週刊Slack情報局

「おにぎりせんべい」のマスヤグループ、Slackで「現場の事実をちょい見」

組織を「管理統制型」から「自律分権型」に変えるためのツールの役割とは

株式会社マスヤグループ本社代表取締役社長の浜田吉司氏

 Slackによる働き方改革をテーマにしたカンファレンス「Slack Workstyle Innovation Day Online」が6月下旬にオンラインで開催された。今回は、「組織のニューノーマルとは? 先進企業が実践するカルチャー変革」と題した3社によるユーザー事例セッションの中から、株式会社マスヤグループ本社代表取締役社長の浜田吉司氏の講演を紹介する。浜田氏は、組織を「管理統制型」から「自律分権型」に変えるためのコミュニケーションツールとしてのSlackの活用について語った。

報告が儀式化、「現場の事実を事実として知りたい」

 マスヤグループは、三重県伊勢市に本社がある製造業で、中核となるのが「おにぎりせんべい」を製造する株式会社マスヤだ。グループはホテルやブライダルなどさまざまな分野の会社10社ほどからなり、中国などにもグループ会社がある。

 Slackは導入してまだ1年ぐらい。浜田氏とSlackとの出会いは、“ティール組織”の代表例といわれるSEMCO社(ブラジル)のリカルド・セムラー氏の講演を3年前に聞いたときだった。このときセムラー氏は「この中でSlackを使っている人は?」と聴衆に質問し、Slackなどを使わないと自律分権的な組織はうまくいかないと語ったという。

リカルド・セムラー氏のティール組織の講演でSlackを知る

 「マスヤグループは管理統制型でやっていた。これでは、組織の業務範囲が広くなると、経営上、支障が多くなる」と浜田氏。この状態を、机に立てたペンが倒れないように社長がぎゅっと握って支えている様子にたとえた。「これでは息苦しいし、手を離すと倒れてしまう」。

 そして浜田氏は自律分権型を、ペンを1点で支えている様子にたとえた。「3年前から自律分権型に入れ替えを開始した」。

管理統制型は、ペンをぎゅっと握っている状態
自律分権型は、ペンを1点で支える状態

 自律分権するには、社長としては、「現場の事実を事実として知りたい」という。しかし、「それで週に1回ぐらい報告の場を設けるが、報告されるのは数字」と浜田氏。「さらに、報告者の解釈が入っているという報告書バイアスがある。さらに、儀式のようになって準備に時間がかかる」。

「現場の事実を事実として知りたい」という思いとその難点

Slackで日常の現場の事実を「ちょい見」。絵文字で「OK」のちょうどよさ

 そこで、Slackだ。「Slackのいいところは、儀式のような報告ではなく、日常の現場のやり取りから事実をちょい見できるところ」と浜田氏は感想を述べた。

 報告が残念なものになるのは、心理的安全性が低いときだと浜田氏は言う。そしてSlackでは、報告より日常のやり取りを見ることで心理的安全性を高くするわけだ。「ただしSlackでも、社長が変に介入しすぎると心理的安全性を下げてしまう。絵文字で『OK』とか『ありがとう』とかがちょうどいい」。

 そのほかSlackのいいところとして、「設計思想がいい」とも浜田氏は言う。「別のツールを使っていたが、下手に既読の機能があると開いたら対応しなくてはならないし、タスク管理の機能があると受ける側はタスクを振られるので怖くて開けられない」。

 そしてやはり、遠隔地の社員や、社外の関係者とも心理的距離が縮まることだ。マスヤグループでは、グループ各社とのやり取りに活用している。その延長で、リモートワークでもうまくいっているという。

Slackのいいところ、特に「心理的安全性」

一般企業でも利用が広がっているビジネスコミュニケーションツール「Slack」。Slack Technologiesの日本法人であるSlack Japanはこのツールのことを“ビジネスコラボレーションハブ”と表現しており、あらゆるコミュニケーションやツールを一元化するものと位置付けている。本連載「週刊Slack情報局」では、その新機能やアップデート内容、企業における導入事例、イベントレポートなど、Slackに関する情報をお届けする。