大型連休を挟み、2週間分まとめての「先週のニュース」です。連休で国内企業関係のニュースは少なめでしたが、米Microsotの米Yahoo!への買収提案が断念という形で終結したり、青少年ネット規制法案や私的録音録画補償金問題に大きな動きがあったり、硫化水素関連情報が有害情報として扱われたりと、話題は豊富でした。
また、Windows Vista SP1の自動更新適用が開始されたほか、延期になっていたWindows XP SP3の配布(自動更新ではない)が開始になっています。XP SP3に関しては、IE7が削除できなくなる問題がアナウンスされていますので、適用の際にはお気を付けください。
◆「Yahoo! JAPAN」と「ニコニコ動画(SP1)」が協業
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/05/09/19482.html
5月9日、Yahoo! JAPANとニコニコ動画(SP1)の協業が発表に。第1弾としてニコニコ市場にYahoo!ショッピングが対応、ニコニコ動画のインデックス提供、「Yahoo!ツールバー」のニコニコ動画検索対応が発表された。詳しくは後半で解説します。
◆京都府警、「Share」利用者3人を著作権法違反の疑いで逮捕
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/05/09/19490.html
5月9日、京都府警はP2Pファイル共有ソフト「Share」上でテレビアニメの動画を送信していたとして、会社員ら3人を著作権法違反の容疑で逮捕。ACCSも発表を行ない、Shareユーザーの逮捕は初めてだとした。
◆iPodなど「録音録画が主用途」の機器を補償金制度の対象に、文化庁が試案
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/05/08/19465.html
5月8日、私的録音録画小委員会の2008年第2回会合が開催。文化庁著作権課からの試案として、「録音録画を主たる用途としている機器」であるiPodやハードディスクレコーダーなどを新たに補償金制度の対象とする案を発表。これに対し対象範囲が拡大されることへの懸念や、補償金制度の不透明さへの指摘があった。
◆Yahoo!、Microsoftの買収断念にコメントを発表
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/05/07/19448.html
5月3日、米Microsoftは米Yahoo!買収の断念を発表。Yahoo!は「交渉当初から、Microsoftの提案はYahoo!を過小評価したものだという我々の見解は変わっていない」などとコメントを発表した。7日に来日した米Microsoftのビル・ゲイツ会長は本件について「独自の戦略に集中していく」とし、再度の買収への興味は示さなかった。
◆「有害情報」の認定は第三者機関で、増田総務大臣がコメント
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/05/02/19436.html
4月30日、前回の当コーナーにて解説した青少年ネット規制法案について、増田総務大臣が「有害情報の判定は国が直接線引きをするよりも、第三者機関が一定の認定をした方が自然である」旨を発言。同法案については、JPNICやWIDEプロジェクトも反対意見を発表している。
● Yahoo! JAPANと協業。メジャー化を進めるニコニコ動画
5月9日、ヤフーとニワンゴは、「Yahoo! JAPAN」と「ニコニコ動画(SP1)」の協業を発表しました。第1弾として、ニコニコ動画内のECサービス「ニコニコ市場」における「Yahoo!ショッピング」の商材への対応、Yahoo! JAPANの動画検索へのニコニコ動画の画像インデックス提供、「Yahoo!ツールバー」がニコニコ動画の検索に対応、という3つのサービスが5月9日に開始されています。
ニコニコ動画は、3月5日に「ニコニコ動画(SP1)」を公開。動画を外部のブログサービスに貼り付けられる「外部プレーヤー」機能を搭載し、4月22日にはmixiへの対応を発表していました。
「2ちゃんねる」管理人の西村博之氏がニワンゴの取締役を努めることや、独特のコメントの雰囲気などから、どことなくアンダーグラウンドなイメージのあったニコニコ動画ですが、ここのところのmixi、Yahoo! JAPANといったサービスとの親和性が高まることで、急速にメジャー化(能動的にニコニコ動画にあるコンテンツを求めはしない、一般ユーザーへのコンテンツの浸透)が進みそうです。
こうしたメジャー化を後押しするような動きは、マスメディアにもあります。NHKでは4月から、ネットで話題のトピックを紹介する「ザ☆ネットスター」という番組を開始し、4月にはニコニコ動画を中心として人気の「初音ミク」、5月にもニコニコ動画に多く投稿されている「MAD」を取り上げています。マスメディアはネットに敵対的な論調を取ることも多いのですが、この番組はきわめて好意的なスタンスであるのが特徴です。4月1日にはニワンゴがJASRACと契約を締結し、権利関係の問題の一部が解消されたことも好材料です。
ニコニコ動画がメジャーになっていくことで、ニコニコ動画に集まった才能による多くの作品たちが広く知られ、面白いブームが次々と起こることが期待できそうです。
Yahoo! JAPANとニコニコ動画協業の今後の予定には、Yahoo!ブログへのニコニコ外部プレーヤー対応、Yahoo! JAPAN IDによるニコニコ動画利用、Yahoo!オークションとニコニコ動画を連携させ、動画を見ながら入札できるサービスの提供などがあります。
この中で、特に興味深いのはヤフオクとニコニコ動画の連携です。ヤフオクでは入札がヒートアップして、ついつい勢いで高値を付けすぎてしまった、という経験をお持ちの方も多いかもしれません。ニコニコ動画のコメント機能によって高揚感が煽られることで、つい高値を付けすぎて……なんてことが起こるかもしれません。今のところ具体的なシステムは不明ですが、エンターテイメント性の高まったオークションを楽しむ一方で、お財布には気を付けておきたいものです。
2008/05/12 12:00
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小林祐一郎 プログラマ、編集者、Webディレクター等を経て、ライター・編集者として活動。興味のあるテーマは「人はどうすればネットで“いい思い”ができるのか」 。ごく普通の人の生活に、IT技術やネットのコミュニケーションツールがどんな影響を与え、どう活用できるのかを研究している。近著「Web2.0超入門講座」(インプレス) |
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