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「地籍調査」がなかなか進まない!? 各地の自治体ではどう取り組んでいるのか?

G空間EXPOで「ミチセキアワード」表彰。仮想空間に作られた河川の“流域テストベッド”展示なども

地籍調査の推進を目的とした「ミチセキアワード」初開催

 G空間EXPOは、測量に関連した出展が見られるのも特徴。土地の境界や面積を明確にする「地籍調査」を推進する国土交通省地籍整備室も出展した。

 「地籍」とは土地の関する戸籍のようなものであり、地籍調査では市町村が主体となって一筆ごとの土地の所有者や地番などを調べ、境界の位置や面積の測量も実施し、その成果は法務局において公的な地図として整備される。国土交通省の地籍調査ウェブサイトによると、地籍調査は1951年から行われ、開始から半世紀以上が過ぎているが、2024年度末時点で約半分の地域で調査が残っており、未調査のエリアでは精度が低い図面(公図)が暫定的に使われているために土地の取引や管理、開発、災害復旧などに支障を来しているという。

 そこで国土交通省地籍整備室は、地籍調査に効率的・効果的に取り組む地方公共団体や事業者などを対象とした新たな表彰制度「ミチセキアワード2025-地籍調査から始まる地域のミライ-」を今年度から実施。全国から16件の応募があったという。G空間EXPOでは、受賞した団体の取り組みや地籍調査事業の概要について紹介するとともに、同アワードの表彰式も行われた。

国土交通省地籍整備室のブース
「ミチセキアワード」表彰式

 大賞を受賞したのは、津市(三重県)による「地籍調査は社会のインフラ~まったなし、地籍調査~」。同市は2006年の10市町村合併時の地籍調査進捗率が1.32%と低く、東日本大震災を受けて地籍調査の重要性を再認識していたが、財源や人員の不足、職員・住民の地籍調査の認識について課題があった。

 そこでリモートセンシングやMMS(モービルマッピングシステム)などの新技術の導入により調査を効率化するとともに、用地・地籍調査推進課を設置して地籍担当者を1名から10名に大幅増員した。さらに市長の強力なリーダーシップのもと、広報誌や記者会見などで積極的に発信し、住民説明会でも理解を促進した。この結果、全体進捗率は2015年度時点で2.81%から2025年度では6.27%まで向上し、重点整備区域進捗率も2015年度には0%だったのが2025年度には43.1%に向上する見込みとなっている。

津市による取り組みが「ミチセキアワード」大賞を受賞

 このほか優秀賞として、市川町・中はりま森林組合(兵庫県)によるリモートセンシングを活用したスマート地籍調査の取り組み、一般社団法人長生郡市地籍調査協会(千葉県)による地元測量会社と土地家屋調査士事務所14社による地籍事業の共同受注・共同実施の取り組み、イー・アンド・エム株式会社(熊本県)によるクラウドサービスを活用した地籍調査手続の支援アプリ「認証管理アプリ」の開発・運用の取り組みなどが選出された。認証管理アプリは県が民間事業者と連携して開発したもので、市町村と県との間で情報共有や申請手続の合理化を図り、DXによる業務効率化を実現した。

片岡 義明

フリーランスライター。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「位置情報トラッキングでつくるIoTビジネス」「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、共著書「位置情報ビッグデータ」「アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう」が発売。