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顔の美肌処理から芸術的な写真まで、これ1つで加工できる「Snapseed」

Snapseed

 スマートフォンのカメラ機能がどんどん充実してます。シャッターボタンを押せば、単体のカメラ並みに撮れるのはもはや当たり前。しかし、単にキレイな写りをしているからといって、注目してもらえる時代ではなくなりました。より雰囲気があって、印象的な写真に注目が集まっています。

 撮影段階で思ったような雰囲気に仕上げるのは難しいもの。そこで活躍するのが写真編集アプリです。編集機能自体は、スマートフォンのギャラリー内にも用意されていることがほとんどですが、基本的なものに限られていることが多く、フィルタ機能があってもイメージとは違っていたり、微調整ができないケースも多いものです。

 そんなわけで、使いやすい写真編集アプリをお探しの方に、これさえあれば! というアプリをご紹介しましょう。「Snapseed」です。

Googleの無料写真編集アプリ

 Snapseedは、Googleが無料で提供している写真編集アプリです。もとは、写真関連ソフトウェアメーカーの米Nik SoftwareがiOS用の有料アプリとして提供していましたが、2012年9月にGoogleに買収されました。2012年12月にはAndroid版の無料公開と同時に、iOS版も無料になりました。

 Snapseedはとにかく機能が豊富なのが大きな特徴です。明るさやホワイトバランスの補正、角度の調整など基本的な写真編集機能はすべてそろっていますし、「ドラマ」「モノクロ」「ヴィンテージ」「フィルム」などフィルタ機能のバリエーションは群を抜いています。

 一般的な写真加工アプリでは、対象となる写真全体に効果を適用しますが、Snapseedは狙った部分だけピンポイントで明るさやホワイトバランスなどを調整できるのもポイント。シミ取りや顔検出による美肌効果もバッチリ備えているので、これさえあれば一通りの加工ができてしまうのでは、というくらいです。

狙った色を基準にホワイトバランスを設定できます
「レトロラックス」フィルタの例

 使い方は簡単。アプリを起動したら、「開く」メニューから加工したい写真を選択。ペンのアイコンをタップして、目的に応じて「ツール」か「フィルタ」を選択し、効果を適用します。終わったらチェックマーク(✓)のアイコンをタップして確定させて、「保存」ボタンから「共有」「保存」「エクスポート」「名前をつけてエクスポート」のいずれかを選びます(ただし、共有と名前をつけてエクスポートは現在Android版のみのようです)。

 また、機能を選択したら画面を左右になぞることで、適用の強弱を変えられるなど、操作も簡単で、かなり使い応えがあります。加工した写真は、オリジナルを維持したままコピーが保存されるので安心です。

 ヘルプも充実しており、動画とテキストで使い方を解説しているので、困ったときには助けになるでしょう。なお、「設定」で、あらかじめ画像サイズや保存形式と画質も指定できるので、気になる方は確認しておきましょう。

