地図と位置情報

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BLEビーコンが発する電波を机上でシミュレーションできる「AOBAKO」

 測量に関する先端技術に贈られる「測量新技術賞」を受賞したのは、情報通信研究機構(NICT)/北陸先端科学技術大学院大学の湯村翼氏による「AOBAKO」。

 これは、BLEビーコンを使ったアプリケーションの検証支援システムで、「AOBAKO DESK」と呼ばれるテーブル上のインターフェースでビーコン発信機とスマホの位置を指定することにより、指定した場所でのビーコン状況が「AOBAKO BOX」と呼ばれる箱型のテスト環境の中で再現される。

「AOBAKO DESK」

 BLEビーコンは、スマホアプリで屋内での位置連動型コンテンツを表示する際によく使われているが、多数のビーコン発信機を物理的に配置して、現地でアプリの検証を行うのは多大なコストがかかる。このような課題を解決するのがAOBAKOだ。

 AOBAKO DESKは、紙製のコマをカメラで撮影し画像認識で読み取る仕組みになっている。一方、AOBAKO BOXの中にはRaspberry Piが複数入っており、エミュレーションの結果に合わせてBLEビーコンから電波が発信される。ビーコンとスマホとの距離が遠い場合は電波の出力を下げるなど、電波の出力の強弱や電波干渉を調整することで、BLEビーコンとスマホとの距離の遠近を再現する仕組みになっている。この再現には、独自開発したBLEエミュレーター「BluMoon」を使用している。エミュレーション結果は、「AOBAKO SPACE」と呼ばれるビューアーに表示される。

「AOBAKO BOX」
「AOBAKO BOX」の中にはRaspberry PiとBLEビーコンを内蔵
「AOBAKO SPACE」

 AOBAKOのシステムを使うことにより、テストしたいアプリを稼働させたスマホをAOBAKO BOXに置くだけでさまざまな状況でビーコンの受信状況をテスト可能となり、柔軟に検証を行える。今後は企業との連携を図りながら、実用化を目指す方針だ。

INTERNET Watchでは、2006年10月スタートの長寿連載「趣味のインターネット地図ウォッチ」に加え、その派生シリーズとなる「地図と位置情報」および「地図とデザイン」という3つの地図専門連載を掲載中。ジオライターの片岡義明氏が、デジタル地図・位置情報関連の最新サービスや製品、測位技術の最新動向や位置情報技術の利活用事例、デジタル地図の図式や表現、グラフィックデザイン/UIデザインなどに関するトピックを逐次お届けしています。

片岡 義明

フリーランスライター。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、共著書「位置情報ビッグデータ」「アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう」が発売。