フリーWi-Fi活用再入門

「スマホでギガが減る」「地下で電波が入らない」ときはフリーWi-Fiにつなごう!

フリーWi-Fiにつなぐメリットとデメリット、安心・安全な使い方を紹介

フリーWi-Fiって何だろう?

 動画やSNSなどをついつい使いすぎて、毎月の通信容量が不足に悩まされている人も少なくないことでしょう。

 契約プランによっては、動画やSNSなど、特定サービスの通信容量がカウントされないこともあります。一部で報道されているとおり(2019年2月21日付ケータイWatch記事『「動画やSNSの見放題」はアリなのか? 総務省から中間報告案』)、通信の公平性の観点から、今後の状況次第では、総務省の規制などによって、こうしたサービスがなくなっていく可能性もあります。

 そこで、改めて注目されているのが「Wi-Fi」です。

外で使えるフリーWi-Fi=公衆無線LAN

 オフィスや自宅で、すでに使っているという人も多いかもしれませんが、Wi-Fiは、駅や空港、飲食店など、屋外の多くの場所で無料で提供され、手軽に利用できるものです。

 こうしたWi-Fiは、通信事業者や施設の運営者が、主に顧客サービスのために設置しているもので、不特定多数の人向けに提供されることから「公衆無線LAN」と呼ばれ、中でも無料で利用できるものは「フリーWi-Fi」とも呼ばれています。

 最近では、日本を訪れる外国人旅行者の利用も増えていますし、2020年の東京オリンピック開催時の通信インフラとしても期待されており、あらためて注目が集まっています。

なぜフリーWi-Fiを使うのか?

 フリーWi-Fiを使う理由は、いわゆる「ギガ不足」をはじめ、いくつかあります。

  1. パケット通信量の節約

     冒頭で触れたように、スマートフォンの契約では毎月の通信容量が定められており、一定容量を超えると、低速な速度で我慢し続けるか、追加で費用を支払って通信できる容量を増やさなければなりません。これが、いわゆる「ギガ不足」という状況です。

     こうした状況になったとき、公衆無線LANが頼りになるのはもちろんですが、通信容量が不足する前にも積極的に公衆無線LANを使って「ギガ」を無駄に消費することが防げます。

  2. 外出先での通信手段として

     LTEによる通信機能を搭載しないPCなどの機器を、外出先でインターネットへ接続したいときにも、公衆無線LANが役立ちます。また、先に触れたように、外国人旅行者などは、日本の通信事業者と契約するのに手間が掛かったり、通信費を節約したいとの理由で、公衆無線LANを利用します。

  3. 高速な通信のために

     現状の4G(LTE)や、次世代通信規格である5Gでは、すでに十分高速な通信が可能となっています。このため、最近ではWi-Fiにおける速度面の優位性は低いとも言えますが、それでも、混雑している状況などでは、LTEでつなぐよりも公衆無線LANを利用した方が、通信が高速な場合もあります(人が多く集まる場所の公衆無線LANは、むしろ遅い場合もある)。

     スマートフォンでは、Wi-Fiに接続している状態でないと、一定容量以上のアプリのダウンロードや、OSのアップデート、バックアップなどができない場合があります。外出先で、こうした通信が必要な場合は、公衆無線LANが役立ちます。
  4. 災害時のインフラとして

     こちらも詳しくは別の回で解説しますが、大規模な災害が発生したときに、街中の公衆無線LANは、緊急用の通信インフラとして、「00000JAPAN」というSSIDで無料開放されます。
(2014年5月27日付関連記事『災害時に無料で使える公衆無線LAN「00000JAPAN」を統一SSIDとして提供』より)

公衆無線LANの仕組み

 公衆無線LANも、自宅やオフィスのWi-Fiと同じく、アクセスポイントと呼ばれる機器によって接続が提供されます。ただし、アクセスポイントに接続されるインターネット回線は、環境によって通信の状況がまちまちです。

 店舗などでは、家庭やオフィスと同じように、光ファイバーなどの固定回線が使われることもありますが、スマートフォンと同じLTE回線が使われる場合も、決して少なくありません。

 LTE回線を用いた接続の例として、新幹線などで提供されているWi-Fiサービスが挙げられます。また、最近では、飛行機の機内で提供されているWi-Fiサービスで、衛星を使ったインターネット接続サービスが利用されています。

 これから数回にわたって、公衆無線LANへのつなぎ方や、セキュリティ面での注意点などについて、解説していきましょう。

 なお、2月1日付弊誌記事『公衆無線LANを利用するリスクとは? 総務省がセキュリティ対策講座を開講』の通り、総務省では「これだけは知っておきたい公衆無線LANセキュリティ対策」講座を3月末まで開講しています。

「これだけは知っておきたい公衆無線LANセキュリティ対策」講座一覧


    第1回 もっとつながる・使える公衆無線LAN <Wi-Fiの技術>
    第2回 とっても危険! 「野良Wi-Fi」
    第3回 そのWi-Fi、本物ですか?
    第4回 さまざまな公衆無線LANサービスを知ろう
    第5回 Wi-Fiの接続と暗号化の仕組み
    第6回 安全なWeb利用の方法
    第7回 自分で重要な通信内容を守る
    第8回 より安全・安心にWi-Fiを使うために

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できる Windows 10 活用編」ほか多数の著書がある。