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「ダムカード」の次は「基準点カード」がアツい! “G空間”コンテストで注目のアツい入賞作品たち

「基準点カード」でインフラツーリズムフォトラリーが楽しめるアプリ「ナビたび」

 Maplatと並んで「教育効果賞」を受賞したのは、東京都測量設計業協会の高岸且氏による「基準点カードを集めよう!『ナビたび』で基準点インフラツーリズム」。

「基準点カード」には、「三角点カード」のほか、「水準点カード」「几号高低標カード」などの種類がある

 「基準点カード」とは、測量事業の社会的重要性をアピールするための取り組みで、「ダムカード」や「マンホールカード」のように、東京都内の代表的な測量基準点などのカードを発行している。カードの提供は2016年に始まり、これまでに58種類のカードが発行され、イベントや展示会などで配布している。

 同協会はこの基準点カードを活用した取り組みとして、ナビたび合同会社と連携し、この基準点カードを活用したフォトラリーやオリエンテーリングを楽しめるスマホアプリ「ナビたび(NaviTabi)」を公開した。同アプリでは、基準点カードのある地点に近付くと画面上にカードが表示され、写真を撮影できる。

「基準点カード」
「ナビたび」

 アプリ上でフォトラリーのコースを作成・公開することも可能だ。フォトラリーのような街歩きイベントの運営には、事前の地図の準備や当日の地図配布、スポットへのスタッフ配置、ゴール後の写真確認や点数計算などさまざまな労力やコストが必要だが、「ナビたび」を利用することでこのような準備の手間を省くことが可能で、スポットの通過確認や点数計算も自動で行える。コース参加者の現在地を地図上でトラッキング表示できるので、参加者の安全確保にも有効だ。また、ユーザーが作成した常設コースをアプリ内で公開することも可能で、それらを使って他の利用者が自由に参加することもできる。

 同協会は今後、4月と11月に基準点をテーマにした大きなイベントを定期的に開催していく予定。さらに、アプリ上で基準点カードを収集したユーザーに対して、本物のカードを複数の枚数にまとめて有料で郵送するサービスを始めることも検討中だという。これまではイベントや展示会でしか入手できなかった基準点カードが、実際に測量基準点に足を運ぶことで入手可能となり、ダムカードのような楽しみ方ができるようになる。

「基準点カード」の裏面のQRコードにアクセスすると、「地理院地図」が表示される
会場では、さまざまな「基準点カード」が配布された

片岡 義明

フリーランスライター。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、共著書「位置情報ビッグデータ」「アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう」が発売。