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「Slackコネクト」正式発表、外部組織とのやり取りを可能に

企業間でメールやLINEをやり取りする日々にサヨナラ?

 コラボレーションツールの「Slack(スラック)」を提供する米Slack Technologiesは24日8時(米国太平洋時間、日本時間25日0時)からオンラインで記者会見を行ない、Slackの有料プランで企業間のより進んだコミュニケーションを行なう新しいサービス「Slackコネクト」を正式に発表した。

Slackの有料プラン向けに提供開始された「Slackコネクト」。複数の組織(最大20)が1つのチャンネルを共有することが可能になる(画像はSlackのオンライン記者会見より、筆者キャプチャー)

 同社の創始者でCEOのスチュワート・バターフィールド氏は「Slackコネクトは異なる企業間でコミュニケーションを行なう場合に、セキュアにやり取りをできる環境を提供し、電子メールの代わりになるような環境を提供する。また、従来は企業がコントロールできていなかったWhatsAppなどのメッセンジャーを利用したやり取りも安全に行なうことができる」とコメント。Slackコネクトによって、従来は電子メールやLINEのようなメッセンジャーアプリに依存していた企業の外部ユーザーとのやり取りを、より安全に企業にとって制御下において行なうことができるようになるとアピールした。

会見を行なうSlack Technologies創始者/CEOのスチュワート・バターフィールド氏(画像はSlackのオンライン記者会見より、筆者キャプチャー)

1つのチャンネルで最大20の組織が安全にやり取りすることが可能

 今回Slackが発表したSlackコネクトは、すでに提供されているチャンネルやチャット、音声などでユーザー間のコミュニケーションが可能なコラボレーションツールとなるSlackで、外部とのやり取りをより安全に行なう仕組みだ。

 現在のSlackでも、自社のチャンネルに外部ユーザーを追加すれば、やり取りができる。例えば、出版社が外部のフリーランスライターを自社のチャンネル(Slackにおけるプロジェクトの単位のようなもの。Microsoft Teamsでは「チーム」に相当)に追加して使うような使い方はすでに行なわれている。

 これに対してSlackコネクトは、複数の企業同士が相互に接続して、自社のデータなどを制御して守りながら安全にチャンネルを共有することが可能になる。企業内のSlackからチャンネルを作成し、そこに外部企業のユーザーを招待する。そうすると、外部企業のユーザーにその招待状が届き、外部企業側のIT管理者などの承認があって初めてやり取りが可能になる。このため、企業にとっては、どのようなやり取りを自社のユーザーがしているかを管理し、自社の情報に関してはその暗号化鍵は自社のSlack側で管理することができるため、情報漏えいの心配なく安全にやり取りを行なうことができる。最大で20の組織が1つのチャンネルの中で作業できるとSlackでは説明している。

 これにより、例えばSlackを使っている取引先と1つのチャンネルを共有して共同作業を行なったり、サプライチェーンマネジメントに参加している川上から川下の企業が1つのチャンネルに集合してチャンネルの中でプロジェクトを進めていく、そんなSlackの新しい使い方が可能になる。

複数の組織のユーザーが1つのチャンネルに参加できる(画像はSlackのオンライン記者会見より、筆者キャプチャー)
1つのチャンネルに参加できる組織の数は最大20(画像はSlackのオンライン記者会見より、筆者キャプチャー)

 バターフィールド氏は「すでにSlackでは、ピークには1秒間で6500万のメッセージがやり取りされている。それらが安全にやり取りされているのがSlackのプラットフォームだ。しかし、現在、企業間のやり取りに使われている電子メールでは迷惑メールに悩まされているし、データの漏えいは90%がフィッシングなどによって起きている。それに対してSlackコネクトではより安全に、快適に外部とのやり取りができるようになる」と説明。Slackコネクトを電子メールに代えて利用することで、高い安全性と管理性で外部とのコラボレーションが可能になるとした。

オープンであるがゆえに電子メールが抱える課題(画像はSlackのオンライン記者会見より、筆者キャプチャー)

 また、バターフィールド氏は「現在多くの企業ユーザーがWhatsApp(筆者注:日本のLINEのようなもの)を利用しているが、それらは企業からは制御できないし、記録も取られていない。それに対してSlackではアクセス権などを企業がコントロールすることが可能になる」と述べ、日本ではLINEやFacebook Messennger、米国ではWhatsAppのような、コンシューマー向けのメッセンジャーアプリで外部のユーザーとのやり取りが行なわれている現状を指摘。Slackコネクトを利用することで、それらも企業の制御下に置きながら安全に外部との協業ができるようになると述べた。

「Slackコネクト」は有料プランから提供開始、将来は「EKM」を利用した情報管理やカレンダー統合などの機能も

 Slackコネクトを利用するメリットは、外部の企業とのやり取りがより安全に、快適に行なえることにある。Slackの大企業向けのプランである「Enterprise Grid」を利用している場合には、EKM(Enterprise Key Management)という暗号化鍵を利用して、安全にクラウドに自社のデータをストアするなどの機能を利用できる。このEKMは、今夏にもSlackコネクトでも利用できるようになる予定で、招待した外部の組織に予期せずデータが流出するなどの事態を防ぐことが可能になる。

 Slackコネクトではさまざまな新しい機能を利用することができる。会見で紹介されたのは、Slackが相互のカレンダーを確認(内容は相互に公開されないが、予定の有無などが確認できる)して、電話会議やリアル会議の予定を作成する機能(カレンダー統合機能として将来、提供予定)。従来であればミーティングの予定を確認するには、電話やチャットなどでお互いの予定を確認して、会議室の予定を確認して……と実に時間がかかる作業だが、Slackコネクトで接続しているユーザー同士であれば、それらを全てSlack上で自動で予定の確認が行なわれ、会議室の空き状況などを確認して瞬時に予定が作成される。現状、こうしたミーティングの設定は時間も手間もかかるものだが、それが瞬時に終わるのは便利だ。

将来導入される計画の「カレンダー統合機能」では、複数の組織にまたがってミーティングの予約を自動で入れることができる(画像はSlackのオンライン記者会見より、筆者キャプチャー)

 Slackによれば、このSlackコネクトは今年2月から同社の顧客と共同で開発されてきたもので、今回の正式発表後には有料プラン(スタンダードプラン、プラスプラン、Enterprise Gridプラン)に対して即時提供開始される。バターフィールド氏によれば「現時点では無料プランのユーザーには提供していないが、検討はしている。ただ、こうした機能は有料ユーザーこそ必要な機能だと考えている。今後12~18カ月かけて評価していく」と述べ、将来の可能性には含みを持たせたが、現時点では提供する具体的な計画はないと示唆した。