清水理史の「イニシャルB」

Ubiquiti「UNAS 2」、UniFiのシリーズ製品と簡単に統合管理できる新コンセプトNAS!
2026年7月13日 06:00
「UniFi」ブランドを展開するUbiquitiから、2ベイのコンパクトなNAS「UNAS 2」が発売された。ルーターやスイッチなど、既存のUniFiシリーズと密接に連携できるのが特徴となる。価格も手ごろで、拠点や部門単位のデータ保存先として扱いやすい製品となっている。
「推し活」で購入
国内でも、ようやくUniFiシリーズの小規模環境向けストレージ製品UNAS 2が購入可能になった。
ルーターやスイッチなどで有名なUbiquitiだが、昨今はカメラや入退室管理などネットワークでつながる機器全般を扱うメーカーへと進化しつつある。同社がNAS分野に進出したのは2024年で、海外では昨年から小規模環境向けにデスクトップタイプのUNAS 2やUNAS 4が販売されていたが、ようやく国内でも、この製品が入手可能になった。
とはいえ、例のごとく、限られた入荷数の争奪戦となり、筆者は入荷直後の6月12日に購入できたが、本稿執筆時点(2026年6月30日)では売り切れとなっている。Ubiquiti製品は、筆者も含め、一定数のファンが存在する一方で、国内市場では苦戦しており、新製品の投入も遅ければ、入荷数も少ないという状況が続いている。
普通の人にとっては、見たくもなければ、触りたくもない管理画面について、いかにUniFiが優れているかを語ったところで理解されにくいことは承知しているが、日本市場から撤退するという最悪の事態にならないことを願って、ファンとしては細々と「推し活」を続けるしかない状況だ。
2ベイで3万6500円! つなぐだけで即統合
それでは実機を見ていこう。UNAS 2は、UniFiシリーズに最適化されたNAS製品だ。
2台のHDDを搭載可能な2ベイNASで、本体サイズは135×129×223.7mmとなっており、一般的な縦置きタイプの2ベイNASと同等のサイズ感となっている。価格もコンシューマー向け製品となるUGREENのDH2300(3万1044円)、Synology DS223j(3万6364円)などと同等の3万6500円(UniFi Store価格)となっており、法人向け製品としては価格が抑えられている。
上位モデルのラックマウントタイプのUNAS Pro 8も、8ベイ、10Gbps対応、M.2 NVMe×2、冗長電源対応で14万8500円なので、エンタープライズ向けストレージとしても、かなり攻めた価格設定になっている。
かといってスペックが物足りないことは全くなく、本体前面にはUniFiシリーズならではの小型液晶を備え、ネットワークは2.5GbpsのPoE++対応、フロントにUSB Type-Cポートを備え、1.7GHzのクアッドコアCPU(Cortex-A55)、4GBのメモリ、設定管理用のBluetoothなどを搭載している。
一般的なNASとの最大の違いは、電源がPoE++となっている点だ。本体底面のLANポート(1つのみ)経由で、ネットワークのデータ通信と60W PoE++給電の両方をまかなう設計になっている。
といっても、ケーブル1本で動作するかどうかは、接続先のスイッチの性能次第で、1ポートあたりの最大給電能力、およびデバイスへの給電能力が60Wに満たないと、本製品が要求する電力をまかなえないことになる。
試しに、手元のPoE++対応スイッチで検証してみたが、この条件は結構厳しい。手元のPoE++対応スイッチは、一応、1ポートあたり60W給電に対応しているのだが、スペックを見るとデバイスへの給電能力が50W前後となっていた。
これにより、スイッチ側でポートリンクやSTP状態のフラッピング(切断や接続状態の変更)が発生することがわかった。実際、夜間のバックアップの失敗(Internal Error)も発生しており、電力不足で動作が不安定だったことが疑われる。
もちろん、そんな場合でも問題ないように、本製品には2.5Gbps対応のPoE++アダプターが同梱されている。安定性を考えると同梱のPoE++アダプターを使って接続した方が安心だ。
UniFiシリーズの管理画面で統合運用可能
そして何といっても便利なのが、UniFiシリーズならではの設置の手軽さと、グラフィカルな管理画面で利用できる点だ。
まず、初期設定だが、アクセスポイントなどの他のネットワーク機器を追加するのと感覚的には変わらない。UNAS 2をネットワークに接続すると、UniFiの管理画面に機器が追加されたことが自動的に通知される。ここで「Setup and Manage」をクリックすれば、自動的に管理対象として登録される。
