テレワークグッズ・ミニレビュー

第79回

2画面マルチディスプレイじゃ足りない!! やってみたら快適すぎた夢の3画面生活

ノートPCを宙に浮かせて理想的ディスプレイ環境を実現する!!

 3年前、テレワークが始まってまだ間もなかった頃、それまで持っていた23インチのフルHDディスプレイに、32インチの4Kディスプレイを買い足してマルチディスプレイ環境を実現した。

3年前の状況。右上はテレビ、その下は当時使っていた15インチPCだが、この位置だと画面が遠くて文字が見えないので、使わなくなった

 その時点でもノートPCのモニターも使えば3画面は実現できたのだが、物理的な置き場所の問題、正面の32インチディスプレイの横、しかも奥だと遠すぎて、近眼&老眼の筆者の目では役に立たなかった。

 それに4Kを含む2画面あれば十分、と当初はそう思っていた。

 4Kディスプレイは快適だ。しかも32インチあるとWebブラウザーを開きながら、原稿執筆用のテキストエディターを開き、さらにもう1つフォルダーを開いて画像を確認、なんていう作業も容易だ。テレワーク中のコミュニケーションに使うSlackはもう1枚のディスプレイに常駐させている。

 ただし、それで十分かというと、やはり足りない時はある。フォルダーをいくつも開いたり、複数のWebサイトを開いて見比べたり、あるいはエクセルで大量のデータを眺めたりしながら執筆するときもある。そうしたときは画面が足りないので、あれを最小化して、こっちのフォルダを開いて、と、まぁ端的に言って効率がわるい。うーん、やっぱりノートPCの画面も使って3画面体制にしてみようか……、という気になり始めた。

 ただしそんなに簡単ではない。写真では机の上が片付いているが、これは撮影用に片付けまくった状況。普段は紙の資料が重なり、その上に食べかけのおやつとか、レビュー用の小物とか、いろいろ山積みになっているので、机上にノートPCを置くスペースはない。やれるとしたら、モニターアームを使ってノートPCを宙に浮かせた状態にすることだ。

 ただしもう1つ問題があって、筆者の使っているデスクは、足の配置の都合で、クランプを付けられるところが限られてしまう。そして、ちょうど良さげな場所を、クランプ式のデスクライトが使ってしまっているのだ。その場所をモニターアームに明け渡すと、デスクライトはどうするかという別の問題が出てくる。今使っているデスクライトは、もう30年以上前のものなので、買い換えてもよいとは思っているが……。

先日までのデスクの状況。左側に23インチFHDを縦置き、Webカメラを挟んで正面に32インチ4K、その右側に閉じたままのノートPCが置かれている。手前下段にあるのはEcho Show 8、右上は壁掛けにしたテレビ
先日までのノートPCの定位置。いつも閉じたままで起動もTunderboltドックの電源ボタンで行なっている
ノートPCアームのクランプを付けたいデスク右側にはすでにクランプ式デスクライトが固定されていた

 ということで、なにかいい製品はないかと調べていたところで、ちょうどいろいろな問題を解決してくれそうな製品を見つけた。それが、「Viozon モニター/ノートパソコンアーム 7" LED ライト付き」だ。

 モニターアームにノートPCを付ける場合、モニターアームとオプションのノートPCトレイを買うこともあるが、この製品はもともとノートPCトレイがセットになっている(VESAマウントのディスプレイを付けることも可能)。そしてなにより、LEDのデスクライトが一体になっているのだ。

 ただし、問題もあって、アームはガススプリング式やメカニカルスプリング式ではないので、上下方向に動かしたい場合は、いちいちネジを緩めたり締めたりしないとならないのだ。

 ガススプリング式の上下左右に簡単に自在に動かせるのを知っていると、不便そうな気もするが、ただよくよく思い返してみると、今まで使っていたガススプリング式のモニターアームでも、上下方向に動かすことはほとんどなかった気がする。そう考えると、むしろガス抜けの心配などもないし、これでいい気がしてきた。

剛性感があっていいかも!!

