中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」
ニュースキュレーション[2022/7/21~7/28]
各国で「Amazonプライム」会費が値上げ――日本はどうなる? ほか
2022年8月1日 07:00
1. 大手IT企業の四半期決算――成長にかげりか?
米国を拠点とする大手IT企業の四半期決算が発表されている。総じていえることは成長にかげりが見えるということだ。とりわけ広告市場の停滞と国際情勢の不安定化があるようだ。
メタ(旧フェイスブック)は「上場以来初めて売上高が減少したことを明らかにした(CNET Japan)。経済的な懸念が高まる中で広告売上高が減少した」。一方で、「広告市場が低迷する中で、Metaは、メタバースに対するビジョンの実現に向けて投資を続けている」と報じられている。
グーグルの親会社であるアルファベットは「利益が予想を下回る結果」になった(CNET Japan)。その理由として「収益をけん引する広告が、景気減速による逆風に直面している状況がある」と報じられている。
ツイッターは「売上高は前年同期比1%減の11億7666万ドル、2億7000万ドルの純損失(1株当たり35セント、調整後は8セント)」となった(ITmedia)。その理由として「広告業界への逆風と、イーロン・マスク氏によるTwitter買収保留に関連する不確実性を反映している」と説明したことが報じられている。
マイクロソフトは「売上高は前年同期比12%増の519億ドル、純利益は1.7%増の167億4000万ドル(1株当たり2ドル23セント)」となった(ITmedia)。その要因として「不利な為替レートの変動」や「中国での長期にわたる生産停止と6月のPC市場の悪化」「ロシアでの事業の大幅な縮小」などが業績に大きく影響したと説明したことが報じられている。
ニュースソース
- Meta、第2四半期決算を発表--売上高の減少は上場以来初めて[CNET Japan]
- グーグル親会社Alphabetの第2四半期決算、売上高は市場予想に届かず[CNET Japan]
- Twitterの4~6月期決算は減収で赤字 「マスク氏による買収保留の不確実性を反映」[ITmedia]
- Microsoftは増収増益だが予測には届かず 為替変動やPC市場の悪化の影響で[ITmedia]
2. 「デジタル遺品」どうする?
ユーザーの死後を想定した「デジタル遺品」に関する調査結果を、MMD研究所が発表している(ITmedia)。デジタル遺品とは金融機関のオンラインアカウントはもとより、メールやSNSのアカウント、デジタル写真のアルバムサービス、そしてネットワークやローカルにあるストレージの中身など、自分の死後に残されたこうした資産をどう扱うのかという問題だ。
調査結果によれば、「デジタル遺品整理を実施したことがある/する予定と回答した人は、全体の14.6%で、そのうち最も整理したい内容はネット銀行の『オライン口座やそのログイン情報』が55.9%を占めた」としている。次いで、オンラインショッピングサイトに登録したクレジットカード情報、メールアドレスや電話番号などの連絡先という順だ。
意外なのは「FacebookやInstagramの追悼アカウント機能」「Googleアカウントのアカウント無効化管理ツール」、Appleの「デジタル遺産プログラム」に対する認知度が2割以下ということだ。認知していても、「いますべきこと」とは思えずにまだ利用していないという傾向を想像していただけに、今後、こうしたサービスの認知を広めていくことは重要かもしれないと感じる。
さらに、サブスクリプションなど自動課金される有料アカウント、スマートフォンの割賦払いの処理なども気になるところだが、本人に万が一のことがあったときのことを想定し、よりスムーズな契約終了の方法も実装する必要がある時代になっている。
ニュースソース
- 「デジタル遺品」を整理したことある人は2.6% 最も整理したい内容とは? MMD調査[ITmedia]
3. コミックアプリ利用率トップは「LINEマンガ」
MMD研究所が「コミックアプリ・サービスに関する調査」の結果を発表している(ITmedia)。調査対象のうち「コミックアプリ・サービスを利用したことがある」と回答したのは35.6%、性年代別で最も利用経験の割合が高かったのは女性10代の68.2%となっている。また、利用したことがあるサービスは「LINEマンガ」が41.9%、「ピッコマ」が37.3%、「少年ジャンプ+」が23.4%となった(複数回答)。
「LINEマンガは2013年にサービスを開始。現在の月間利用者数は国内外で8200万人に上る。112万作品を配信し、月間流通額は100億円を超える」というサービスで、「スマホ向け縦読み漫画を意味する造語『Webtoon』を各国で商標登録する」など積極的に展開をしている(ITmedia)。
すでに発表されているように、今冬にはグリーが「DADAN」という新サービスを開始すると発表していて、電子コミック市場のさらなる競争激化も予想される。
4.有料動画配信サービスは「Amazonプライム・ビデオ」が“ほぼマスト”に?
インプレス総合研究所が動画配信市場の最新状況の調査と2.1万人を対象とした有料・無料サービス利用率調査を実施し、その結果を発表している(Web担当者フォーラム)。
それによると、「2022年5月時点の『有料動画配信サービスの利用率』(3か月以内の利用をカウント)は、2021年調査から3.3ポイント増の28.9%だった。3か月以前の利用も含めると利用経験者は36.3%にまで達している」という。
無料の動画配信サービス・動画共有サービスでよく使われているのは、「YouTube」が94.5%と圧倒的だが、「TVer」が37.1%で対前年同期と比較して7.0ポイントの増加を示していることが特徴的だ。利用している有料の動画配信サービスは「Amazonプライム・ビデオ」が72.4%、「Netflix」が23.7%、「Hulu」が8.9%となっている。
調査結果をふまえ「ユーザーとしては『Amazonプライム・ビデオ』はほぼマストで“2つ目どこに加入する?”という発想になりつつある」という指摘をしている。
ニュースソース
- 動画配信ユーザー3割超「複数加入して使い分け」、まだ伸びるアマプラ・ネトフリ[Web担当者フォーラム]
5. 各国で「Amazonプライム」会費が値上げ――日本はどうなる?
国際的なエネルギー調達の問題やインフレにより、物価にも大きな影響が出ている。そのようななか、各国で「Amazonプライム」の会費の値上げが発表されている(CNET Japan)。記事によれば「9月15日より料金が引き上げられ、居住国によって最大43%の値上げになるという。同社は値上げの理由として、『インフレと運用コストの増加』を挙げている」という。具体的な金額の例として、「英国では12.5%上昇し、月額7.99ポンド(約1300円)から8.99ポンド(約1500円)になり、年会費は20%上昇して79ポンド(約1万3000円)から95ポンド(約1万5600円)になる」としている。
日本では、円安傾向の要素も加わり、今後どうなるのかが気になるところ(INTERNET Watch)。「日本では2019年を最後に値上げは行われていないが、年額4900円というのは、現時点で前述の各国に比べ3分の2から3分の1程度と格安」とされているが、これまでも指摘されてきたような物流コストの上昇などの要因をふまえれば、いつ値上げがあってもおかしくはない状況といえよう。
ニュースソース
- アマゾン、「プライム」会費を9月に欧州で値上げへ--2月の北米に続き[CNET Japan]
- 日本はどうなる? Amazonがプライム年会費を改定へ、EU圏では最大43%の値上げ[INTERNET Watch]