イベントレポート

Frontiers Tour Tokyo

Slackの活用を一段階レベルアップ! 「連携アプリ」と「カスタムアプリ」が働き方をさらに変える

Slackをより一層業務で活用できるようにするアプリとは

 9月17日に開催されたSlackのカンファレンスイベント「Frontiers Tour Tokyo」。このイベントでは、Slackの新しい機能や活用事例を披露しただけでなく、働き方の改善に直結するSlackの実践的な使い方にフォーカスしたセッションも開かれた。ここでは、Slack Japan株式会社の2人が登壇し、Slackの活用を一段階レベルアップさせる「連携アプリ」および「カスタムアプリ」の利点を詳細に解説したセッションをレポートする。

1800件以上の連携アプリで業務のボトルネックを解消

Slack Japan株式会社事業開発・アライアンス・マネージャーの上田純平氏

 同セッションでは、「働き方をよりシンプルに、より快適に、より有意義にするための方法」の1つとして、Slack Japan事業開発・アライアンス・マネージャーの上田純平氏がSlackのアプリと、そのメリットについて解説した。Slack上で「/<アプリ名>」と入力することで呼び出すことが可能な連携アプリは、同社のウェブサイト「App ディレクトリ」ですでに1800件以上公開され、誰でも好きなものを選んでインストールできるようになっている。

 App ディレクトリにはメール、スケジューラー、クラウドストレージ、タスク管理、ビデオ会議といったカテゴリーにおいて、ワールドワイドに使われている代表的なクラウド型のビジネスツールの多くが掲載されており、インストールすることでメールや予定をSlackに送信したり、ファイルのやりとりをSlackに統合したり――といった省力化につながる連携が可能になっている。

働き方を変えるSlackの活用方法は2つ。「連携アプリ」の利用と「カスタムアプリ」の利用がある

 そして、最近では日本国内のクラウドサービスの連携アプリも急激に増加していると上田氏。「1年前は14個しかなかったが、今は60を超えている」という。主なところでは、人事管理の「カオナビ」、勤怠管理の「ジョブカン」、名刺管理の「eight」、BIツールの「MotionBoard」、タスク管理の「Backlog」、受付システムの「RECEPTIONIST」、さらには経理サービスの「freee」や「マネーフォワード」、電子契約の「クラウドサイン」といった数多くの日本発サービスがSlackと連携を取り始めている。

連携アプリは各社が開発し、すでに1800を超える数に。日本発のサービスも増えてきた

 そんな中でも「抜群のデザイン」で要注目の連携アプリとして氏が紹介したのが、2019年7月に公開された「NAVITIME for Slack」。公共交通機関を使った移動時の経路検索がSlackの中で可能になるもので、公開直後には「グローバルでトップ3のアプリになった」というほど高い人気を集めた。また、日経新聞電子版のアプリも、ユーザーの興味に沿ったトピックがSlackのチャンネルに自動配信されるとして特に利便性が高いとした。

「NAVITIME for Slack」を使うと、Slack内で移動経路の検索ができる

 近日中に公開予定の連携アプリとして紹介したのが、人事・労務のクラウドサービスで有名なSmartHRの子会社「SmartMeeting」によるもの。会議を改善するというSmartMeetingのサービスがSlack上で利用できるようになり、「複数人の会議調整をボットを通じてSlackで行ったり、会議前の準備、会議後のフィードバックを実装して会議にまつわる多くの悩みを解決する」とのこと。「その週の会議の件数、会議時間、会議に参加したメンバーによるコスト試算ができる」のも特徴だとした。

「SmartMeeting」の連携アプリの利用イメージ
Slack内で会議に対するフィードバックなどができる
会議によるコストの算出も可能に

1人でも作れるカスタムアプリのススメ

Slack Japan株式会社パートナーエンジニアの瀬良和弘氏

 続いてSlack Japanパートナーエンジニアの瀬良和弘氏にバトンタッチし、働き方を変えるもう1つの方法として「カスタムアプリ」を解説した。カスタムアプリは連携アプリとは異なり、App ディレクトリには公開しないかたちでユーザー個人や組織内で作成し、使うことのできるアプリ。瀬良氏によれば、すでに「50万以上のカスタムアプリが世界中で稼働」しており、「(App ディレクトリの)アプリがカバーしていない個別のユースケースや要件に柔軟に対応できる」のがポイントだ。

 カスタムアプリは、Slackが用意するAPIを用いて開発できるほか、コーディングせず手軽に作成できる仕組みを利用することも可能となっている。後者のノンコーディングで作成できるカスタムアプリは、例えば(ヘルプデスクのチケットがあれば)「/helpdesk」とコマンド入力するだけで、Slackのヘルプデスクに問い合わせできる機能がそれ。今回のイベントで詳しく紹介された、2019年中に公開予定の「ワークフロービルダー」もカスタムアプリで実装されているという。

カスタムアプリはコーディングせずに作成することも可能
ヘルプデスクへの問い合わせもカスタムアプリとして実装されている

 企業内での事例として同氏は、トヨタ自動車のMaaS事業部に所属する1人が作成したというカスタムアプリを紹介。社内拠点間を移動するバスの時刻表をSlackから参照できるようにし、さらにその予定を他のカレンダーアプリに登録できるもので、カスタムアプリの作成方法について1時間ほどレクチャーしただけで作り上げたのだという。作成者の現在の職業はエンジニアではないとのことで、「カスタムアプリ開発は決してハードルの高いものではない」とした。

バスの時刻表をSlackに統合するアプリを、トヨタ自動車の従業員の1人が作成したという

 瀬良氏によれば、SlackではAPIの拡充、公式技術ドキュメントの日本語化、サンプルとチュートリアルの充実などを進めているほか、メッセージ表示のリッチ化が可能な「Block Kit」や、APIを使ったアプリ開発のためのフレームワーク「Bolt」といったツールを用意し、連携アプリやカスタムアプリの開発を最大限にサポートしている。

ノンコーディングでのカスタムアプリ開発を促進するさまざまなGUI部品を用意。今後も新たなものを続々と追加予定という

 既存機能においても、メンバーを構成するユーザーが全員退出するとそのアプリが使えなくなる問題の解決や、ボットの権限にまつわる問題の改善などに積極的に取り組んでいる。最後に上田氏は、「働き方をよりシンプルにより快適に、より有意義にするために、より強いつながりを持ったパートナーシップ、プロダクト、コミュニティ作りに励んでいきます」と力強く宣言した。