急遽テレワーク導入!の顛末記

「同じ単3でも容量が違う!? 乾電池の種類でiPhoneの充電量が変わるかを検証してみた」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(158)

コストコ、100円ショップ品から「エボルタ」まで、各電池の性能を比較してみた

全5種類の乾電池で充電テストを実施

 先日は乾電池式の充電器を使って、スマホの充電を行った。軽量かつコンパクトなので、バッテリー切れに備えて持ち歩くには、モバイルバッテリーより向いているかもしれない。

 ……この記事を書いている時点で、新型コロナが5類に移行されて137日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回は乾電池のメーカーや種類によって、スマホの充電量が変わるかをテストしてみた。

【今回のハイライト】
色々な乾電池を家電量販店などで購入!
iPhoneの充電テストを行ってみた
充電後にそのまま放置していると……

9月15日(金): 自宅に買い溜めしていた乾電池を使ってみたら……

乾電池式の充電器を使って、iPhoneを充電してみた
コストコのPB商品として売られていた乾電池では、iPhoneをどこまで充電できる?

 先週は100円ショップで販売されていた国内メーカーのアルカリ乾電池を使って、iPhone 14(バッテリー容量は3279mAh)をどこまで充電できるかをテストしてみた。そこで気になったのが、「電池によって充電量は変わるか?」ということ。試しに、コストコで買いだめしておいた海外メーカーの乾電池を使ってみたところ、iPhoneの充電結果に以下のような差が出た。

充電経過時間ごとのiPhoneのバッテリー残量
100円ショップのアルカリ乾電池(国内メーカー)コストコで購入したアルカリ乾電池(海外メーカー)
1時間後21%20%
2時間後34%31%
3時間後39%34%
4時間後41%34%
5時間後41%31%
6時間後39%-

※充電開始から1時間ごとにiPhoneの電源を入れ、バッテリー残量を確認

 どうやら、コストコで購入した乾電池は、100円ショップで販売されている製品の約83%しか、iPhoneのバッテリーを充電できなかったらしい。値段が安く、本数も多いので、最近では乾電池をコストコで購入するようにしていたのだが……。スマホの充電も考えるなら、乾電池をどこで買うかを考える必要がありそうだ。

9月19日(火): ハイエンド製品だけあって「EVOLTA NEO」は優秀

パナソニックの「EVOLTA NEO」(市場価格767円)
東芝のアルカリ乾電池10本パック(市場価格547円)
充電経過時間ごとのiPhoneのバッテリー残量
東芝のアルカリ乾電池パナソニック「EVOLTA NEO」
1時間後21%24%
2時間後33%37%
3時間後39%45%
4時間後40%48%
5時間後37%50%
6時間後-50%
7時間後-49%

※充電開始から1時間ごとにiPhoneの電源を入れ、バッテリー残量を確認

 「パナソニック史上 最高長もち」を謳うだけあって、やはり「EVOLTA NEO」の性能はすごかった。先日はeneloopを使った充電テストを行ったが、それとほぼ互角のパフォーマンスを発揮している。

 一方、東芝のアルカリ乾電池は、100円ショップで販売されていたものと同じ程度のスペックだったらしい。高性能を売りにした「EVOLTA NEO」のような製品を購入するのでなければ、iPhone充電用の乾電池は100円ショップで買った方がコスパは良さそうだ。

9月20日(水):マンガン乾電池はiPhoneの充電に使える?

100円ショップのマンガン乾電池6本パック(市場価格100円)
東芝のマンガン乾電池8本パック(市場価格437円)

 これまでアルカリ乾電池を使った充電テストを行ってきたが、100円ショップや家電量販店ではマンガン乾電池も売られている。アルカリ乾電池より安いので、性能次第ではコスパが上がりそうだが……。試しに充電テストを行ってみたところ、以下のような結果となった。

充電経過時間ごとのiPhoneのバッテリー残量
100円ショップのマンガン乾電池東芝のマンガン乾電池
1時間後8%7%
2時間後9%8%
3時間後7%6%

※充電開始から1時間ごとにiPhoneの電源を入れ、バッテリー残量を確認

 マンガン電池4本では、iPhoneのバッテリーを最大でも9%までしか充電できなかった。アルカリ乾電池よりも軽いので、持ち運びにも便利だと思ったのだが……、これではiPhoneのバッテリーが切れたときの非常用電源としては心もとない。

 電池工業会のホームページによると、アルカリ乾電池が「大きな電流を必要とする機器に向いている」のに対し、マンガン乾電池は「休み休み使うと電圧が回復する性質がある」という。その特徴から考えると、マンガン乾電池はiPhoneを連続して充電するには不向きだったようだ。

 なお、前回の記事でも紹介したが、アルカリ乾電池には「使用する機器の消費電流によって、取り出せる電池容量が変化する」という性質がある。そのため、パッケージなどに定格容量(mAh)は表記されていないが、iPhoneを充電した場合という条件下での容量を、一般的なモバイルバッテリーと同じ3.63Vで換算してみると以下のようになる。

各電池1本の3.63V換算での容量
eneloop約661mAh(3.63V換算)
パナソニック「EVOLTA NEO」約635mAh(3.63V換算)
100円ショップのアルカリ乾電池約515mAh(3.63V換算)
東芝のアルカリ乾電池約508mAh(3.63V換算)
コストコのアルカリ乾電池約432mAh(3.63V換算)
100円ショップのマンガン乾電池約114mAh(3.63V換算)
東芝のマンガン乾電池約101mAh(3.63V換算)

 一般にモバイルバッテリーの定格容量(mAh)は、その電圧(約3.63V)における表記となっているため、これに合わせて容量を算出してみたかたちだ。その結果によると、パナソニック「EVOLTA NEO」が4本あれば、2540mAhの容量を持つモバイルバッテリーと同じ量まで、iPhoneのバッテリーを充電できる……ということになる。あくまで、筆者の手持ちの乾電池式充電器を使った場合だが。

 なお、充電器を接続したまま放置したところ、充電が終わった後でiPhoneのバッテリー残量が目減りしていく傾向が見られた。充電器側のランプは付いていたので、まだ電池には電力が残っているものと思われるが、充電にアルカリ乾電池を使う場合は4~5時間が経ったらコードを抜いた方が良いかもしれない。

充電器のランプは付いていても、充電する電力がなくなった状態で放置すると、かえってiPhoneのバッテリー残量を減らしてしまうことも

とある中小企業に勤める会社員、飛田氏による体当たりレポート「急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記」。バックナンバーもぜひお楽しみください。

飛田九十九