日本時間の9月10日に米Appleのイベントがあり、「iTunes 8」や新型のiPod nanoなどが発表されました。iPhoneやMacBook Airなど超目玉の発表が相次いでいた最近のイベントと比べるとやや地味な感もありますが、「iTunes 8」の目玉である「Genius」はいつも聴いている自分のライブラリの新しい楽しみ方を発見してくれる、なかなか魅力的な機能です。
国内では、主要なウイルス対策ソフト・セキュリティソフトの最新バージョンが発表になりました。これらの詳細については後半で紹介しますが、身近な業者などを騙ってマルウェアを送付するメールやワンクリック詐欺など、インターネットの危険を警告するニュースが今週もありました。こうした危険からマシンと自身を守るための第一歩として、ウイルス対策ソフトは必ずインストールし、適切に利用しましょう。
◆アップル、リコメンド機能を搭載した「iTunes 8」
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/09/10/20811.html
9月10日、アップルはコンテンツ管理ソフトの最新版「iTunes 8」を公開した。新機能「Genius」は、ライブラリの中から選択した1曲と相性のいい楽曲を自動的にリストアップし、プレイリストを作成できる機能。ユーザーから匿名で送信されたライブラリ情報をアップルのサーバーで集約し、独自のアルゴリズムによってGeniusの処理を実現しているという。
◆余計なスキャン省略、高速化を図った「ノートン2009」
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/09/10/20814.html
9月10日、シマンテックは「ノートン・アンチウイルス2009」と「ノートン・インターネットセキュリティ2009」のダウンロード販売を開始。PCへの負担は軽く、強力な保護機能を提供する「ゼロインパクト」を目指して設計したという。このほかにも、セキュリティベンダー各社からセキュリティソフトの最新版の発表が相次いだ。詳細は後半で解説します。
◆米Google、新聞紙面のデジタル化プロジェクトを開始
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/09/09/20796.html
9月8日、米Googleは紙の新聞をスキャンしてデジタル化し、検索可能にするプロジェクトを米国の新聞社数社と開始したと発表した。244年の歴史を持つ北米最古の新聞社・Quebec Chronicle-Telegraph社のアーカイブも加わるとされ、当時の紙面が直接読めるようになる。
◆米Microsoft、自社開発の機械翻訳サービスを公開
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/09/09/20797.html
9月8日、米Microsoftは自社開発の機械翻訳サービス「Microsoft Translator」を提供開始。Live Search、IE8、Windows Live Toolbar、Windows Live Messengerなどから利用できる。日中韓など10言語と英語の相互翻訳、ロシア語から英語への翻訳などが行える。対応言語は今後増えていく予定。
◆MIAUがネット教科書を公開、非匿名性やメール依存症を説明
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/09/08/20782.html
9月7日、インターネット先進ユーザーの会(MIAU)は、全23ページのインターネットリテラシー読本「“ネット”と上手く付き合うために」をPDF形式で無償公開した。「ネットは匿名ではない」、「メールから少し離れてみよう」という2つのテーマで、学校や家庭での利用を想定した内容となっている。
● 各社とも「軽さ」をアピール。セキュリティソフトの最新版出揃う
先週は、セキュリティソフト・ウイルス対策ソフトのメーカー各社から、以下のような最新版の発表が行われました。
・F-Secure Internet Security/Anti-Virus 2009(日本エフ・セキュア)
・ノートン・インターネットセキュリティ/アンチウイルス2009(シマンテック)
・ウイルスバスター 2009(トレンドマイクロ)
・Kaspersky Internet Security/Anti-Virus 2009(ジャストシステム)
・BitDefender Total Security 日本語版(サンブリッジソリューションズ)
10月3日発売の「Kaspersky 2009」シリーズ以外は、既に現時点で入手可能です。このうち「BitDefender Total Security」は新発売のソフトで、ルーマニアのBitDefenderが開発したもの。ウイルスのパターンファイルを1時間に1回と高い周期で更新することと、ソフトの振る舞いを解析して未知のウイルスも検出可能であることが特長となっています。
最新版の特長としては、各社とも「動作の軽量化」を打ち出しています。これは前年版(2008)でも見られた傾向ですが、最近では「ネットブック」などと呼ばれるスペックのあまり高くない小型・低価格のモバイルPCが販売数を伸ばしており、前年よりもさらに切実な問題と捉えているユーザーが多いことでしょう(かくいう筆者もその一人なのですが)。
「軽さ」に対するアプローチは各製品で様々です。ノートンでは、スキャンの対象をリスクのあるプログラムのみに絞り込む「ノートン インサイト」機能や、ユーザーの作業を邪魔しない「スマート スケジューラ」や「サイレントモード」の搭載をアピールしています。
ウイルスバスターでは、メモリ使用量の削減(45%減)や、レジストリ等システムの最適化をする「システムチューナー」、さらにノートンと同様の「サイレントモード」をアピールしています。
Kasperskyでは、エンジンのアルゴリズム見直しにより大幅なスキャンの高速化を実現し、アプリケーションの動作を常時監視する「プロアクティブディフェンス」にホワイトリスト等で監視アプリケーションの重み付けを設定することで軽量化を実現したとしています。またF-Secureでは、完全チェックの時間を約半分に短縮したとしています。
さらに、多くのソフトがアピールしているポイントには、未知のウイルスへの対応があります。未知の脆弱性などがいきなり攻撃に使われる「ゼロデイ攻撃」の脅威はユーザーとしても非常に心配なところであり、フィッシング詐欺などと違ってユーザーの注意で対策できる範囲が狭いため、ソフトによる検知は非常に重要となります。
ノートンは、5~15分と非常に細かい間隔で自動更新を行う「パルスアップデート」機能を搭載。F-Secureは未知のマルウェアを検知する「DeepGuard」を2.0にアップデートしました。Kasperskyでは前述の「プロアクティブディフェンス」が、未知のウイルスによる脅威を検知します。また、BitDefender Total Securityは前述のとおり、未知のウイルスへの対応が特長となっています。
そのほかユニークなものとしては、ウイルスバスターにPC・インターネット関連全般の回数無制限サポートとクレジットカード不正使用被害の保険が付いた「ウイルスバスター2009+保険&PCサポート」が登場しました。初心者ユーザーはトラブル発生時に問題の切り分けが難しい、という指摘はもっともで、そうしたユーザーにとって、とりあえずトレンドマイクロに問い合わせればサポートしてもらえる、というのは心強いサービスとなってくれるでしょう。
2008/09/16 11:42
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小林祐一郎 プログラマ、編集者、Webディレクター等を経て、ライター・編集者として活動。興味のあるテーマは「人はどうすればネットで“いい思い”ができるのか」 。ごく普通の人の生活に、IT技術やネットのコミュニケーションツールがどんな影響を与え、どう活用できるのかを研究している。近著「Web2.0超入門講座」(インプレス) |
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