清水理史の「イニシャルB」
テレワークの強い味方!「3万円でVPNまでできる」QNAPの人気NASがリニューアル
CPUのコア数倍増、最新OSでより安全に
2020年6月8日 06:00
「テレワークと言っても、一体、どうすればいいのか……」。そんなふうに迷ったら、NASの入れ替えを検討してみてはどうだろうか? 古いNASから最新のNASへの交換で、速度や容量が向上するのはもちろんだが、外部のユーザーとも手軽にファイルを共有できるようになる。QNAPから、新たに登場した「TS-x31K」シリーズの2ベイモデル「TS-231K」を例に、何が変わるのかを見ていこう。
テレワークは「NAS活⽤」がオススメ、巨大ファイルも手軽に利用
いわゆるSMBやSOHOと言われる小規模な環境では、テレワークと言っても、何から手を付ければいいのか分からない、というケースが多いことだろう。
世間的にはビデオ会議に注目が集まっているが、共同でデータを集計したり、複数メンバーで資料を作ったりと、ファイルの共有をベースにした作業をどうするかも、大きな課題になる。
そこでオススメしたいのがNASの活用だ。
すでにオフィスや自宅で使っているという人も少なくないかもしれないが、最新のNASは、機能も速度が大幅に向上しているだけでなく、VPNサーバーの機能も備えるなど、セキュリティ面やデータの安全性も十分に考慮されている。このため、数年前に購入した古いモデルや、機能のシンプルなNASから買い換えることで、テレワークでの活用も容易になる。
“テラ”バイト級のデータを共有したい個人ユーザーなら
例えば、個人で使っているNASの場合、PCやスマートフォンのデータをバックアップするだけでなく、NASに保存されたファイルを、クラウドストレージを使ったときのように、簡単に仕事の取引先や友人などと共有できるようになる。
個人ユーザーの場合、無料で使えるクラウドストレージの容量が限られることから、テレワークで仕事のデータを共有し始めると、空き容量があっという間に埋め尽くされてしまうが、NASを使えば、容量を一切気にせずデータを共有できる。
QNAPのNASであれば、「MyQNAPcloud Link」を使ってQNAPが提供するクラウドサービスに接続することで、インターネット回線を介した外部からNASへのアクセスを簡単に構成できる。
従来、NASに保存したデータを外部の人と共有できるようにするには、ルーターのポートを開放したり、グローバルIPアドレスを調べたりと難しい設定が必要だった。しかし、QNAPのNASであれば「MyQNAPcloud Link」をオンにするだけで、こうした設定を自動的に処理し、どのような環境でも自動的にアクセス可能な状態にしてくれる。
あとは、「File Station」からファイルの共有リンクを作成し、相手にメールやSNSのDMなどで送ればいい。
つまり、5分もあれば“テラ”バイト級のストレージを仕事相手と共有し、文書だろうが画像だろうが、場合によって動画だって共有できるようになる。
「テレワークで会社が何もしてくれない……」というケースも珍しくないが、そうした場合でも、個人所有のNASをテレワークに活用することができるだろう。
社内LANへのVPNも構築できる
もちろん、会社がテレワーク用にQNAPのNASを購入してくれるなら、さらにテレワークの幅が広がる。
ビジネスシーンでのテレワークと言えば、VPN接続が定番だが、QNAPには「QVPN Service」というアプリが提供されているため、これを利用することで、NASをVPNサーバーとして構成できる。
専用のVPN機器を導入する必要がない上、設定もGUIで簡単にできるため、NASはもちろんのこと、社内のグループウェアや業務アプリサーバーへインターネット越しにアクセスしたい、といったケースで非常に役立つ。
このほか、NAS内のデータをPCと同期する「Qsyc」も利用できる。例えば、チームの共有データがあるフォルダーをメンバー全員が同期しておけば、自宅のPCでも共有データにアクセスできるようになる。
このように、最新のQNAPのNASに買い換えることで、テレワーク環境が一気に構築でき、離れた場所での作業効率がアップするわけだ。
どのモデルを選ぶべきか?
では、具体的にどの製品を選べば、こうしたことが実現するのだろうか?
