今週は「アンワイヤード(無線・携帯などモバイルインターネット)」の分野でいくつも動きがありました。最も大きなものはグーグルとNTTドコモの提携。同日にiモード端末(一部機種)からYouTubeのストリーミング再生が利用可能になるという対応の早さもインパクトがありました。ディズニー・モバイルの発表や、モバイルPCでなく「モバイル・インターネット・デバイス」と名乗った「Eee PC」の発売なども、気になるニュースです。
このほかにも先週は、「ユビキタス特区」の総務省発表、新幹線インターネットの電波帯域割り当て、マピオンがPlaceEngine利用などのニュースがありました。「Windows Live Messenger」で050のIP電話番号が利用できる「ドットフォン」も、モバイルインターネットの可能性を広げてくれそうです。一方では、フィルタリング原則化問題のような課題があることも忘れてはいけません。今週の解説は、グーグルとNTTドコモの提携を中心に、携帯電話のインターネットサービスについてまとめます。
◆グーグルとNTTドコモがモバイルネット分野で提携
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/01/24/18223.html
1月24日、グーグルとNTTドコモは、モバイルインターネット分野での業務提携を発表。2008年春をめどにグーグルの検索エンジンを採用するほか、検索連動広告、GoogleマップやGmail、Picasa、YouTubeなどGoogleのサービスをiモードから利用可能にするとした。詳しくは解説を参照のこと。
◆アニメ「CLANNAD」の画像を表示するウイルス、作成者を著作権侵害で逮捕
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/01/24/18220.html
1月24日、京都府警はWinnyを通じて感染するウイルスを作成した1名を含む男性3人を、著作権法違反の容疑で逮捕した。現在はウイルス作成を直接的に罪に問う法律がないため、ウイルスにアニメの画像を使用したことによる著作権侵害を問う形となった。他2名は、アニメの動画をWinnyネットワークにアップロードしていた。
◆百度の日本版「Baidu.jp」本格開始ブログ検索など追加
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/01/23/18205.html
1月23日、中国の検索エンジン「百度」の日本語版「Baidu.jp」が本格オープンとなった。ウェブ検索のほか、画像・動画・ブログ検索を提供する(動画検索とブログ検索はベータ)。今後はコミュニティサービスなどの公開も考えているとのこと。
◆角川がYouTubeで新規事業を展開、日本のアニメを世界に
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/01/25/18227.html
1月25日、角川ホールディングスはYouTubeにおける新規事業を発表した。2月上旬にも角川の公式チャンネルを開設し、アニメや映画の公開を予定。クリエイター発掘のためのキャンペーンや、広告事業も行なうとした。
◆W3C、次期標準「HTML 5」の初期草案を公開
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/01/24/18222.html
1月22日、W3Cは「HTML 5」の初期草案を公開した。HTML、XHTML構文のどちらを用いても記述が可能になり、主な新機能としては2次元画像の描画、音声・動画コンテンツの埋め込みや制御、本文内のパーツ構成を定義するsection、header、footer等の新要素の追加などがある。現在、初期草案に対する意見を募集している。
● グーグルとNTTドコモが全面的に提携。iモード携帯でYouTubeが閲覧可能に
1月24日、グーグルとNTTドコモは、モバイルインターネット分野での広範囲の業務提携を発表。iモード端末でYouTubeが閲覧可能になったほか、今後もGoogleの各種サービスをiモード向けに提供するとしました。
Googleとモバイル検索で提携したのはauの方が先(2006年5月)ですが、今回NTTドコモは「グーグルが持つあらゆるサービスと連携すること」がKDDI(au)との違いだと述べています。
iMenu検索が開始になったのは2006年の10月で、現在までiMenu検索はヤフーやライブドア、NTTグループであるgoo、そしてGoogleなど10社以上の検索エンジンをユーザーが選択できるようになっています。今回の発表内容によると、2008年春をめどに、これをGoogle一本とすることになりそうです。
さらに、NTTドコモが搭載するとしているGoogleマップ(地図)、Picasa(オンラインアルバム)、YouTube(動画共有)、そしてモバイル検索は、いずれもNTTグループ内でも同様のサービスを持っています。それらに優先にしてGoogleのサービスを提供する形となるのか、そうではないのかは気になるところです。圧倒的に強い「Yaoho! JAPAN」を持つソフトバンクモバイル、「au one」で独自サービスに取り組むauに対し、NTTドコモは「Google」という形になるのでしょうか。
この提携は、携帯電話をメインに使うユーザーにすぐ大きなインパクトを与えるものではないかもしれません。ですが、PCを主に使うユーザーの携帯電話選びには、Googleブランドが大きな影響を与えそうです。YouTubeが見られる機種に買い替え、ついでにパケット定額プランに……と考える方、または、この週末に実行してしまった方も多いのではないでしょうか。
携帯電話で楽しむコンテンツの選択肢として、インターネット(文字中心)、音楽、テレビ(ワンセグ)に加えてYouTubeが加わることは大きいですね。そしてYouTubeといえば角川の新規事業のような動きもあり、すでにTOKYO MX、EMI、自民党、社民党などが公式チャンネルでコンテンツを公開しています。
長年の課題となっている「放送と通信の融合」が、YouTubeというプラットフォームのさらなる普及(5,000万を超えるNTTドコモユーザーへの)によってあっさりクリアされてしまうのか? というところも、今後注目すべきポイントとなっていきそうです。
2008/01/28 11:58
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小林祐一郎 プログラマ、編集者、Webディレクター等を経て、ライター・編集者として活動。興味のあるテーマは「人はどうすればネットで“いい思い”ができるのか」 。ごく普通の人の生活に、IT技術やネットのコミュニケーションツールがどんな影響を与え、どう活用できるのかを研究している。近著「Web2.0超入門講座」(インプレス) |
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