もちろん、ディスクを選択し、ストレージプールを作成し、共有フォルダーを作成するという手順は必要だが、基本的にルーターやスイッチ、アクセスポイントなどと共通の管理画面で管理できる。
ただ、既存のUniFiシリーズと完全に統合されるかというと、これは環境次第と言える。UniFiは、現状、マルチサイト管理用のソリューションとしてUniFi Fabricという統合管理機能の開発を進めているが、現状、UNASシリーズは、まだこの対象となっていない。
一応、Fabricで管理することも可能で、ルーターのVPNユーザーとNASのユーザーを共通の基盤上で管理することも不可能ではないが、この方法で管理すると、UNASのスマートフォンアプリで写真のバックアップができないなど、一部機能が制限される。
なので、現状は、ひとくくりの「サイト」としてネットワーク製品とUNAS製品を共通の管理画面で管理することは可能だが、NASの詳細な機能は「Drive」タブから個別に設定する必要があり、ユーザーアカウントも「Network」とは別に「Drive」側で個別に登録しなければならない状況にある。
とはいえ、アクセスする画面としては共通だし、Network側と同様に外出先からNASを管理することも可能で、管理画面からNASの共有フォルダーにアクセスすることもできる。全体的な管理基盤は共通化されているが、まだ細かな部分で統合が完全ではないという印象だ。
コンシューマー向けNASほど親切設計ではない
使い方に関しては、現代のモダンなNASほど親切ではない。どちらかというと、昔ながらのファイルサーバー的発想の製品で、ネットワーク上のPCからエクスプローラーを使って「¥¥サーバー名¥共有名」、もしくはネットワークドライブとしてマウントしてアクセスする方式になる。
もちろん、ブラウザーを使って共有フォルダーにアクセスすることも可能で、社外からもブラウザーでファイルにアクセスできる。このあたりまでは、そこそこ現代的だ。
ただし、Windowsのエクスプローラーを使って外出先からアクセスするには、UniFi NetworkのVPN機能(WireGuard)を併用する必要がある。VPN接続の設定は簡単だし、接続も刷新されたUniFi Endpointアプリによって簡単にオン/オフできるので、実質的な設定作業に苦労はないが、UniFiの管理に慣れていないと、設定項目を探すだけでも、少し戸惑うかもしれない。
また、共有リンクを作成して特定のファイルを外部と共有することもできるが、パスワードや期限などの設定をリンク作成時に選択できず、リンクの作成後にリンク管理画面から設定を変更する必要がある。こうしたあたりも、ユーザーフレンドリーという感じではない。
唯一、コンシューマー向け製品を意識した機能と言えるのが、iOS向けの写真バックアップ機能となる。前述したUniFi EndpointアプリをiPhoneにインストールすることで、端末の写真を自動的にUNAS上の個人フォルダーにバックアップできる(前述したようにFabric利用時は有効にならないので要注意)。
UniFi製品は、全体的に「管理者にはやさしいが、ユーザーにはそれほど親切ではない」という管理者ファーストの印象だ。エンタープライズ向けのルーターとNASを使って、完全に個別で設定・管理することに比べれば管理者の労力は劇的に下がるが、コンシューマー向けNASほどあれこれ親切にフォローしてくれるわけではない。コンシューマー向け製品のいいところを取り入れつつ、あくまでも管理のしやすさを追求した製品と言えるだろう。
もう一段の進化が見たい
以上、Ubiquitiから登場したUNAS 2を実際に使ってみたが、正直、従来のUniFiシリーズほどの感動はない。現状は、まだNASという製品をUniFiシリーズで統合しようとしている最中で、ネットワークとストレージがシームレスに連携する完全に統合された世界を体験できるわけではない。
ひとまずのマイルストーンはFabricでの統合にありそうだが、まだ進化の途中という印象だ。理想は、ユーザーを登録するだけで、自動的にWi-FiやVPNのアクセス権に加えてストレージ領域も自動的に割り当てられ、UniFi Endpointによる認証でゼロトラスト的にどこからでも安全にアクセスでき、しかもネットワークとNASを組み合わせた使用状況をダッシュボードでリアルタイムに把握できる世界だろう。そこを目指していることは確実なので、今後の進化に期待したいところだ。