QNAPのNASはOSが共通となるため、どのモデルを選んでも、一通りの機能を利用できる。しかし、企業または個人を問わず、テレワークでの利用を想定するなら、新しく登場した「TS-x31K」シリーズがオススメだ。
TS-x31Kシリーズは、分類としてはホームユーザー向けとなるが、従来のx31PシリーズのデュアルコアCPUから、クアッドコアCPUへとアップグレードされ、処理性能が大幅に向上している。
CPU性能は、オフィスで複数ユーザーで同時アクセスした際のスループットなどにも関係するので、前述した「MyQNAPcloud Link」「QVPN Service」「Qsync」などのアプリを動作させた際に、パフォーマンス低下を防ぐ効果がある。
NASは、かつてのシンプルなファイルサーバーであった時代から、現在では、さまざまな役割を持つ“ハブ”のような存在になりつつある。多様な役割を担うNASにとって、コア数の多いCPUの採用は大きなメリットだ。
しかも、2ベイの「TS-231K」や4ベイの「TS-431K」では、2つのLANポートが搭載されており、「ポートトランキング」の機能を使って2つのポートを束ねることで、合計2Gpbsの帯域を使って負荷分散したり、どちらかのネットワークに障害が発生した場合にもアクセスが途切れないようにできる。
こうした機能は、世代の古い旧式のNASや、シンプルな機能のNAS、純粋なコンシューマー向けNASなどには搭載されていない。TS-x31Kは、コンシューマー向けながら、こうした理由からビジネスシーンでも十分に活躍できる製品であり、予算が限られた小規模環境にとって強い味方になるわけだ。
TS-231K | |
CPU | Alpine AL-214 4core 1.7GHz |
浮動小数点演算 | ○ |
暗号化エンジン | ○ |
メモリ | DDR3 1GB |
ベイ数 | 2 |
ホットスワップ | ○ |
SSDキャッシュ対応 | ○ |
LAN | 1000Mbps×2 |
USB | USB 3.2 Gen1×3 |
サイズ(幅×奥行×高さ) | 161×102×219mm |
重量 | 1.35kg |
消費電力(動作時) | 15.6W |
HDD別売で好きな構成に、拡張すれば5GBASE-T対応も
それでは、具体的に製品をチェックしていこう。今回、用意したのはTS-x31Kシリーズの中でも売れ筋となる2ベイのTS-231Kだ。
本体は、ホワイトとメタリック系のブルーのツートンで、個人向けとしてもビジネス向けとしても、どちらでも通用する清潔感のあるデザインだ。
HDDは、前面からトレイで装着するタイプ。本体ケースを開けて内部に装着する必要はなく、万が一のHDD故障時でも簡単に交換できる。トレイにはネジ不要でHDDを簡単に装着できるので、設置にも苦労しないだろう。
しかも、そのHDDトレイはロックが可能で、不用意な取り外しや転倒などによる事故でも、安易に外れないように工夫されている。盗難のリスクも下げられるので、これらの点でもビジネスシーンに適している印象だ。
なお、搭載HDDは自由に選択できるが、NASは24時間365日の稼働が基本となるため、耐久性の高いNAS用HDDを装着するべきだ。今やNAS用と言えば赤いラベルと言えるほどに定番化した、Western Ditigalの「WD Red」を選びたいところだ。
インターフェースは、背面に1000Mbps対応のLANポート×2を搭載するほか、前面×1、背面×2のUSB 3.2 Gen1を搭載している。
QNAPは、NASだけでなくネットワーク機器の販売にも力を入れている。本製品は同社が販売しているUSB接続の5GBASE-T対応LANアダプター「QNA-UC5G1T」が利用可能だ。これにより、最大で5Gbpsまでネットワークの速度を向上させることもできる。
標準の1Gbpsのままでもシーケンシャルの読み込みで117MB/sと高速だが、ビジネスシーンではもちろんだが、個人向けでも10Gpbsのインターネット接続回線が普及しつつあるため、高速なネットワークでNASを使いたいというニーズにも対応できるだろう。
最新の「QTS 4.4.2」でセキュリティやストレージ機能も強化
NAS専用OSの最新版として2020年4月にリリースされた「QTS 4.4.2」が搭載されており、セキュリティやストレージの機能も強化されている。
具体的には、管理用のadminアカウントに設定される標準のパスワードが変更された。従来のバージョンでは、NASを初期化した際に「admin」というユーザー名と同じものが設定されていた初期パスワードが、MACアドレスから「:」を除いた値へと変更されている。
管理者パスワードは、初期設定で任意のものを設定したり、初期化後にコントロールパネルから簡単に変更することができるが、個人ユーザーや小規模環境では、こうした設定を忘れて、標準の「admin/admin」のままで使いがちだった。
これが改善されたことで、うっかりadminのパスワードを再設定し忘れても、悪用される危険が大幅に減ったわけだ。
このほか、QNAP App Centerからダウンロードできるアプリにデジタル署名が追加され、悪意のあるプログラムのインストールが防げるようになったほか、ストレージ関連の機能も強化され、6Gbps SATA接続や10Gbps USB 3.2接続の拡張ストレージの接続もサポートされた。
ハードウェアとしての性能が向上しているのはもちろんだが、ソフトウェアも最新版と、あらゆる面でリニューアルされているモデルと言えそうだ。
なお、NASをテレワークで使う上での注意点については、連載『NASやルーターを使ったテレワークの注意点』でもまとめている。QNAPのNASを例に使っているので、参考にして欲しい。
3万円から始められるテレワーク対応NAS
このように、テレワークの情報共有に悩んでいる場合は、最新のNASを使うことをオススメしたい。
特にQNAPの最新のTS-231Kは、実売3万円前後とリーズナブルな価格でありながら、ビジネスシーンでの利用も可能な高性能モデルとなっている。このため、テレワークでのファイル共有やVPNの構築、ファイル同期などの活用に適した製品だ。将来的に5Gbpsへのアップグレードも目指せるので、10bpsインターネットの導入を検討している場合もいい選択となる。
実際にテレワークに活用するには、いくつかの注意点もあるが、QNAPのNASは設定も分かりやすいので迷うことはないだろう。これからのテレワーク時代にマッチしたNASと言えそうだ。
(協力:テックウインド株式会社)