イベントレポート
渋谷をつなげる30人レポート
古着の活用など、エンターテイメントで社会課題の解決ができる渋谷へ
2020年3月23日 16:40
渋谷に関係する企業などに所属する「30人」が渋谷の課題を検討渋谷区も協賛
テクノロジー企業が続々と集結し、新しい文化だけでなく新しいビジネス、新しい行政サービスの発信源ともなっている渋谷区。そんな日本、東京の最先端をゆく街の課題を発見し、チームで解決していくプロジェクト「渋谷をつなげる30人」(主催:Slow Innovation株式会社)は2020年3月5日、最終報告会が行なわれ、4期目の締めくくりを迎えた。
2019年11月にレポートした「実装」段階からブラッシュアップを図って臨んだ最終報告会は、昨今の情勢を鑑みて規模を縮小し、関係者のみが参加する形式となった。一部メンバーはオンライン会議システムで参加するなど、イベントとしてはコンパクトではあったものの、この1年弱の間にアイデアを急速に形にし、トライアルを重ねてきた各チームの取り組みは、渋谷という街を大きく盛り上げる可能性を秘めたものとなったようだ。
30名、5つのチームはそれぞれ、渋谷に関係する所属企業から参加、そしてイベント自体は渋谷区も協賛している。彼らがこれからどんな活動を広げていくことになるのか。最終報告会のプレゼンの内容と、それに対する渋谷区副区長 澤田伸氏のコメントを5回の集中連載でレポートしたい。
第1回となる今回は、エンタメ編だ。
イベントでお土産を販売、売り上げの一部を区に還元
TSUTAYA、東急不動産、アパレルのベイクルーズ、渋谷区観光協会などに勤めるメンバーからなるチームのテーマは、渋谷区の次世代を担う若者のための「居場所」や「エンタメ空間」を作るというもの。最終報告会では、「エンターテイメントでクリエイティブに社会課題の解決ができる街へ」というビジョンに定まった。
そのビジョンのもと、「若者の声をくみ取りながら、コンテンツホルダーである企業が次世代の人たちのための場を提供し、企業と若者達がつながっていく」というスキームを組み立てた上で、まず最初にスタートさせるとしたのがファッションロスを軸にしたプロジェクトだ。
現在渋谷区では、区民が着なくなった年間104トンもの衣類が不要品として回収され、海外の古着市場に出回っている。これを渋谷の中で循環させるべく、新しい価値を加えて再資源化し、渋谷の観光資源にするのがその主旨だ。
再生したアイテムは主に渋谷の街中で実施するイベントで、渋谷区観光協会公認のお土産として販売する。売上の一部は渋谷区に還元し、公共施設の維持・管理費などに利用できるようにすることを考えている。
イベントの具体案としては、次世代の若者アーティストが古着をアートに変えるライブパフォーマンスや、スペシャル衣装をまとったアーティストのライブ、イラストレーターが古着にイラストを描くステージショーといった、若者が関わるものを検討しているとした。
最初のイベントは2020年7月ごろ、渋谷ツタヤの屋上で開催する計画。
ハロウィンの健全化にもつながるアイデア?
今後は渋谷に関わっている他の企業にも参画してもらえるよう、ファッション以外にもテーマを広げていくことや、渋谷を良くしたいと考える熱い人たちが集まる「シブヤソーシャルダイニング」というコミュニティも設けたいとした。
澤田副区長はこのアイデアについて「完成度が高い」と絶賛。「ファッションで成長している街だから、ファッションの力を使ってソーシャルイシューを解決していくのは非常にいい循環。
そこに各社それぞれのリソースを出し合うことで持続可能にしていける。来年のハロウィンはみんなでこの服を着てパレードしてほしい。そうすればハロウィンの健全化にもつながる」と話した。
(3/23 19時更新) 記事内容に誤りがあったため、一部の内容を修正させていただきました。