使い方も動画で解説しています

パソコンいらずの「ツール」群

加工したい写真を開くと最初に「ツール」の一覧が現れます

「ツール」から使える補正機能には、どんなものがあるかを見てみましょう。

画像調整

 明るさ、コントラスト、彩度、アンビアンス、ハイライト、シャドウ、色温度の調整ができます。

切り抜き

 写真を切り抜きます。オリジナル、 DIN、正方形、3:2、4:3、5:4、7:5、16:9の比率を選択できます。

変形

 垂直方向の視点、水平方向の視点、回転ができます。

ブラシ

 明るさの部分調整、露出、色温度、彩度を、なぞった部分だけに適用できる便利な機能です。

「ブラシ」の例。指でなぞって、テーブルの下を明るく、木の葉の彩度をアップしてみました

シミ除去

 狙った箇所の部分的な汚れや不要な映り込みなどを1タップで消せます。細かい部分は2本指で拡大できます。

テキスト

 写真に文字を重ねられます。38種類のスタイルから選べ、文字サイズ、フォント、色、不透明度を調整できます。

ディテール

 ストラクチャ(画像の細部でテクスチャの量を増やす効果)、シャープさを変えられます。

回転

 左右反転、回転、傾きの自由な調整ができます。

ホワイトバランス

 自動調整、色温度、色合い別に調整できます。任意の場所を指定してのホワイトバランス設定が可能です。初期設定では色温度の調整ができます。

部分調整

 タップした部分(その色の範囲)の明るさだけをピンポイントで調整できる機能です。

周辺減光

 周辺の光量を調整できる機能です。中心点を好きな場所に移動できるのは、ほかのアプリではあまり見られないところかもしれません。

「周辺減光」で、任意の場所を中心に周辺の光量をちょっと落とした例

カーブ

 写真の明るさのレベルをRGB、赤、緑、青、明度を別々に調整できるほか、プリセットされた設定からの選択も可能です。スタイルは30種類用意されています。

 「ブラシ」や「シミ除去」「ホワイトバランス」「部分調整」など、狙った部分の補正が充実しているのが分かります。

 通常は、「変形」や「回転」でまず写真の傾きを直し、「切り抜き」でいらない部分をカットして主役をハッキリさせてから、「ホワイトバランス」で赤すぎたり青すぎたりする色を調整する――といった使い方が多いでしょうか。

 主役なのに、影が多くて暗くなってしまっているときには、「ブラシ」や「部分調整」で整えるとよさそう。フィルタを使わなくても、「周辺減光」でちょっと周りの光量を落としてみると、雰囲気をプラスすることができるかもしれません。

無限に表現が広がる「フィルタ」

「ツール」の一覧をスクロールすると、「フィルタ」の一覧が現れます

 続いて、「フィルタ」の機能をみてみましょう。

レンズぼかし

 画像の背景をぼかします。ぼかす範囲や中心の位置、ぼかしの強さ、変化の穏やかさ、周辺減光の強さも個別に調整可能。ぼかしの形を11種類のプリセットから選択できます。ポートレートなど、主役を引き立たせたいときに活躍する機能です。一眼カメラで撮ったような写真にしたい人は要チェックでしょう。

階調コントラスト

 オプションで、明部、中間調、暗部、ハイライトを保護、シャドウを保護のいずれかを選択して、ディテールを強調できます。

ドラマ

 こんな設定、何をどうしたらできるの? というくらい、まさにドラマチックな印象になるフィルタを6種類のスタイルから選択できます。オプションで、選択したスタイルに対して、フィルタの強さ、彩度を調整でききます。

粒状フィルム

 18種類のスタイルから選択することで、写真にフィルムで撮影したような粒状感を加え、レトロなのにちょっとモダンな雰囲気を演出できます。オプションとして、粒子とスタイルの強さを調整可能です。

「粒状フィルム」の例

レトロラックス

 色の雰囲気で13種類のスタイルが用意されており、1つのスタイルをタップし続けることで、光漏れやスクラッチ、フィルムなどのレトロな写真の雰囲気を無限に演出できます。写真がまだそんなに一般的ではなかった時代のような、古く朽ちたような雰囲気を出したいときに便利そう。オプションで、明るさ、コントラスト、彩度、スタイルの強さ、スクラッチ、光漏れの個別調整ができるので、好きなスタイルができたら即保存しておきたいところです。

モノクロ

 このフィルタを選んだ瞬間、カラー写真が一気にクラシックなモノクロ写真に変化します。オプションは明るさ、コントラスト、粒子。11種類のスタイルからイメージに合うものを選んだら、オプションで微調整するといいでしょう。明るさ調整はニュートラル、レッド、オレンジ、イエロー、グリーン、青から選べます。

 写真の中の顔を自動的に検出し、目にピントを合わせつつ、そこから顔全体を明るくし、肌が美しく見えるように編集できます。オプションは、顔を強調する、肌を滑らかにする、目をくっきりさせる、の3種類。10種類のスタイルから1つ選んだら、オプションで細かく調整すれば、悪条件で撮られた顔もかなりの確率で救えそう。やり過ぎ感がないところもいい感じです。

