週刊Slack情報局

Slackの日本市場は世界2位、アクティブユーザー100万人

その6つの利点と「Slackによる新しい働き方」とは

 Slackによる働き方改革をテーマにしたカンファレンス「Slack Workstyle Innovation Day Online」が6月24日にオンラインで開催され、Slackを活用する企業・組織による事例などが紹介された。今回は、同カンファレンスの冒頭に行われたSlack Japan株式会社の佐々木聖治氏(カントリーマネージャー)と林優氏によるオープニングセッション「新しい働き方へシフトしよう――Slackで実現するニューノーマル」を紹介する。

「出社しなくても仕事できるようにすること」がSlackの責任

 佐々木氏はまず、「新しい働き方を実現するプラットフォームを提供する」、つまり、出社しなくても仕事できるようにすることが、Slackの責任だと思っていると語った。

 同氏は、日本企業の生産性はニューノーマル以前から問題だったが、ニューノーマルで生産性格差が広がると指摘。そして、生産性を高めるために必要なのはアラインメントだが、古い世代のコミュニケーションツールでは、アラインメントを高めるどころか、阻害してしまうと主張した。

 そして、従来のコミュニケーションツールに対するSlackの利点として、以下の点を挙げた。

  1. メールの形式にこだわらず会話のように
  2. セキュアにつながる
  3. 業務に必要な情報や人を見つけられる
  4. 途中から参加しても背景や文脈がわかる
  5. CCせずに情報をシェアできる
  6. スピーディーに仕事を前に進められる
従来のコミュニケーションツールに対するSlackの利点

日本でのビジネスは堅調、最近は「非IT企業」での採用も

 ここで佐々木氏は、「大きな決断」として、6月に発表されたAWS(Amazon Web Services)との戦略的提携を紹介した。AWS社内でのSlack採用や、AWSのオンライン会議システム「Amazon Chime」との連携などが含まれる。

 その上で、「AWSとの提携のようなグローバルだけでなく、日本市場への投資もしていく」として、東京リージョンでのデータレジデンシー機能(指定したリージョンにデータを保存する機能)を始めたことを紹介した。規制の厳しい業界でもSlackを採用できるようにするための機能だ。こうしたセキュリティとコンプライアンスへの対応の例として、IBMが全社的にSlackを使っていることや、米国の政府機関や金融機関がSlackを使っていることなども佐々木氏は紹介した。

日本市場への投資とセキュリティ&コンプライアンス

 こうした企業向けの施策もあり、ビジネスも堅調に伸びているという。特に日本市場は堅調で、日本でアクティブユーザーが100万人と、世界2位だという。

日本での採用企業の例

 日本市場について佐々木氏は、「上陸当時はIT企業での採用が多かったが、最近は非IT企業が目立つ」として、幅広い業界で使われていることをアピールした。

「Slackによる新しい働き方」の例をデモンストレーション

 続いて林氏が登場し、Slackによる新しい働き方の例を、デモンストレーションを交えて紹介した。

 まずはSlackによる新しい働き方を紹介した。コミュニケーションについては、Slackであれば、1カ所で、社内だけでなく社外ともコミュニケーションでき、Slackで報告することで会議を短縮でき、音声やビデオの通話もでき、過去の内容を検索できる。

 また、業務については、切り替えなくても各種アプリとの連携ができ、定形業務の「ワークフロー」が使え、モバイルでも利用できる。

Slackでのコミュニケーション
Slackでの業務

 ここからデモンストレーションになる。林氏はSlackの画面を見せ、まず「チャンネル」を紹介した。チャンネルは部屋のようなもので、パブリックとプライベートの2種類がある。会話を整理でき、社外ともチャンネルを共有できる。

 その中で林氏は全社員向けアナウンスを見せた。ユーザーが気軽に絵文字でリアクションでき、オフィスにいるときのように雰囲気が伝わるという。また、スレッド機能は、投稿を整理し、過去から見ても情報を見つけやすいという。

 チャンネルのリストには、自分宛ての未読の投稿があると印が付く。また、メンションで通知が来ることもある。そうしてあとから会話に参加しても、過去から見られるので、過去の経緯の説明が不要になる。

 そのほか、Boxに置かれた資料を共有するところも林氏は見せた。

Slackの画面。左に「チャンネル」が並ぶ
全社員向けアナウンスに気軽に絵文字にリアクション
右にスレッドが表示される
メッセージでメンション
Boxに置かれた資料を共有

 続いて、ワークフロー作成だ。例は、会議のための出社申請。Slackメッセージやメールに比べ、申請フォーム形式にすることで、申請内容の漏れなどがなくなり、担当者の負担を減らせる。

 まず「ワークフロービルダー」から作成を開始して、ワークフローの起動方法を選択し、テンプレートから「オフィス出社申請」を選ぶ。用意された各ステップの中で、フォームを作成し、メッセージの送信先を指定する。これで、技術に詳しくなくてもワークフローを作って業務を効率化できる。

出社申請の申請フォームの例
「ワークフロー」の起動方法を選択
テンプレートから「オフィス出社申請」を選ぶ
ステップが用意される
フォームを作成する
メッセージの送信先を指定する

 こうした内容は、モバイルアプリでもPCと同じ情報を見られる。また、アプリケーション連携により、例えば会議に向かう電車の混雑をNAVITIMEで確認することもできる。さらに共有チャンネルで、モバイルアプリとPCとで資料の確認のやり取りなどもできるところも林氏は見せた。

Slackのモバイルアプリ
出社申請についてSlackで確認してやり取り
電車の混雑をNAVITIMEで確認

一般企業でも利用が広がっているビジネスコミュニケーションツール「Slack」。Slack Technologiesの日本法人であるSlack Japanはこのツールのことを“ビジネスコラボレーションハブ”と表現しており、あらゆるコミュニケーションやツールを一元化するものと位置付けている。本連載「週刊Slack情報局」では、その新機能やアップデート内容、企業における導入事例、イベントレポートなど、Slackに関する情報をお届けする。