週刊Slack情報局

Slackで他社とつながるのに便利な機能「共有チャンネル」とは? 全ての有料プランで利用可能に

一般企業でも利用が広がっているビジネスコミュニケーションツール「Slack」。Slack Technologiesの日本法人であるSlack Japanはこのツールのことを“ビジネスコラボレーションハブ”と表現しており、あらゆるコミュニケーションやツールを一元化するものと位置付けている。本連載「週刊Slack情報局」では、その新機能・アップデート内容などを中心にSlackに関する情報をできるだけ毎週お届けしていく。

 Slack Technologiesは6月11日、「共有チャンネル」ベータ版を全ての有料プランのユーザーが利用できるようにした。これにより、Slackのプラン種別を問わず、社外の組織とチャンネルを共有できるようになる。これは4月に開催されたSlackの年次イベント「Frontiers」で発表されていた予定の1つだ。

 といっても、すぐにイメージが沸かない人もいるかもしれない。今回は、「共有チャンネル」とは何か、これにより仕事の進め方がどう変わるのか、具体的なケースを想定して紹介する。

英語表示で「Shared Channels」と表示されている部分が「共有チャンネル」

ついにEnterprise Gridも「共有チャンネル」に対応

 従来、社外のメンバーとSlackでやりとりするためには、自社のワークスペースにゲストとして招待して参加してもらう必要があった。共有チャンネルを使うと、それぞれが別のワークスペースに所属したまま同じチャンネルでやりとりができるようになる。

 Slackの3つの有料プランのうち、「スタンダード」と「プラス」のプランではすでに共有チャンネルの機能が提供されていたが、6月11日より、大規模組織向けの「Enterprise Grid」プランでも提供を開始した。

 なお、Enterprise Gridには、社内で作られたワークスペース間でチャンネルを共有する「マルチワークスペースチャンネル」という機能が以前から存在する。共有チャンネルとマルチワークスペースチャンネルの違いは、共有チャンネルなら外部の組織ともつながれる点だ。Enterprise Gridが共有チャンネルに対応したのは、ベータ版と付いてはいるが十分にセキュリティが担保されたことの証明だと言える。年内には、正式版の機能に昇格する予定だという。

大量のワークスペースを切り替える必要なし

 具体的な利用シーンを想定してみよう。例えば、あるキャンペーンでメーカー、代理店、販売店の3社が協業したとする。メールでやりとりする場合は、関係者全員をCcに入れて「全員に返信」を重ねていくことになるだろう。

 Slackの共有チャンネルを使えば、メインの自社ワークスペースを表示したまま、他社の担当者とスムーズに情報をやりとりできるようになる。仮に共有チャンネルを使わず1社がほか2社の担当者をゲストとして招待した場合、招待された側はそのチャンネルを利用するためだけに新たなワークスペースに参加することになる。複数の案件を抱える代理店は、トピックごとに分かれた大量のワークスペースを切り替えなければならなくなるだろう。ワークスペースの切り替えに追われて対応が遅れては本末転倒だ。共有チャンネルは、その手間と煩雑さを解消してくれるわけだ。

ワークスペース名をクリックして「共有チャンネル(β)」を選択すれば共有チャンネルを作成できる

 ファッションブランドのEverlaneは、返品関連のベンダーであるHappy Returnsと従来はSlackのゲストアカウントとメールを使ってやりとりしていたが、共有チャンネルを活用することで問題をより迅速に解決できるようになり、カスタマーサービスの向上につながったという。また、エッジクラウドプラットフォームを提供するFastlyは、プロダクト、エンジニア、セールス、請求関連の担当者と顧客が直接コミュニケーションをとれるよう顧客応対の担当者が橋渡しをして、プレミアムサポートの一環として共有チャンネルを活用している。

無料版のユーザーは従来どおり……

 なお、Slackの無料版の場合、共有チャンネルは、招待することも、されることもできない。無料版のユーザーとつながりたい場合は、従来どおりゲストとしてワークスペースに参加してもらうか、関係者が参加するワークスペースを新たに作成するか、どちらかの方法をとることになる。しかしトピックごとにワークスペースを作成すると、参加するワークスペースが際限なく増えていってしまう。共有チャンネルを使える環境なら、ぜひ活用を検討したいところだ。

西 倫英

インプレスで書籍、ムック、Webメディアの編集者として勤務後、独立。得意分野はデジタルマーケティングとモバイルデバイス。個人的な興味はキノコとVR。