地図と位置情報
SUBARU「アイサイト」の技術も活用した無人飛行機など展示、「LBJ 2018」6月15日まで幕張メッセで開催中
2018年6月14日 06:00
「Interop Tokyo 2018」の併催イベントとして「ロケーションビジネスジャパン(LBJ)2018」が6月13日から15日まで、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催されている。同イベントは位置情報ビジネスをテーマとしたもので、位置情報活用に関する最新動向が分かる基調講演やセミナーなどが行われる。また、展示会場内のオープンステージでは、空間情報の最新事例を紹介するセッションも開催されている。
今回は、LBJ 2018の展示会での見どころを紹介するほか、Interop Tokyo 2018の「IoT×AI×Blockchain World」コーナーでも位置情報関連のサービス紹介が見られたので、その中から注目のサービスを紹介する。
クラウド環境のGISデータを利用した地図ベースのDB活用システム「GeoRecoMAP」
株式会社シグナイトは、地図上にファイルや画像を登録できるデータベースシステム「GeoRecoMAP」を展示している。同システムはクラウド環境でリアルタイムに同期できるため、現場で登録・更新が可能。地図上にポイントやライン、ポリゴン図形などを自由に配置でき、面積や距離の計算も行える。入力情報を一元管理することも可能で、保存データのCSVダウンロードも可能。入力項目は業務の管理内容に合わせて自由にカスタマイズできる。
GTFSに対応したバスロケシステム「孝行デマンドバス LOCATOR」
コガソフトウェア株式会社は、準天頂衛星システム「みちびき」に対応したGNSSトラッカーを利用したバスロケーションシステム「孝行デマンドバス LOCATOR」を展示。公共交通機関の時刻情報と位置情報に関するオープンフォーマットであるGTFS(General Transit Feed Specification)に対応しており、既存の公共交通やデマンド交通の運行情報をまとめて確認できる。
ブログウォッチャーが「位置情報酒場」を開設
リクルートと電通のジョイントベンチャーである株式会社ブログウォッチャーは、「位置情報酒場」という暖簾がかかった酒場風のブースにおいて、スマートフォン向け位置情報データサービス「Profile Passport」などを紹介している。同サービスでは、位置情報によるプッシュ通知やデータ分析を可能にするSDKや、位置情報データを活用したスマートフォンディスプレイ広告、人流解析などさまざまなメニューを用意している。
衛星ビッグデータを世界位置情報と紐付ける「世界メッシュコード」
一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構と京都大学との共同ブースでは、衛星ビッグデータを世界位置情報と紐付ける「世界メッシュコード」の紹介や、同手法を用いてASTER GDEM(全球3次元地形データ)の標高ビッグデータから作成した「標高統計データベース」などを紹介。標高ビッグデータは世界規模での津波被害リスクの予測解析などに効果が期待できる。
本田技研、カーナビのプローブデータ活用を提案
本田技研工業株式会社は、純正カーナビ「Hondaインターナビ」装着車の走行データを抽出・分析する「Honda Drive Data Service」を紹介。観光客の来場経路・周遊経路の分析や施設や店舗のリピート対策、渋滞対策、災害対策、イベントの効果測定など、さまざまな活用法を提案している。
ドローンの撮影映像から3D地図を作製するサービス「スカイCVサービス」
アクアコスモス株式会社は、ドローンで撮影した全天球映像をそのまま3次元座標付きの3D地図に変換して活用できる「スカイCVサービス」を展示。レーザー点群やジャイロ/IMUセンサーなどを用いずに、画像処理とGPSのみで画像型3D地図を実現しているのが特徴だ。ドローン空撮のほか、車載や歩行撮影など幅広い映像に対応できる。道路や河川、施設などの維持管理や点検、自動車やロボットの自律走行や自律歩行向けの位置決め地図としても活用できる。
ドローンの自律飛行を可能にする技術「自律的ダイナミックリルーティング」
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や株式会社SUBARU、三菱電機株式会社、日本無線株式会社など6者が共同で開発している、ドローンの「自律的ダイナミックリルーティング技術」の紹介が行われている。これは、衝突回避や飛行経路の変更をドローンが自動的に判断して実施する技術。実証実験で使用される無人航空機が展示されており、機体には、準天頂衛星「みちびき」のセンチメートル級測位に対応した受信機や電波センサーに加えて、SUBARUの運転支援システム「アイサイト」の技術を活用した光波センサーも搭載されている。
フリーアドレス向け屋内位置検知システム「ABFinder」
株式会社ジークスは、BLEに対応したビーコン端末「Zeacon」と、同端末を利用した屋内位置検知システム「ABFinder」を紹介している。オフィス内にビーコンを設置することで、各スタッフのスマートフォンを介して位置情報を管理できる。位置情報の精度の高さにこだわらず、低価格を実現しているのが特徴。
MAMORIO、企業向け紛失防止サービス「MAMORIO OFFICE」を初公開
紛失防止用BLEタグを提供するMAMORIO株式会社は、「IoT×AI×Blockchain World」コーナーに出展。オフィスでの紛失を防止するサービス「MAMORIO OFFICE」のβ版を初公開している。社内の備品や共有資産、貸与品の紛失を防止するためのサービスで、大量の物品を一元管理できる管理部門向けのウェブサービス「MAMORIO OFFICE console」と、少部数の物品管理のわずらわしさを解決する現場向けのスマートフォンアプリ「MAMORIO OFFICE multi app」の2種類を用意している。
また、6月1日に発売したばかりのシール型BLEデバイス「MAMORIO FUDA」もあわせて展示。同製品は、電子製品や書類ファイル、社員証などに貼って利用できる。なお、MAMORIO OFFICEは、従来の紛失防止タグ「MAMORIO」と、新発売の「MAMORIO FUDA」の両方で使用できる。
本連載「地図と位置情報」では、INTERNET Watchの長寿連載「趣味のインターネット地図ウォッチ」からの派生シリーズとして、暮らしやビジネスあるいは災害対策をはじめとした公共サービスなどにおけるGISや位置情報技術の利活用事例、それらを支えるGPS/GNSSやビーコン、Wi-Fi、音波や地磁気による測位技術の最新動向など、「地図と位置情報」をテーマにした記事を不定期掲載でお届けしています。