一人暮らしのネット環境Q&A

「PING(ピン/ピング)値が高い」ってどういうこと? 下げる方法は?

 オンラインゲームをする人などは、「PING(ピン、またはピング)値が高い/低い」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。PING値は、操作に対してどれだけ速く反応があるかを表し、リアルタイム性の高いゲームなどでは重要な数値です。

PING値が高いほど操作に対する応答が遅い

 インターネット回線の性能は、「アップロード/ダウンロードが○Gbps」という通信速度で語られるのが一般的ですが、オンラインゲームで大事になるのが「PING値」です。これは、ユーザーの操作に対してどれくらいの時間差で反応が返ってくるかを表し、「ms(ミリ秒)」単位で表されます。

 多くのPCのOSで昔から利用できる、サーバーの応答を調べるコマンド「PING」が語源になっています。Windowsでは「コマンドプロンプト」を起動して「ping (サーバーのドメイン名、またはIPアドレス)」というコマンドを実行することで、相手のサーバーの応答の有無や、応答速度(PING値)を調べることができます。

コマンドプロンプトで「ping internet.watch.impress.co.jp」を実行したところ。4回応答の確認が行われ、「5ms」「4ms」と表示されているのがPING値

 さまざまなアプリや、一部の通信速度計測サービスでも、PINGの測定値は可能です。例えば、USENの「インターネット回線スピードテスト」では、通信速度とPING値を調べることができます。

USENのインターネット回線スピードテストの表示例

 昔のインターネットでは「応答があるかどうか」が重要でしたが、最近のオンラインゲームでは応答の速さ、つまり「PING値がどれだけ小さいか」が、ゲームの有利さに大きく影響することがあります。PING値が高いと、操作に対する応答が遅く、対戦相手の攻撃にすぐ反応できないなどで、不利になってしまいます。

どうすればPING値を下げられる?

 自宅での通信のPING値が高くて、ゲームのプレイに支障がある! という場合、どのようにしたらPING値を下げられるでしょうか。

 ゲームなどのサーバーと、自宅でゲームをプレイしているPCなどの間で短時間で応答が返ってくるようにできれば、PING値は下げられます。とはいえ、PING値が高くなってしまう要因はさまざまで、確実にPING値を下げるのは、意外と難しいと言えます。

 まず、使っているWi-Fiルーターが著しく古い場合は最新モデルに買い替えるなどして、家庭内の通信経路を高速化・安定化することで、一定の効果が期待できます。

 より大きな効果が期待できるのは、インターネットサービスプロバイダー(ISP)を乗り換え、自宅からサーバーまでの間の通信経路を変えてしまうことです。実際には、通信経路を利用者が指定することはできないため、ISPを乗り換えることでPING値を下げられるのかは「やってみなければ分からない」面がありますが、eスポーツ向けをうたうISPなども登場しており、同じ「フレッツ光」回線を利用した光コラボレーションモデルのISP間で乗り換えても、PING値を下げられる可能性はあります。

 また、もしも現在モバイル回線(4G)を使っているなら、光回線に乗り換えることで、PING値を大幅に改善できます。

 4Gで通信している場合、光回線なら数msで応答があるサーバーで、十数msまたは数十msと、大幅にPING値が上がってしまうことがあります。5G対応のホームルーターなどを使っている場合、5Gで通信できていればPING値も低くできる可能性がありますが、エリアによっては常時5G通信するのが難しい場合があり、機器の設定で5Gでしか通信しないようにすることも困難です。

 現状、確実にPING値を下げることはなかなか難しいですが、もしもモバイル回線を使っていたら、光回線に乗り換えることで大幅に改善できることは、覚えておきましょう。

 ちなみに、新しい通信サービスでは、低遅延、つまり応答が速いことを売りにしたものが多くなっています。モバイル通信の5Gは、4Gよりも低遅延で、離れた場所から重機を操作する場合にも低遅延のため操作の反応がいい、という実験結果が発表されたりもしています。

 また、NTT東西の「IOWN」(アイオン)では、低遅延であることを生かして、東京と大阪のように遠く離れた場所の人たちが、まるで同じコンサートホールにいるかのような感覚で合奏を行う実証実験なども行われています。一般家庭で利用できる料金設定のIOWNのサービスはまだ登場していませんが、今後の普及が待たれます。

一人暮らしをするにあたって、ネット環境をどうしたらいいのかよく分からない……。そんな人のために、初めての回線選びの考え方やWi-Fi設定の基礎など、一人暮らしのためのネット知識を、Q&A形式で紹介します。バックナンバーはこちら
正田 拓也