急遽テレワーク導入!の顛末記
「ChatGPTを仕事に使ってみた!業務効率UPしたが、問題点も…」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(136)
文章の整形に「ChatGPT」をいろいろと使ってみたが…
2023年3月27日 07:00
チャットボット「ChatGPT」を“〇〇に使ってみた”という話を、ネット上でよく目にするようになった。ビジネスの現場でも利用されているようで、“アシスタントが一人ついた感じ”と話題になっている。
……この記事を書いている時点で、東京都でまん延防止等重点措置が解除されてから368日が過ぎた。
私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回は日々の業務における単純作業を、「ChatGPT」によって効率化してみた。
3月20日(月):時間の表記を「00時00分」から「00:00」に書き換えさせる
「ChatGPT」がリリースされてから、約5カ月が経った。先日には最新モデルの「GPT-4」が発表され、大きな話題となっている。
筆者は企画書などの資料を作成する際に、ときどき「ChatGPT」のお世話になっている。今日も企画書の作成のために、ネットで資料を当たっていたのだが、引用する情報の時刻表記を統一するのに「ChatGPT」が役立った。こういう情報をいちいち手作業で直していると時間がかかるし、ヒューマンエラーの原因になるので、AIに任せるのは理にかなっていると思う。
ただ、こういう指示を「ChatGPT」にすると、たまに文章を勝手に書き替えてしまうことがあるので、最後は必ず人の目で確認するようにしている。さらに、「一桁の数字を置換」といった複雑な指示は、AIが理解できないこともあった。こういう時は指示の内容を変えたり、指示を複数回に分けて行うことで解決するケースもあるので、いろいろと試してみてもいいのだが……。その作業に時間がかかってしまうことも多いので、見切りをつけて手作業でやるべきか悩むところだ。
3月22日(水):表データの整理は「ChatGPT」にできなくもないが…
出社する機会が減ったことで、経費精算がつい遅れがちになっている。この日も2月分の経費精算をサボっていたので、急いで書類を作ることにした。
経費精算の作業で個人的に一番面倒くさいのが、交通費の明細の作成だ。社用で移動する際はモバイルPASMOを利用しているので、利用料金などは公式サイトできる。ただ、その履歴は表組で表示されるので、それを経費精算の書類にコピーするには、まずデータをExcelにコピー。さらに利用料金が書かれた列だけを書式を外してコピーして、マイナス記号を削除する必要がある。
試しに、この一連の作業を試しにChatGPTにやらせてみたところ
「日付」と「-の付いた金額」だけを抜き出して。
「日付」と「-の付いた金額」だけを抜き出して。(2回目)
「-」記号を削除して。
と3回指示を出すことで、日付と金額が「,」で区切られたデータを作成できた。あとは、これをカンマ区切りテキストとしてExcelに読み込ませれば良いのだが……。正直、Excel上で全ての作業をするのと、手間はあまり変わらなかった気がする。
表組のデータをテキストデータに落とし込むならまだしも、表組のデータを表の体裁のまま整形するなら、素直にExcelの機能を使えばよかったかもしれない。
3月23日(木):「Whisper」の文字起こしデータを読みやすいように整形したい
今日はオンラインで行われた講演に、Zoomで参加することに。その様子をWindows標準の「Xbox Game Bar」機能で録画していたので、音声だけを抜き出して、「Whisper」を使ってAIに文字起こしさせてみた。
「Whisper」は音声データを無料で、しかもかなりの精度で文字起こししてくれるので、ビデオ会議の議事録作りなどに重宝している。ただ、出力が改行を挟まないひと続きの文章で行われるので、そのままでは読みにくいのが困ったところだ。
そこで、このテキストを「読みやすいように、適当なところで改行して」と「ChatGPT」に頼んだところ、エラーが表示されてしまった。「ChatGPT」は入力が2000文字弱、出力が800文字弱までしか対応していないので、文字数が大幅にオーバーしていたらしい。
つまり、長文の処理を「ChatGPT」に頼むには、800文字弱に小分けにして入力する必要があるわけだ。いちいち文字数を数えるのは面倒なので、ここは無料サービスやアプリの助けを借りることにしよう。
ただ、テキストデータを整形するツールはいろいろあるものの、なかなかドンピシャなものが見つからない。そこで今回は
- 「指定文字数改行」ツールで700文字ごとに改行を入れて
- 無料アプリ「Div8」で改行を入れた箇所ごとに、テキストファイルを複数に小分けして保存
させてみた。
こうして作成された700文字のテキストに、改めて「読みやすいように、適当なところで改行して」と指示したところ、今度は「ChatGPT」がきちんと動いてくれたので、後は同じ作業を繰り返せば、いちいち手入力でテキストを分割しなくても済みそうだ。
3月24日(金):業務内容が「ChatGPT」に学習されていた!
「Whisper」で作成した文字起こしデータの整形について、せっかくここまで作業を簡略化したのだから、“700文字ごとに区切ったファイルを、ChatGPTに読み込ませる”作業も自動化してみたい。
ということで、無料のRPA(ロボティック・オートメーション)ツール「Power Automate Desktop」を使って、“テキストファイルの内容を指示と一緒にテキストボックスに入力して、実行ボタンを押す”というフローを組んでみた。
待機時間を微調整したところ、無事に動作するようになったので、あとは読み込むテキストファイル名を変えながら、同じ作業を繰り返せばよいのだが……。デバックのために何度も同じ指示をしているうちに、「ChatGPT」の動作がおかしなことになってきた。それが、こちらだ
「これから入力する文章を、読みやすいように改行してください。」
という指示をしているのに。テキストを改行して読みやすくするのではなく、その続きとなるファイルの内容を表示するようになってしまった。どうやらAIが小分けにしたテキストファイルの順番と内容を覚えてしまい、それを並び通りに表示することを重視したために、「改行して読みやすくする」という指示を無視するようになってしまったらしい。
ちなみに、この現象はログインするアカウントと、利用するPCを変えても発生した。つまり、「ChatGPT」では過去に入力された内容を学習し、その学習内容を踏まえた回答を、利用するアカウントの区別なく行っているようだ。
こうなると、一般に公開されている情報はともかく、社内でやり取りしている情報などを、「ChatGPT」に整形させるのはためらわれる。ビデオ会議のテープ起こしを「Whisper」にやらせるまでは良いとして、それを「ChatGPT」で加工するのはやめた方がよさそうだ。
その後、ネットを探していたところ、句点ごとに改行を入れる「自動改行追加ツール」が見つかった。今後、「Whisper」の文字起こしデータを読みやすく加工させるのは、このツールに任せることにしよう。
とはいえ、すでに公開されているデータを整形させる分には、「ChatGPT」を使うのに何の問題もない。他にも、AIと対話しながら情報を集めたり、文章から誤記を見つけてもらったりと、ちょっとしたシーンで「ChatGPT」は便利に利用できるので、今後もその使い方をいろいろと模索していきたい。