グラマーグロー

 滑らかなグロー効果をあたえてくれる機能です。女性のポートレートにプラスすると、しっとり魅惑的に、景色にプラスすると、幻想的な雰囲気を加えてくれます。6種類のスタイルから1つ選んだら、オプションでグロー、彩度、色温度の調整ができます。

HDR風

 露出の異なる複数の画像を合成したような、濃厚な印象の画像を作り出せます。被写体の種類によって、自然、人物、弱、強の4スタイルから選べます。オプションはフィルタの強さ、明るさ、彩度。絵画のようなドラマチックな演出をしたいときに便利です。

「HDR風」の例。全体が濃厚に

グランジ

 5つの基本スタイルと、ランダムなテクスチャ、スポットライトを重ねることで、通常では撮れないようなアーティスティックな写真が生み出せるフィルタです。テクスチャはアイコンをタップするごとにどんどん変わるので、無限に組み合わせが生まれます。さらにオプションにより、スタイル、明るさ、コントラスト、彩度、テクスチャの強さを変えられます。同じ組み合わせを再現するのは難しそうなので、気になるものはどんどん保存したほうがよさそうです。

ヴィンテージ

 12種類のスタイルをベースに、ぼかし効果やオプションの調整で、50年代、60年代、70年代に撮られたカラーフィルムのような雰囲気にできるフィルタです。オプションは明るさ、彩度、スタイルの強さ、周辺減光の強さの4つ。もしかしたら一番出番が多いかもしれません。

「ヴィンテージ」の例

ノワール

 14種類のスタイルを選択することで、簡単に粒状感のあるモノクロ風の写真に仕上げてくれます。「モノクロ」フィルタと混乱しそうですが、「ノワール」の場合、ちょっと焦げ茶や緑、青みがかるなどして、古びて焼けた紙の写真の雰囲気があるのが特徴。むしろ古いようで、現代的な味のある写真にできます。オプションは明るさ、ウォッシュ、粒子、フィルタの強さの4つ。

フレーム

 枠のサイズを調整できる23種類のフレームが選べます。

 最初はどれを使ったらいいか大いに悩みそうですが、写真に奥行きが欲しいなら「レンズぼかし」、人物なら「レンズぼかし」「顔」「グラマーグロー」のいずれか、ブログや記事のカバー写真になるようなレトロ感のあるおしゃれさを演出したいなら「粒状フィルム」「ヴィンテージ」、といったあたりを覚えておくとよさそうです。

一手間加えて魅力的に!

 編集中の画面の中にやり直し機能がないのは残念ですが、Snapseedのいいところは、明るさの補正にしても、指先だけでとても繊細にコントロールできるところです。ツールもフィルタも充実しているので、これ1つで通常の写真の調整から、自撮り、素材として使えそうな写真まで、ほぼすべてをカバーできるのではないかと思われます。

左がオリジナル、右が「ツール」と「フィルタ」を使った例です。
自分がどんな効果を使ったか知りたいときは、画面右上のアイコンから「編集を表示」を選択します
履歴がこの通り確認できます

 最初のうちは、どれを使うとどうなるのかはさっぱり分からないかもしれません。あれこれ触って、どうなるのか試しているうちに、自分の好きな効果が見えてきて、演出したい雰囲気や空気感をコントロールできるようになるはず。写真をもっと楽しみたい方はぜひ活用してみてください。

すずまり

プログラマからISPの営業企画、ウェブデザイナーを経て、現在はIT系から家電関連まで、 全身を駆使してレポートする雑食性のフリーライターに。主な著書に「Facebook仕事便利帳」「iPhone 4 仕事便利帳」(ソフトバンククリエイティブ)など。 睡眠改善インストラクター、睡眠環境診断士(初級)。