 ということで購入。

 製品は照明部分とベース部分、アーム部分、あとはアームの先につくノートPCトレイとVESAマウント、その他備品という感じで分割された状態で届く。ところどころ日本語があやしいマニュアルが付属。説明が足りないと感じる部分もあったが、組み立ては難しくないと思う。

バラバラで届くので組み立てが必要。といっても難しくはないと思う
日本語マニュアルも付属。日本語がややあやしいのと、アームを上下逆さまにする場合の説明がないが、まぁ見れば分かると思う

 まず気になっていたアーム部分を見ていくと、アームは斜めになっていて、斜め上向きにも斜め下向きにも付けられる構造。アームの関節部分は横方向には動くが上下方向には動かないので、高さ調整は、ベースとなるポールの上で、アームを上下にスライドさせて行う。ストッパーのネジは工具不要で緩めたり締めたりできる。ただし、緩めてもいきなり落ちないようになっていて、緩めたネジを押し込むようにする必要がある。最初は分からず苦労したが、ノートPCを載せた状態で位置を調整していても、いきなり落ちないので安心感がある。

 また、位置を決めた後も、アームが上下に動かない構造の分、剛性感があって振動にも強い印象だ。なんならそのままキーボードをたたいてもまったく問題ない。また、PCを外したときに軽くなってアームが上がることもないし、PCの後ろのものをとりたい時にも横方向には簡単に動かせるので問題なし。少なくとも筆者の環境ではガススプリング式でなくても全く問題なかった。

 アームの先端はアダプターになっていて、アタッチメントとしてノートPCトレイを付けるか、VESAマウントを付けるか選べるようになっている。てっきりVESAマウントに取り付けられるノートPCトレイが付属するのかと思っていたがそうではなかった。脱着も簡単だし剛性感もあって好印象だ。お辞儀方向にも可動範囲が広いので、ノートPCのキーボード面を水平にすることも垂直にすることも可能だ。

撮影用のデスクに装着してみた状態。アームは下向き
アームを上向きにすると、トレイを水平にした状態で、25.5cmぐらいまでしか下がらない
アームを下向きにして一番低くした状態
トレイを水平にするとだいたい8cmぐらい
アームがトレイの下にあるのでこれ以上は下がらない
アームを上下変更する場合は、アーム先端のパーツも上下入れ替える必要がある。といってもネジ1本なので難しくはない
VESAマウントも付属するのでモニターアームとしても使える
こちらはノートPCトレイの裏側。アームの先端のパーツと脱着できる構造になっている
クランプ部分。ベースプレートも大きめでしっかり固定できる
アームの中にケーブルを通せる構造になっている。が、カバーがうまく外せなかった

 ノートPCトレイは横から挟み込む形なので、そのままPCを閉じることもできる(筆者のPCの場合は若干浮いてしまったが、PCがスリープするぐらいまで閉じることはできた)。ただし問題もあって、挟み込むアームの部分がちょうどUSBポートなどをふさいでしまうことがある。

 これはPCによって異なるので絶対ではないが、筆者のThinkpad T480sだと左側のUSBポートとHDMIポートをふさいでしまい、トラックボールのUSBドングルが使えなくなった。ただ、右側のUSBポートがギリギリ使えたのでそちらにドングルを移動した。今どき少ないがDVDドライブなどは高い確率で開かなくなると思う。参考までにアームの位置が分かる写真を撮ったので参考にしてほしい。

ノートPCトレイに14インチのノートPCを置いた状態
トレイの設置部分の寸法。実測で幅が約31cm、奥行きが21.7cm。公式では12~17インチのノートPCに対応するとのこと
取り付けてみようとしたところ、ちょうどPCを押さえるアームがUSB端子とぶつかってしまう位置だった
アームを横から見たところ。うまくすればケーブルを通せそうだが手持ちのHDMIケーブルではダメだった
右側のUSB端子は、ギリギリで干渉しなかった
アームの位置。PCの先端から7.5~12.1cmぐらいが干渉するエリア
ちなみに15インチのノートPCを置いてみた図
DVDドライブは開けない

 また、底面はスリットなどは空いていないので、PCによっては熱のこもりが気になるかもしれない。素材はスチールで放熱性は高そうなのでそれほど心配いらないと思うが、気になる人はスペーサーなどを挟んですき間をつくるとよいだろう。

 ただ、その分剛性感は高く、PCを置いた状態でもフラフラゆらゆらすることなくしっかりと固定される。画面がゆれると見にくくなるので、これはとてもありがたい。

デスクライトは柔らかい光でWeb会議の照明にも使える

 つづいて照明を見ていこう。

 照明はLEDだが、円形の発光部分は面で光る。LEDなら点の光源の集まりのはずだが、それを意識させない。COBタイプかと思ったがそうではないらしい。おそらくだが外周部分にLEDがあって、中央のアクリル板(?)に向かって光りを照射しているのだと思われる。発光面を直視してしまった時も、点で残像が残ることがなく、よくできている。光が広く拡散するので、デスクライトとして使いやすいし、Web会議の時にリングライト的に使っても、柔らかい光で不自然にならないのがいい。

 電源はUSBだ。USBアダプターは付属しないので、PCなどにつなぐとか、別途USBアダプターを用意する必要がある。操作はタッチパネル式で、色温度を3段階、明るさを5段階で調整可能。メモリー機能もあって、前回消灯した直前の色温度、明るさで再点灯する。

