL P2Pファイル交換ソフトによる膨大なトラフィックをキャッシュすることによってISPの負担を軽減し、同時にエンドユーザーのダウンロード体感速度を向上させるソリューション「PeerCache」を、欧州のISP3社が採用したことが明らかになった。 PeerCacheは、Joltid社が開発した製品。ISPネットワークに設置することによって、Kazaaなどで使われているFastTrackP2Pネットワークによって生ずるトラフィックをキャッシュし、帯域幅を最大で70%程度削減できるというものだ。 Joltid社は、ファイル交換ソフトKazaa開発者が設立した企業で、Kazaaを配布しているSharman NetworksからFastTrackプロトコルのライセンスを受けている。Joltid社では、今回PeerCacheをライセンスしたISPの名前を明らかにしていないが、欧州の大手ISPであると考えられている。 FastTrackプロトコルは、世界で最も普及したファイル交換ソフトであるKazaa、2番目に普及したファイル交換ソフトのiMeshに採用されており、このプロトコルが消費する帯域幅は、すでに全世界でWebとメールによって使用される帯域幅を超過しているという。多くのISPでは、FastTrackによる消費帯域幅が全体の70%に達しているとの報告もある。 多くのISPは、この膨大なトラフィックを処理するためのソリューションとしてP2Pによる通信を遮断する方法を採ってきた。しかし、それにより顧客離れを起こしているISPも多く、PeerCache採用に有利に働いた模様だ。そのためJoltid社の創業者であるNiklas Zennstrom氏は、「Kazaaはエンドユーザーにとってキラーアプリケーションになった。PeerCacheは、ISPにとって初めての本当のキラーアプリケーションである」と指摘した。 一方で、FastTrackネットワーク上では多数の著作権侵害行為が行なわれており、そのトラフィックをキャッシュすることで、ISP自身が法的な問題に問われる可能性も指摘されている。この問題ではいまだ明確な答えが出ておらず、欧州各国の法律によっても異なるため、今後議論を呼ぶ可能性もある。 ◎関連記事 (2003/7/11) [Reported by 青木大我(taiga@scientist.com)] |
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