一体式LED照明は、発光部分が直径15cmほどで、厚さは11mmほどとかなり薄い
電源はUSB。ただしUSBアダプターは付属しない
操作パネルはアーム部分にあって、タッチパネル式
色温度は3100k-6400kで3段階で調整可能。写真は一番色温度が高い「コールド」。光りかたにムラがなく柔らかく拡散するのが特徴
こちらは中間の色温度となる「ナチュラル」
もっとも暖色系の「ウォーム」

 ただし、USB電源からの給電が切れるとメモリー機能も消えてしまうので、ノートPCなどからの給電だとメモリー機能は期待できない。また、点灯状態からUSB電源を切って、再度電源をつないでも照明はオフの状態になるので、スマートプラグなどをつかったコントロールはできなさそう。最近はアレクサ使いまくりな筆者にとっては非常に残念。

 残念ついでに言うと、タッチパネルもアームの上側に付いているので、座った状態だと目視できず、そのくせ電源部分に凹凸などもないので、手探りだとどこが電源か分かりにくい。しかもオン・オフが長押しなので、長押ししたあげく、位置が悪くて点灯しないとか、結構イラッとする。仕方が無いので、電源スイッチ部の横にテープでマーキングしたが、電源を物理スイッチにして、スマートプラグで操作できれば文句無しだったのに。

座った位置から見ると、電源ボタンの位置が分からない
仕方がないのでテープでマーキングした

予想外のメリット! トラックパッドが操作できるのが便利すぎる!!

 まぁ照明のスイッチの部分は残念な仕様だったが、3画面化という意味ではとても快適になった。

 32インチのメインモニターの横に置いてしまうと遠くて見えにくく使い物にならなかったが、アーム式なら使い勝手のいい位置にもってこられる。実際3つの画面は扇状に自分に正対する形で配置しているので、画面までの距離が遠すぎることもないし、正面から見るので文字なども読みやすい。32インチがある状況で14インチのモニターなんて、と以前は思っていたが、正対しておけると14インチでも十分意味がある。

 今、原稿執筆や写真レタッチなどは正面の32インチでこなしつつ、左側の縦位置23インチにはSlack、右のノートPC14インチにはメールを常駐させている。また、大量の写真をNASにコピーするときや、Windows Updateなど、バックグラウンドで動かしつつ進捗状況は見ておきたいような時も、ノートPCの画面が活躍する。

 また、スタンドではなくアームなので、PCの下側もスペースとして活用できるのもメリット。最近はリアルの発表会なども増えて、新製品の紙資料など、手が届くところにさっと置いておきたいものも増えた。一方で背の高いものなんかは置けなくなったが、今までノートPCの置き場所だった棚が空いたので、カメラのレンズなんかはそこに置くようにした。横方向にはすぐに動くので、PCの後ろのスペースも有効活用できる

現在の状態。テレビとEcho Show 8も加えれば5画面生活。自分を囲むようにディスプレイが配置されるのでとても使いやすい
以前は開いたところで遠くて見えなかったノートPCの画面が近く見やすく!!
アームをぐるっと回すことでPCの後ろの棚にもアクセスできる

 それと、意外なメリットだったのが、トラックパッドが使えるようになったこと。ちょうど右側の手の届きやすい位置にノートPCのトラックパッドが来たので、ちょっと手を伸ばせばトラックパッドが操作できるのだ。

 もちろん今時の多機能なマウスやトラックボールなら、アプリごとにいろいろなことができる。だが、例えばWebブラウザーで文字や画像の拡大したいときなどは、トラックパッドをつかったピンチアウト操作が直感的だ。一度にたくさんスクロールしたいときも、スクロールホイールより2点タッチでスライドさせたほうが速いときもある。さらにWindows 11なら3本指や4本指のジェスチャーだって活用できる。全体的に剛性感が高く、トラックパッドを操作しても、PCが動いたりぐらついたりしないから、気兼ねなく使うことができるのだ。

意外なところでトラックパッドが使えるようになったのが便利!! 無くても困らないがあるとやっぱり便利だ

 照明の電源はディスプレイのUSBポートから取ることにした。ディスプレイの電源はスマートプラグでオン・オフされるので、仕事が終わって「アレクサ、仕事終了」と言えばディスプレイの電源と共に照明の電源も落ちる。点灯したいときは再度タッチパネル操作が必要だが、デスクの照明はいつもオンというわけでもないので、必要な時はオン、消すときは自動、でいいかなと思っている。

 まだ使い始めて間もないので、今後使い方を変えたりするかもしれないが、ガススプリングがヘタるようなこともないので、長く安心して使うことができそうだ。

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